【micorai column ⑦】遺灰指輪の誕生話
20年、私はオーダーメイドで一点物のジュエリーを生み出すことに従事してきました。
結婚指輪や婚約指輪の制作が多い中で、遺灰指輪のご依頼も多々頂戴いたしました。
大切なお子様。
大切なご両親。
パートナーやご家族、ご親族。
特別な想いを込めた、世界で一つだけの指輪。
悲しみの中から、少しでもお空を見上げるきっかけになれば、と祈りながらお作りしました。
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そして、今から2年前に愛猫の死をきっかけに、この遺灰指輪制作工房をスタートしました。
(当初は、お姉ちゃん猫のミコが元気な間のみ行う期間限定制作活動でした)
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そのときに、様々な形の遺灰指輪をイメージして研究をしました。
「遺骨ダイヤモンド」
「貴金属に遺灰を「練り込む」特殊な金属」
などです。
ダイヤモンドも金属に生まれ変わることも、捨てがたい加工法ではありましたが、気になることがありました。
虹の橋を渡る際、高温で熱せられてお骨になります。その間、喉が渇かないように、と、お水を祭壇に何度も汲み直しました。
ダイヤモンドや金属に生まれ変わらせるには、かなりの圧力(熱)を加えます。
輝かしい命を全うし、熱い火の中からお空に旅立ったのに、また同じ思いをさせたくない。
そう思いました。
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出来るだけ、その存在は残したい。
そして、いつも、どんな時も身につけられるように、まるで、身に着ける方の「身体の一部」になるような、そんな指輪にしたい。
そして、今の遺灰指輪のデザインが生まれました。
指輪の内側にお骨(お遺灰)を納めるデザイン。
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加工中は、静かに、ゆっくりと、手作業でお納め致します。
「今日からはこの指輪にいるんだよ」
と声をかけながら。
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