松屋銀座「パンどろぼう展」感想と見どころ
1.概要
松屋銀座で開催されていた「パンどろぼう展」に行ってきました。会期終了してしまいましたが、感想をまとめてみたいと思います。
2.開催概要と訪問状況
展覧会の開催概要は下記の通りです。
訪問状況は下記の通りでした。
【日時・滞在時間・混雑状況】
まず11過ぎに整理券をゲットしました。整理券のQRコードを読むと待ち時間の目安が表示されるのですが、その時点で89分待ちでした。ランチを食べて時間を潰して12:30頃QRを読むとなぜか173分待ちに…。当日券組は13時以降の入場なのでよくよく考えればこの時点からスタートでした。結局入場できたのは14:30頃、2時間たっぷり見て回って16:30頃会場を出ました。入口の大量のベビーカーに客層が表れていました。
【写真撮影】
原画は基本的に撮影NGでしたが、フォトスポットが充実していました。
【グッズ】
シールやクリアファイルなど定番に加えて、アクリルスタンドやミニキャンバス、パスケースなど幅広くラインナップされていました。公式ビジュアルブックも内容が充実していました。
3.展示内容と感想
展示構成は下記の通りでした。
パンどろぼうは3月に「新美の巨人たち」で取り上げられたのを見て興味を持ったのですが、絶妙な可愛くなさが可愛すぎてすっかりはまってしまいました。シュールな展開や語感の良さも好きなところですが、何より「人に喜んでもらえる方が幸せだよ!」というメッセージが素直に受け取れるところが魅力だと思います。
今回は過去作の全原画が展示されていて、盛沢山の内容でした。実際に原画を見ると余白だと思っていたところも淡く色が塗られていたり、パステルで厚塗りした個所を引っ掻いて細い線を表現していたりと、仕上げの繊細さを感じることができました。パンの質感表現も気合が入っていて、特にクロワッサンのつやつや具合はとても美味しそうでした(私はライ麦パンとかカンパーニュといったかったいパンが好きであまりそういうラインナップがないと思って読んでいたのですが、子供でも見たことや食べたことがあるパンを多く描いているようです)。
ラフスケッチや柴田ケイコさんのコメントが並べて展示されている原画もあり、せかいいちおいしいもりのパンやのパン釜が分かりやすくレンガ造りになっていたりほっかほっカーの製造工程は手作業の絵を多くしていたりと、アナログな世界観にこだわっていることが伝わりました。
ところどころにパンどろぼうへの質問の回答があり、潔い発言の数々にしびれました(笑)。最後には新作の原画や柴田ケイコさんのインタビュー映像も流れていて、今後の展開であったり作品のより深い部分にさらに興味が沸く内容になっていました。
4.個人的見どころ
絵本を読んで特に好きだったシーン、原画を見て改めて魅力に気付いたシーンは下記の通りです。
◆『パンどろぼう』P.20-21
パンどろぼうが盗んだパンを食べて「まずい」と漏らす言わずと知れた名シーン(笑)。背景のブルーからパンどろぼうのがっかり感が強烈に伝わってきました。
◆『パンどろぼうvsにせパンどろぼう』P.28
リスくんが木の実や果物をパンどろぼうに届けてくれるのですが、バスケットに入れた木の実と果物が花束のようで、あたたかな背景色とも相まってひときわ美しい原画でした。
◆『パンどろぼうとなぞのフランスパン』P.6-7
なぞのフランスパンが世界一おいしい森のパン屋を荒らして夜の森を逃げていく場面です。紫や群青の木の葉や発光しているような白い幹など、フランスパンが突っ走っている以外は神秘的で美しい光景だと思いました。木々の色で季節感を演出しているところも作品に味を添えていると思いました。
◆『パンどろぼう おにぎりぼうやのたびだち』P.4-5
パンどろぼうの実家の光景。前作までのヨーロッパ風から一変して和風な世界が繰り広げられていました。ふすまや座布団の深緑色であったり格子柄であったりと、分かりやすく和を感じさせる要素というものがあるんだなと思いました。物語としては小麦一族のねずみだと思っていたのにもとは米一族だったという衝撃的展開でした。
◆『パンどろぼうとほっかほっカー』P.6-7
パンどろぼうが通り過ぎた車に水をひっかけられるシーン。このあたりの情け容赦ない描写も好きです(笑)。
5.まとめ
パンどろぼうの魅力に色んな角度から触れられてとても楽しめました。今週からは大阪、10月は高崎に巡回するので興味のある方は是非行かれることをお勧めします!