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練香とは ~六種の薫物~
お香の種類の中に「練香」といわれるものがあります。
練香は黒い丸薬状で、中国から伝わったお香の一種にあたります。
直接火を付けるお線香と違い、間接的に温めて香りを広げるもので、香炉に火を熾(おこ)した炭を置き、火から少し離れたところに練香を置き温めることによって香りを広げます。または、聞香炉で銀葉の上に乗せて温めて焚く場合があります。
作り方は、沈香や丁子、白檀、貝香などの粉末を調合し、そこに炭の粉末を入れ混ぜます。
そして、あまずらや蜜でよく練り(梅肉を使うこともある)、丸薬状にまとめます。
乾燥しないように密閉できる容器にいれ、冷暗所で一週間程度熟成させれば完成します。
平安時代には、練香の事を薫物(たきもの)と呼び、貴族の間でオリジナルの香りを作り競い合うことが流行っていたようです。
競い合う様子は紫式部の『源氏物語』の「梅枝」に描かれており、薫物合(たきものあわせ)と呼ばれています。
そういった中で作られた練香で、代表的なものに六種の薫物(むくさのたきもの/むくさのたね)というものがあります。
六種の薫物は、その時々によって選ばれる六種類の練香に違いがある場合もありますが、古くより現代に伝わる有名なものは以下の六種類になります。
六種の薫物
梅花(ばいか)、荷葉(かよう)、侍従(じじゅう)、菊花(きっか)、落葉(らくよう)、黒方(くろぼう)
これらを作るための調合割合などの資料も現代に残っており、平安時代末期に天皇の命令により作られたお香のレシピ本『薫集類抄(くんじゅうるいしょう)』が有名です。
薫集類抄には、様々な合香家のレシピが記述されています。黒方などは20種類以上の調合レシピが記載され、六種の薫物以外の練香のレシピも書かれており、当時の日本のお香について知ることができる貴重な資料です。
ただし、記載されている内容通りに作っても良い香りがしないとも言われており、当時の香りの再現は難しいと言われています。
当時との香原料の産地や品質などの違いはもとより、薫集類抄などの文献からは読み取れない様々な情報があると私は感じております。
現在でも天皇家に伝わる六種の薫物の香りは、鳩居堂により伝承されています。宮中で古くより伝承されてきた香の秘方を、三条実美よりすべて伝授されたからです。
最初に六種の薫物の中で香りを聞くのであれば、お勧めは鳩居堂さんの黒方です。
また、黒方は一番人気がある香りになります。
他にも様々なメーカーが六種の薫物や色々な種類の練香を出しているので、線香にはない練香による和の香りを感じてみるのは如何でしょうか。
商品紹介
宮中の三条実美公親伝名香の黒方ではないですが、宮中より伝わるお香製造の技術で作られた鳩居堂さんの黒方もお勧めです。
気になる方はショップにてご購入可能です。