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メランコリーでノスタルジーでエモーショナルでおかめ

2月某日(土曜)

蕎麦屋でメニューを開いたらおかめそばがあった。
子供のころ風邪をひいて学校を休むと、蕎麦屋の出前で母がおかめうどんを頼んでくれた。
共働きで走るように日々を送る母が、その日ばかりはつきっきりでうどんを10㎝ほどに切っては口に入れ、切っては口に入れてくれた。あれは甘えるのが苦手な私への甘やかしだったと思う。お麩にしみ込んだうどんの出汁をじゅわっと思い出す。

先週から体調が思わしくない。季節の変わり目のめまいで、気持ちが悪い。そばと梅干しおにぎりばかり食べている。

おかめそばを頼んだ後に、なんで「おかめ」なんだろうとふと気になって調べたら、上にのっている具を「おかめ」に見立てて盛り付けたからなんだって。やってきた「おかめそば」はなんだか豪勢で、令和の「おかめ」はお化粧が濃いなと思う。

食後、夫に誘われて川崎にある「藤子F不二雄ミュージアム」に行った。
ドラえもん、パーマン、新オバケのQ太郎、エスパー真美。おかめうどんの頃に見ていたアニメの原画や漫画の展示をみた。
不思議なもので、観ていなかったもの(21エモンとか、ウメ星デンカなど)を目にするとなんだか懐かしいなあと思い。観ていたものをみては、あの頃の自分に出会った様で胸がキュッとした。
はらっぱに寝転んだパーマンの横に小さい私が寝転んで、空を背に手を挙げて歩いているドラミちゃんの横で小さい私が手を挙げていた(大きい今の私ももちろん手を挙げた)

藤子F不二雄ミュージアムでは誕生月に行くとハッピーバースデーのステッカーとポストカードを貰えるといって、今月誕生日の夫が「た…誕生日です」と入口と受付で2回も言っていたのが(普段斜に構えるタイプなのに)面白かった。
ミュージアムカフェで頼んだアンキパンのフレンチ―トーストを見ては「パン1枚でこんなちょっとしか覚えられないなんて非効率がすぎる」と憤ったり。ドラえもんが描かれたカフェラテをドラえもんが崩れないようにそっと飲んだり。さりげなさを装って通り道みたいにどこでもドアをくぐったり。夫がしていた。
きっと小さい夫も居たんだと思う(かわいね)。

小さい自分たちを辿るように、そこかしこにあったかわいい建物サインを辿って。
最後の扉にあった「ま・た・き・て・ね・!」に「ま・た・く・る・ね・!」と声を出して答えた。

おかめ蕎麦おかめはげしめ
絶対に通り道じゃない
非効率アンキパン
決してくずさぬ
ドラ・のび太・しずかちゃん
おばQ
スネ夫は¥が似合う
ま・た・く・る・よ・!


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オクノモト
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