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シダダンというシダ植物同定クイズゲームが良すぎるということを語りたい

※この記事は、「ぷらんちゅシリーズ・シダダンシリーズ」のネタバレを含みます。未プレイの方はご注意ください。


皆さんはシダ植物についてどのくらいご存じだろうか。
私はつい2年前くらいまでは「ワラビとゼンマイ、あとはなんかそこらへんに生えてるワラビっぽい葉っぱ」という認識でしかありませんでした。なんなら、私にとってシダ植物は「ワラビの目印」くらいでしかなかったのです。

しかし、とあるYoutuberの方々をきっかけにシダ植物の多様性をなんとなく知り始めました。
生物系Youtuber界に颯爽と(?)現れた「ゆるふわ生物学チャンネル」のメンバー、植物学者のロッキーさんです。

https://www.yurufuwa-biology.com/home

ロッキーさんは植物進化学・植物生態学をメインに研究されているらしいのですが、シダがとにかく大好き。伝説のピクミン実況やジオゲッサー配信ではシダ植物に興奮したりシダ植物で地域を特定したりとシダへの愛と熱意の高さから、ゆるふわ生物学リスナーたち彼の影響で着々とシダへの興味をくすぐられていきました。

さらにゆるふわ生物学チャンネルの切り抜き動画編集を担当されているまいんさんがロッキーさんの影響でシダにどハマりされたことをきっかけに「シダ植物をモチーフにした男子達とシダが繁茂する世界でシダ植物クイズを解きながら冒険するノベルゲーム」を制作したのです。


なんて?


「シダ植物系男子達とシダが繁茂する世界でシダクイズを解きながら冒険するノベルゲーム」を制作。


すごすぎ。
元々まいんさんが作られていた「植物同定恋愛クイズノベルゲーム・ぷらんちゅ」シリーズの続編として制作されたこの"シダダン"は、瞬く間にゆるふわ生物学リスナーやシダ植物界隈を中心に駆け巡りました。
製作者であるまいんさん自身も生物学を学んだ生粋の生物学界隈の民、そして前述のロッキーさんをはじめガチの植物学研究者の方々がファクトチェックや写真提供に全面協力。

シダ植物のプロ達も関わった最高のインディーズゲームが爆誕したのです。



シダダンというゲームのすごさ

シダダン1はぷらんちゅシリーズの主人公と同一人物で、シダ植物が繁茂している見たこともない草原で目を覚まします。
「一体ここは…」と混乱していると、目の前に突然ワイバーンが現れます。
そして、訳がわからないままさらに目の前にウィンドウが現れ、シダ植物についてのクイズを迫られます。


ここでシダ植物なんにもわからない当時の自分は爆笑ののち「わかるかよ!!!!」と叫びました。(シダダンをプレイした人の一体何人が「わかるかよ!!!!!」と叫んだのでしょう。叫んだ方は私と握手しましょう。)

とにかく、シダ植物を何も知らない人間が何が何だかさっぱりわからないままシダクイズで戦ったりクエストをこなしたりすることとなるのです。

しかしご安心ください。シダダン1では、シダ植物についての授業を受けるシーンがあり、シダ植物の特徴や同定ポイントなどをわかりやすく知ることができます。
また、四賢者(+クエスト組)達のモチーフとなったシダを中心に問題が出て来るため、シダ植物がどんな特徴を持っているのか、どこを見て同定していくかなど基本的なことをキャラクターと結びつけながら覚えることができるのです。誤答しても主人公や対戦相手が正しい答えについて語り出すので、クイズ前にセーブをしておけばリカバリーがしやすい上、科ごとの違いや見分けるポイント、豆知識などの解説が随所随所に盛り込まれているのでゲームを楽しむだけである程度の知識が自然と身につきます。いや、刷り込まれると言った方が正しいかもしれない。

問題の傾向としては、シダダン1はシダの基本知識を、2は応用、3はさらに踏み込んだ知識、4は振り返りと新しい出会い、5はより深く広い知識を…という感じの構成になっている(と私は思っている)のですが、シダダン5ではついに国外のシダが問題に出てきて、本格的にシダ植物上級者向けになっている気がします。
国内のシダの分類すら全部覚えきれてないのにアミネア科なんてわかるわけねーよ!!!!!!😭
山と渓谷社様の「くらべてわかるシダ図鑑」を抱きかかえながらクイズに挑みましたが、まさか国外のシダが出てくるなんてね。くらべてわかるシダは国内のシダの一部を掲載している図鑑なので、当然わかるわけもなく…。
シダダン6に登場予定になっているキャラクターはすでに公開されているのですが、国外のシダモチーフの子達のようなので今から震えが止まりません。

しかし、基本的には前作までに登場した科を中心にクイズが構成されているため、「わかる…わかるぞ!!」と脳汁がブシャブシャ出る部分もたくさんあります。
図鑑もなしに「これは鱗片が基部に多くて胞子嚢は円腎型っぽいしオシダ科では!?」「偽包膜に見えるからイノモトソウ科かぁ!?」と自分の力で当てられた時の感動はひとしおです。

多彩なやり込み要素、そして広がる知識と興味

シダダンはどのシリーズもEDが6種類用意されており、トゥルーエンドの「胞子散布エンド」に辿り着くと後日談が解禁されます。そのため、EDをコンプリートしたり後日談を解禁するために周回することで自然と復習をすることになります。
私自身、周回を重ねるごとに段々と自分のシダ植物への解像度が上がっていきました。
そして、胞子嚢群の種類や羽状複葉の回数を数えることを覚えたりシダをパッと見て科を当てられるようになってくると、シダそのものへの興味がぐんぐん湧いてくるようになるのです。
身近なところでシダを探してみたり、植物園に足を運んでみたり、実際にシダ植物を購入して育てるようにもなりました。

推しの七化くんのモチーフになっているナナバケシダ
リュウビンタイの胞子嚢群の


綺麗
ヘゴさん

気がつけば、シダダンをきっかけにシダ植物が好きになっていました。


シダダンは二次創作オタクに優しい

シダダンのすごいところはシダ植物についての知識が身につくところだけではありません。
登場人物の性格や背景、関係性やストーリーがシリーズを重ねるごとに複雑に濃密になっており、二次創作大好きオタクが頭を抱えて唸るような世界観や裏設定が原作者のまいんさんによって公開されたりされなかったりしています。
要するに"キャラクターコンテンツ"としてのレベルもものすごく高いのです。オタク大歓喜!!

過去にはシダダン・ぷらんちゅオンラインイベントが行われたこともあり、二次創作には比較的寛容です。
(※内容によってはちゃんと隠れよう!)

シダ植物のことなんてなんにもわからなくても、癖(ヘキ)に刺さるキャラに出会えたらそこが沼の入り口。

目隠れとギザ歯が大好きな自分は、見事クエスト組の七化くんの沼に沈みました。

シダダン1に登場する七化くん


一周目では出会わなかったのですが、フォロワーさんがアップしていたスクショで一目惚れして慌てて二周目をプレイし、ビジュアルや性格に完全に沼に全身を持っていかれました。
全目隠れギザ歯キャラが居るなら言ってくれよ!!!!!!!

七化くんを生み出してくださって本当にありがとうございます。

シダダンは今年の夏にリリース予定の6に登場するキャラクターも含めキャラクター総数は40人近い(!!)数がいるため、どこかに癖に刺さるキャラと出会えるのではないでしょうか。


シリーズごとに込められたメッセージ

シダダン1は「シダを知ろう」という入り口。
シダダン2は学びから成長した自分を知り、間違っても落ち込んだり臆することはしなくていいというメッセージ。
シダダン3は自分が培った同定力は自分の力でもあり、過去の先人やたくさんの人々の努力や研究が合わさったものであるという気付き。
シダダン4は改めてシダって多様性があって面白いね!というお祭り気分。
シダダン5は新たなステップに踏み出そう、間違いを恐れず学ぼうという挑戦。
そんな感じを(自分は)受けました。


総括:シダダンは良い。

シダダンは個人の方が趣味で作られたゲームでありながら、情報の正確性やシダへの熱意は専門分野の方々も唸る作品となっています。
魅力あふれる個性豊かなキャラクターやストーリーと共にシダを学び、楽しく遊べるシダダン。
学術系Vtuberの方々や、冒頭でご紹介したゆるふわ生物学チャンネルさんの実況動画もYoutubeに上がっているので、クイズに自信のない方はぜひそちらをご覧ください。

シダダンはいいぞ。ポーションを作れ。

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