下垂体腫瘍 眼科と脳神経科をはしご
怒涛の週末が過ぎて週が明けた火曜、眼科クリニックと脳神経クリニックの予約を取っていました。
まずは眼科で視野検査。
眼底検査と同じような器械を覗き込むと、
「これからいろいろな位置に光が見えますので、見えたらボタンを押してください。まっすぐ前を見たままで、光を探したりはしないように」
と言われます。
いきなりハードル高くないです????
こういう「……しないように」がある検査、いちばん苦手です。いろいろ不自由なので。
片目ずつ、なんとか光を探さないようがんばりながらひたすらボタンをカチカチしました。
さほど待たずに診察。
「どう?なんか見つかった?」
と髪切った?くらいのカジュアルさで訊かれたので、
「あ、はい、下垂体に腫瘍が見つかりまして手術することになりました」
と冷麺はじめました程度のトーンで返しました。
「えっ?あっ?そう?下垂体?手術?そうなんだ……」
どうも脳神経科クリニックの先生からの情報提供はなかったようです。
紹介状書いたらそのへん連絡があるもんじゃないのかと思ってたんですが……。
「そっかー、大変だね、うん、がんばって!」
今度は新人を激励する先輩くらいのノリでした。
病院にはいろいろ通いましたが、ちょっと新しいタイプの先生ですね。嫌いじゃないです。
初診で紹介状を書いていただいたお礼を言って、お会計を待っていると、
「溶けきのこさん、すみません、もう一度診察があります」
と呼び戻されました。
「あのね、手術するっていうから、手術する人用の視野検査をしておこうと思って。ちょっと時間かかるんだけど大丈夫かな?」
次に脳神経科の診察があるので、その予約に間に合いそうなら……ということで、また検査室に出戻りです。
今度は暗い部屋で、幕を隔てて視能訓練士さんと向かい合います。
「これから視界のいろんなところで光が動きます。さっきと同じようにまっすぐ前を見ながら、光が見えたらボタンを押してください」
さっきはただ光が点滅するだけでしたが、今度は光が動くバージョンのようです。
これが想像以上に長くて、途中でもういろんなところに光の残像が見えるようになってしまい、光ってるのかどうなのか、それが光なら私は闇なのか、何もかもがわからなくなってしまいました。
何度も休憩を挟みながら、40分以上かかって検査は終わりました。
いくぶんグッタリしてもう一度診察に入ると、
「おつかれさま。やっぱりね、両目の耳側の視野がちょっとずつ欠けてる感じだね。手術ね、ちょっと大変だろうけど、がんばって!」
検査結果を見ると、両目耳側の上のほうの視野がポツポツと欠けてる感じでした。
インターネッツにも「まずは耳側の上のほうから欠けてくる」とあったので、教科書通りです。
「あ、脳神経科の診察ね、時間ちょっと遅れちゃったけど電話かけておいたから。先生大丈夫だって言ってたから、安心して!」
えっ、気遣い……!!!!
今どきの先生ってここまでしてくれるんですね……。
改めてお礼を言って脳神経科クリニックに向かいます。
手術終わったら菓子折り持って挨拶に来よう。
平日の脳神経科クリニックはわりとすいていて、ほどなく順番が回ってきました。
「眼科の検査行ってきました?やっぱり両目の視野が欠けてましたね」
こちらの先生はあいかわらずゆっくり、目を見ながら話してくれます。
「血液検査の結果ですが、ホルモンの値に異常はありませんでした。ホルモンを出さない腫瘍である可能性が高いと思います。ただ前回言ったとおり、放っておくと視野も視力も失ってしまうので、やはり手術ということになるでしょう」
いろいろ訊いてみたいこともあったのですが、視野検査で若干フラフラになっていたので、おとなしく紹介状だけいただいて帰りました。
インターネッツには、下垂体の腫瘍も場所によっては取り除くのが難しくて、手術の後に化学療法が必要になったりするものもあるなど書いてあります。
私の腫瘍はどうなのかな?
MRIの画像を見る限りでは、形はつるんとしていて嚢胞になっている部分もなく、素直そうに見えます。
腫瘍にも顔つきがあるっていうじゃないですか。
なんか、話せばわかる奴だなって思うんです。いい奴ですよあいつは。和解できると思います。
まあ切除するんですけど。
短いつきあいにはなりそうですが、仲良くしていきたいです。
正確には、もうずーっと昔からいる奴らしいんですけど……いつからシェアハウスしてたんでしょうね。