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人生でキーボードが変わった
キーボードの魅力に取りつかれてから1年が経ちます。この1年の試行錯誤の中で、私の人生におけるキーボードの位置づけが変わりました。今では一日中キーボードのことを考えています。
思想が強めの内容になりましたが、1年間の総括として残します。
自己紹介
私は会社勤めのITエンジニアです。仕事ではもちろんパソコンを使います。仕事の外でも、個人開発をしたりダラダラしたりするのにもパソコンを使います。当然、キーボードには一日中触れています。
会社勤めになってから10年は経ちました。が、キーボードに気を使い始めたのはここ2−3年です。学生時代はレポートを作るのにもパソコンを使っていました。キーボードって大事じゃね?と思い始めたのは遅い方でしょう。
使用してきたキーボードの変遷
私が使用してきたキーボードの変遷を振り返ります。
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と思ったのですがかなり長くなるので別記事で投稿します。簡単に書くと、キーボードをより小さく、そして分割へ…という100人中100人のキーボードオタクたちが通ってきた道のりを私も通っています。
100%JIS配列:2年前
80%JIS配列
80%US配列:1年前
60%US配列
40%Ortholinear(格子配列)
40%分割式:現在
人生で変わったキーボード
ここからが本題です。パソコン漬けの人生なので、より使いやすいキーボードを探しました。つまり、キーボードで生産性を上げようとしました。
結果、キーボードで生産性は変わりませんでした。しかし、より使いやすいキーボードを探す過程で、キーボードに対する価値観が3つ、大きく変わりました。
「静か」から「雑音がない」の追求へ
小さいサイズは工夫を生む
キーボードのために仕事をする人生に
1.「静か」から「雑音がない」の追求へ
まず、キーボードに対する価値観が変わったのは、キーボードの「打鍵音」に対してです。
高級キーボードを使う前から、キーボードの音がうるさく感じることが多々ありました。ロジクールの静音キーボードK295を愛用していたことはいい思い出です。
ただ、静音キーボードや静音スイッチを使ってもその「静かさ」には満足できませんでした。なぜなら、物が動く以上は「無音」にはなりえないからです。むしろ、静かなキーボードを使うと、スペースキーやエンターキーなどの静音化されていないキーの音が、よりうるさく感じるようになりました。
追求すべきは静音ではなく雑音をなくすことだ、とパラダイムシフトが起きたのはKeychron Q3 Proに出会った時です。そしてそれがキーボードの魅力に取りつかれるきっかけになりました。
届くまで待ちわびようやく届いたKeychronを開封し、打鍵感の良さ、見た目のカッコよさに喜ぶのもつかの間、使い始めて2日目で打鍵音に不満を感じるようになりました。
長いキー(特にスペースキー)のカチャカチャがうるさい
特定のキー(特にバックスペース)をたたくと金属の反響音が響く
キースイッチのこすれる音が気になる
かなりの出費だったのであきらめきれず、mod(キーボードのカスタマイズ)を試す日々が始まりました。
その試行錯誤の過程で、静音化をあきらめる、という悟りに至りました。
なぜ悟りが開けたか?は、前後の記憶があいまいで覚えていません。が、打鍵時のノイズが気にならなくなったとき、打鍵音を聞いて「ずっと聞いていたい」とすら思ってしまったのが原因かもしれません。
(単にmodに疲れただけかもしれません)
キーボードを静かにしたいと思った経験はだれしもあるはずです。そう思ってしまうのは、キーボードの音が不快で集中力を乱すからではないでしょうか?であれば、静かである必要はなく、不快にならないようにさえすればいいのです。むしろ、聞いていて心地よくすればいいのです。
聞いていて心地よい音の典型例は雨の音です。しかし、雨の音に不規則な金属音が混じっていたらどうでしょうか?心地よくありません。つまり、雑音がないことは心地よい音の必須条件なのです。
心地よい音がするキーボードにカスタマイズする。これがキーボード探求の第一歩でした。
2.小さいサイズは工夫を生む
次にキーボードに対する価値観が変わったのは、キーボードの「サイズ」に対してでした。
キーボードのサイズが小さいことのメリットでよく挙げられるのが次の点です。
マウスの領域を広くすることができる
ホームポジションを崩さずにタイピングができる
持ち運びが楽になる
ただ、どれも決定打にはなりません。小さいキーボードを使ってきた経験から言えることですが、キーボードが小さくてもマウスとキーボードはぶつかるし、そもそもホームポジションは身についていないし、持ち運びもしません(逆に、愛着のあるキーボードであれば大きくても苦になりません)。
小さいサイズの欠点は、1つのキーを押すのに必要なキー数が多くなることです。サイズの小さいキーボードには、ないキーがあるからです。
80%ではテンキーがありません
60%ではファンクションキーと十字キーがありません
40%では数字キーと一部記号キーがありません
![](https://assets.st-note.com/img/1730877714-RBlOm7P0EL6dQAfWjnJFVKCo.png?width=1200)
ないキーは、複数のキーを組み合わせて入力することになります。例えば、スペースキーを押しながら数字キーを打つとファンクションキーになる、といった具合にです。
では、複数のキーを組み合わせて入力することが工夫か?というと、それだけではありません。
例を挙げます。エクセルで資料を作る場合、「保存するときにホームポジションで保存する」ルールは一般的ではないでしょうか?
ルールであり礼儀でもある
ワークシートとアクティブセルの状態は、次にファイルを開いて作業を始めるときの「再開のしやすさ」に大きく影響します。そこで覚えてほしいのが最初のルール。ファイルを保存するときは、次の2点を意識することを習慣にしてください。
・いちばん左側のワークシートを開いておく
・アクティブセルをセルA1に戻しておく
エクセルで資料を作る人たちは必然、エクセルのホームポジションでファイルを保存するために、Ctrl+Home→Ctrl+PgUp→Ctrl+Home→…→Ctrl+Sをする癖があると思います。80%~100%のキーボードの場合、この操作は右手だけでできるものでした。
ところが、サイズが小さくなるとHome, PgUpがありません。Ctrlキーとは別のキーも同時に押す必要があります。私の場合はアルファベットをHome, PgUpに変身させるキーをスペースキーに割り当て、左手でCtrlを押すようにしました。
![](https://assets.st-note.com/img/1730892512-G0PuSr4UXv5QnFqhZoYLDHcW.png?width=1200)
もともと右手だけでできていた操作に、左手も必要になってしまいました。ダラダラやれるエクセルホームポジション合わせ作業が、パソコンに向き合う本格作業になってしまいました。
では、どうすればダラダラできるのか?
マクロを設定するのです。
ホームポジションに合わせるなんて単純作業は、マクロを設定してショートカットキーを割り当てれば解決します。すべてのシートを処理してくれるので、いちいちすべてのシートを確認しに行く必要がなく、むしろ、今までより早く礼儀を守ることができるようになりました。
「それなりに満足」「あれば便利」という状態から、あえて不便に身を落とす。すると自然と試行錯誤が生まれます。試行錯誤の結果、今まで以上に便利になるのです。これこそが、キーボードを小さくすることで生まれる工夫です。
キー配置を考え、キーボードにとどまらず作業を最適化する。こうしてキーボード探求は深みにはまっていきました。
3.キーボードのために仕事をする人生に
最後に、キーボードの価値そのものが変わりました。
キーボードはパソコンを使うための道具です。が、キーボードの魅力に取りつかれてからはキーボードを使うために仕事をこなすようになりました。
手間暇かけたキーボードの真価を発揮させるため、よりやりごたえのある仕事を求めました。実践で得た課題から理論上の最適化を矯正しました。
目的と手段は逆転しましたが、より一層仕事に向き合うようになりました。ただキーボードを使うだけでも楽しくなったからです。
キーボードが人生の目的である。もうキーボード探求からは抜け出せなくなっていました。一日中キーボードのことを考える生活が始まりました。
終わりに
タイピングが楽しくていつの間にか3,000文字を超えていました。使い始めて1週間弱の40%(分割式)キーボードで書き始めました。打鍵音はまだまだ整備の余地がありそうです。ほとんど腕を動かす必要がないためか、逆に力んで入力しているようで、肩が疲れてしまいます。
まだまだ、キーボード探求の道のりは長いようです。