アイヌ協会の認定とは?
アイヌ協会はアイヌ民族のメンバーシップを認定しているわけではなく、アイヌ関連の助成事業やアイヌ生活向上推進など法律を活用する主体となるアイヌを認定している。
北海道アイヌ協会による会員の要件
この記事より、会員の要件は《1》アイヌの系譜を持つ人《2》系譜を持つ人の配偶者《3》系譜を持つ人の養子―の3点。系譜を持つかどうかは戸籍に基づいて協会が認定するとのこと。
会員の要件の詳しい解説は以下の通り。
アイヌ協会に入会したければ
— S.Shiiku (@shinshukeshiiku) November 16, 2017
「自分と自分に繋がる関係者「全員分」の「戸籍謄本」「除籍謄本」もしくは「自分に繋がる「アイヌ」が記録されてる「公文書」もしくは「古文書」」を提出して審査受けろ」。
自分が「アイヌ」だと証明出来たなら協会に入会出来る、出来なきゃ入会は出来ん。
で、これを元に「アイヌ協会協会員」は「第1種会員」と「第2種会員」が分けられている。
— S.Shiiku (@shinshukeshiiku) November 16, 2017
簡単に言うと、
「第1種会員」は「アイヌの家系に生まれ、アイヌとしての自覚を持ち、アイヌ協会に入会を認められた者」
「第2種会員」は「第1種会員と婚姻もしくは養子等で第1種会員の家族になった者」
なお「第2種会員」は「一代会員」とも呼ばれている。理由は「原則上、アイヌでは無いので「子供等」に「会員資格の継承」が出来ない」から。
— S.Shiiku (@shinshukeshiiku) November 16, 2017
例えば「アイヌの男性」と「アフリカ系の女性」が婚姻関係を結んだ場合、夫のアイヌ男性は「1種会員」妻のアフリカ系女性は「本人が希望すれば「2種会員」」となれる。そしてその間に生まれた子供は「1種会員の継承が出来る」が、例えば「アフリカ系女性の連れ子」は「2種会員」にしかなれない
— S.Shiiku (@shinshukeshiiku) November 16, 2017
そしてこのアイヌ男性とアフリカ系女性の婚姻関係が解消された場合「1種会員」のアイヌ男性とその実子は「1種会員」であり続けるが、「2種会員」のアフリカ系女性とその連れ子は「会員資格を喪失する」。
— S.Shiiku (@shinshukeshiiku) November 16, 2017
アイヌ生活向上推進に関する支援や補助は、第1種会員と同等の要件となる。(当然、経済的な条件も満たすことが要件である)
戸籍での証明について
1871年(明治4年)に「戸籍法」が制定されて、壬申戸籍の編成が開始された。壬申戸籍には身分が記載されていたが、アイヌ民族は「平民」となっていた。それにもかかわらず、1878年(明治11年)に開拓使はアイヌ民族を「旧土人」として区別する方針とした。壬申戸籍にアイヌ民族は「土人」「旧土人」と記載されて区別された。
旧蝦夷人の儀は戸籍上其他取扱向一般の平民同一たる勿論に候得共、諸取調者等区別相立候節の称呼一定不致候より古民或は土人、旧土人等区々の名称を付し不都合候条、自今区別候時は旧土人と可相称、但旧土人の増減等後来の調査に差支さる様別に取調置へし
(大蔵省編『開拓使事業報告附録 布令類集』上編、1885年)
壬申戸籍は1968年(昭和43年)まで取得可能であった。
(被差別部落民かどうかを探り出すためにこの戸籍が用いられようとした事件が発覚し、同年3月29日民事局長通達により閲覧禁止とし、法的な廃棄手続きを経たものは法務局・地方法務局・市町村のいずれかにて厳重に包装封印して保管することになった)
アイヌ生活向上推進に関する支援や補助の手続き
アイヌ協会で第一種会員と同等の資格があるかどうか認定を行う。アイヌ協会が認定して、北海道庁へ推薦状を提出する。北海道庁では客観的な資料をもとに確認をして追認をしている。
国会の予算委員会での質疑より。
(第198回国会 予算委員会第四分科会)
柴山国務大臣:北海道庁が実施しているアイヌの方々の子弟に対する修学資金の貸付けにつきましては、まず、アイヌであることの確認に当たって、北海道アイヌ協会理事長などの推薦書の提出を求めているところ、同協会におきましては、戸籍など客観的な資料をもとにしながらアイヌであることを確認した上で推薦書を作成していると承知をしております。
また、北海道庁においては、当該推薦書を踏まえ、貸付けの可否については、その上で適切な認定を行っていると承知をしております。
アイヌ協会の規定とアイヌ慣習的共通認識
アイヌには混血や配偶者についての慣習的共通認識があり、アイヌ協会の規定もそれを反映している。(第2種会員を指していると思料する)
民族とは歴史の共有、固有の言語・文化への帰属意識(大切に思う気持ち)、自意識によるというのが現在の国際的な共通理解。また、誰がその民族かは民族共同体自身が決めること。アイヌには混血や配偶者についての慣習的共通認識もあり、アイヌ協会の規定もそれを反映したものに改正されている。
— 丹菊逸治 (@itangiku) August 19, 2014