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おこめちっくタイランド⑥
のどか、という言葉がこれほど似合う場所を私は知らなかった。
生まれ育った北国の町もなかなかの田舎だったけれど、こんなにも時間がゆったりと流れてはいなかったと思う。
朝は鶏のけたたましい鳴き声。空き地では水牛が草をはみ、散歩をすれば牛に道をふさがれる。
濃い緑、鮮やかな南国の花。ドアのない公衆電話、舗装されていない道、大人用の自転車を立ち漕ぎする少年。
適当な量のガソリンが適当なお酒の空き瓶に入って並ぶ小さな商店。そんなお店の前でおばちゃんが気だるそうに座っている。
どこかへタイムスリップしたような不思議な気持ちがして、これといって特に何もないのに歩き回るのが楽しかった。
ただひとつ大きな難点があってあまり長時間は歩けなかったのだけど。
とにかく暑い。すごく暑い。暑いばっかり口から出る。
ร้อนローン(暑い・熱い)という言葉もすぐに覚えた。
一度木陰に入ってしまうともう出るのが億劫になってしまう、慣れない南国の湿気と日差し。
マンガに描いたのはお散歩で出会った中でも特に印象的だったおじさん。
渋いジャケット姿のおじさんにセカンドバッグのように抱えられた鶏。そのふたり(ひとりと一羽)がなんとも言えない雰囲気を醸し出していて、かっこよすぎた。
こんな風に鶏を持ち歩く人を初めて見た。
動いたり暴れたり一切せずにじっと抱えられている様にも驚いた。鶏を捕まえたことは一度もないけど、こんなにおとなしいものなんだと。
店先で売っている瓶入りのガソリンをバイクに補充して、おじさんは鶏を小脇に抱えたまま颯爽と片手運転で去って行った。
今でこそ見慣れたバイクの片手運転もこの頃はまだ新鮮だったのもあり、たかだか数分同じ空間に居合わせた彼らの登場から退場までとにかく目が離せなかった。
タイっておもしろい!とわくわくせずにはいられなかった。
つづく。
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