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とある友人について

初めて彼に出会ったのは、もう10年以上も前のことになる。
大学入学当初、なんとなく入ったサークルのイベントで、彼に出会うことになる。
彼の第一印象は、控えめでおとなしそう。
言葉を選ばずに言ってしまえば

おもしろくはなさそう

そう思った。

そんな彼と私は、なんとなく入ったこのサークルで、のちに代表と副代表を務めることになる。
私が代表になって
「副代表をやってくれないか?」
と、彼に熱烈なオファーを送った。
私の熱に折れたのか、ついに彼は副代表になってくれた。

私と彼の性格、趣味・嗜好…
様々なものが異なっているように思う。
「これは受け入れられない」
彼の価値観に対して、そんな風に思うこともあった。
でもそんな彼が、大きく変わったように思う。
私も変わったのかもしれない。

彼は数年前にロンドンに移住した。
彼は現在も、向こうに住みながら仕事をしている。
大学時代留学をしていた私をみて影響を受けた、と彼は言う。
確かに彼はよく言っていた。
「海外に行きたいなあ」
そんなようなことを。
それでも私は、彼が実際にそのような行動に出るとは思ってもみなかった。
「まあこうは言うけれど、実行はしないだろうな」
そんなふうに彼を見ていた。

そんな彼がワーホリでロンドンに飛び立ち2年が経った頃、私は現地の彼を訪れた。
話していると、やはり合わないところがある。
お世辞にも広いとは言えない、彼の部屋で二人過ごす。
シングルベッドで二人寝るのも、快適とは言い難かった。

そうしてやはり、彼と衝突することになった。
今ではもうよく思い出せないが、何か小さな、お金についてのいざこざだったように思う。

それでもまだ、私達の関係は続いている。
そして私はこのことを、とても嬉しく思っている。

私の人間関係については「ドライだ」とか「冷淡だ」とか、そんなことを言われることがよくあるように思う。
まあたしかに私は、無理に人間関係を維持しようとは考えていない。
「お互い合わない、ストレスを感じるような関係性を維持する必要はない」
そう考えている。
今終わったところで、再会がないとも限らない。
またいつか話したくなったのなら、そのときまた話せばいいと思う。
生涯関わらないということも、あるかもしれない。
誰が悪いというわけでもないだろう。
私にとっては「今」取り返しのつかないような衝突を起こしてしまう方が怖い。
生涯禍根が残ってしまうような、そんなことになる方が、私にとっては嫌なのだ。
相手を傷つけたくもない。
出会いとは難しい。
出会ってしまったのなら、別れることもそう容易くはない。

脱線してしまったが私は、彼との関係を大事にしたいと思っている。
手放しても問題ない、そう思える人間関係が沢山あった。
いやむしろ、早く手放したかった関係もまた、沢山あった。
私にとって、彼との関係は大事なものになった。
初めて会ったとき

おもしろくはなさそう

だった彼は今、私にとってとても

おもしろい

烏滸がましい言い方かもしれない。
それでも、私にとって彼は興味深く、彼を尊敬するようになった。

私自身もまあ大変な人間であろう、そう思ったりもする。
私と共にいてくれることを、有難いと思うこともある。
君が好きだよ。

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ゆあ
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