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SOMPO美術館「風景画のはじまり コローから印象派へ」
SOMPO美術館で開催されている
「風景画のはじまり コローから印象派へ」を観に行きました。
昨年移転されてからは初めての訪問です。
フランス・ランス美術館はルーブル美術館に次いで
コロー作品を多く所蔵するなど、風景画のコレクションが
充実しているそうです。ランス美術館のコレクションの
中から選りすぐりの名品を通してフランス近代風景画の
展開をたどるという内容です。
展覧会の概要、訪問状況は下記の通りです。
【概要】
会期:2021年6月25日(金)~9月12日(日)
休館日:月曜日 ※ただし8/9(月)は開館
開場時間:10:00-18:00(入館は17:30まで)
料金:一般1,500円、大学生 1,100円 ※高校生以下無料、日時指定制
【訪問状況】
日時:土曜日午後
滞在時間:14:00~15:30
混雑状況:それほど混雑はしていませんでした。
展示と展示の間隔が広く、ゆったりと観ることができました。
感染症対策:入口での手指の消毒、検温がありました。
写真撮影:不可
展覧会の構成は下記の通りでした。
第1章:コローと19世紀風景画の先駆者たち
第2章:バルビゾン派
第3章:画家=版画家の誕生
第4章:ウジェーヌ・ブータン
第5章:印象主義の展開
※最後に収蔵品コーナーがあります。
元々西洋絵画では宗教画、歴史画が中心で、
純粋に風景のみを描いた絵は傍流だったそうです。
その風景画が一つのジャンルとして発展していった
過程を追うことができる構成でした。
フランス革命や産業革命を経た社会的背景に加えて、
先輩から後輩への影響、同じ場所に集った仲間たちの交流、
19世紀における絵画指導の在り方など
人と人の繋がりの要素がクローズアップされているところが
印象的でした。
木の葉の点々とした描き方が筆触分割を思わせる作品や
森の描き方が抽象的で20世紀絵画を連想させる作品があったりと、
次世代の絵画技法の萌芽を感じられるものもありました。
西洋の風景画には「抜けるような青空」というものは
あまりなくてどこか朝焼けの名残や夕焼けの気配を感じる
色合いが多いと思っていたのですが、作家の関心が
光の効果や時間の移ろいにあったからでしょうか?
そんなことも感じました。
以下、特に気になった作品と作家を紹介させていただきます。
ジャン=バティスト・カミーユ・コロー「小川、ボーヴェ近郊」
1869-1870年
※グッズの絵ハガキを撮影
晩秋の光景でしょうか、水面に映る木々と
木漏れ日が美しいです。
森の清涼な空気が感じられます。
予め出品リストを見て楽しみにしていたのが
アンリ=ジョセフ・アルピニーの作品です。
2018年に東京都美術館で開催された「プーシキン美術館展」で
「女性のいる森の風景」という絵に魅了されもっと他の作品も
見たいと思っていたのですが、今回3点展示されるということで
ワクワクしていました!
「女性のいる森の風景」はクリアな色彩が印象的でしたが、
「晴天のサン=ブリエ」はむしろマットな感じでした。
線を描くというより色を置いているようなタッチは
共通しているように思いました。
アンリ=ジョセフ・アルピニー「夜明け」1890年
※グッズの絵ハガキを撮影
こちらの作品は樹木が水墨画のようなしっかりした
線で描かれており、樹の力強さが感じられました。
同じ作家でも作品を並べて見ると作風の幅を感じられると思いました。
(アルピニーは「樹のミケランジェロ」と評されたそうです。)
グッズの中で素晴らしいと思ったのが
こちらのジュニアブックレットです。
300円と手頃な値段なのですが、展覧会の要点や
ハイライトがしっかり網羅されていてコストパフォーマンスが
素晴らしいです!こんな感じのミニ図録が
他の展覧会でもあると嬉しいです。
最近西洋絵画をまとめて見られる機会が
限られていたのですが、重厚な油絵を見られたり
初めて見る作家の作品に触れたりできる貴重な機会になりました!
会期はまだまだありますので、皆様も是非!
風景画とは離れますが、収蔵品コーナーに
ゴッホとゴーギャンの絵が続けて展示されていました。
キャプションによると二人は同じ布地を分け合って
キャンバスに使っていたこともあったとのこと。
喧嘩別れの印象が強いですが、二人同じ目標に向かって
頑張ってた時もあったんだな~と思いました。