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黒色のノーリーとクリーム色のヒーメー (2)

***前回のお話し***

ヒッロ・ボウさんの家には、真っ黒で耳がツンと立っていて、スレンダーなノーリーと、クリーム色で両耳が垂れ下がり、ノーリーよりは少し小さめでフワフワなヒーメーというワンちゃんがいます。ヒッロ・ボウとこの二匹の日課は、ビーチまでの散歩。ビーチではリードをはずし、鳥を追いかけて遊ぶのです。ある日、いつものようにビーチでのひと時を過ごしていると、子ども達と出会いました。子ども達は、フワフワでクリーム色のヒーメーを気に入り、遊びたがります。一方で、真っ黒なノーリーを怖がり、近づきもしません。「ノーリーは、真っ黒。真っ黒は怖いから嫌だ!」と言うのです。なので、その日は、ヒッロ・ボウと2匹は、子ども達に別れを告げ、家路につきました。・


**********

ブルブルブルッ!!!!!

ヒーメーとノーリーは、体を振って海からの水を払います。すると、

「ジージー!!!!ノーリー、ヒーメー!!!!!!!」

可愛い声が聞こえてきました。ヒッロ・ボウの5歳の孫、ニッコです。

ニッコの声を聴き、二匹は駆け寄り、お尻フリフリ、お腹見せ見せ。撫でてー、遊ぼう!!!とアピールします。

ニッコ:「きゃー!!!」

ニッコの楽しそうな声とともに、庭で追いかけっこ。

ニッコは、この二匹が大好き。ニッコが赤ちゃんの頃、ニッコのママとパパ、そしてヒッロ・ボウの家族とヒッロ・ボウ宅で過ごしていました。そして、ノーリーとヒーメー二匹の家は、ニッコのベッドの横、窓越しにありました。産まれたときから、二匹を見ていたこともあるのでしょう。ニッコもノーリーもヒーメーも、お互い大好き。

ニッコ:「ジージー、お泊りしていい?」
ヒッロ・ボウ:「もちろんだよ!!ママに聞いといで!」
ニッコ:「明日、ニッコも一緒にお散歩行きたいなぁ・・・。」

すると、ニッコのママは、笑って「それなら、行っておいで!」

ということで、結局ニッコはお泊り決定。もちろん、ニッコの眠る場所は、二匹の家が窓を挟んですぐ横にあるお部屋です。

翌朝。

ニッコ:「まーた、ヒーメーがノーリーにお耳ペロペロしてもらってる!!甘えん坊!」

ヒーメーは、とても甘えん坊です。ノーリーに毎日、耳をペロペロと舐めてもらうのをおねだりします。そして、ノーリーに舐めてもらっている間、目を細くし上を向き、とても気持ちよさそうにし、時には寝てしまうのです。これが、ノーリーとヒーメーの日課。

ノーリーが、ニッコを発見。ヒーメーとの日課をほっぽり出して、駆け寄ります。それに続いてヒーメーもやってきて、今度はニッコ一人と2匹の追いかけっこが始まります。

ヒッロ・ボウ:「さぁ、散歩に行こう!!ニッコは、ジージーと手をつないで、ノーリーを。ジージーは、ヒーメーを。さぁ、行こうか!」

そして、一行はいつもの海岸へ向かいました。

すると、

「あっ!ヒーメーとおじちゃん!!!!」

子ども達の呼ぶ声が聞こえました。そして、駆け寄り、ヒーメーと遊びはじめます。

ニッコ:「ノーリーもいるんだよ!」
子ども達:「ノーリーは、怖いから。」
ニッコ:「ノーリーは、怖くないよ!優しいんだよ、ほら!」

となでて見せましたが、子ども達は聞きません。

ニッコは納得がいかず、ふくれっ面をしていましたが、そのまま、海へ向かい、二匹のリードをはずし、海へ走らせました。子ども達もニッコも二匹に続き、一緒になって鳥を追いかけます。

子ども達:「ヒーメー、あっちにも鳥いるよぉ!」「ヒーメー、こっちにも来てよ!」「ヒーメー、お腹すいた???」

聞こえてくるのは、ヒーメーを呼ぶ声ばかり。

その様子を座って見ていたヒッロ・ボウの横に、ノーリーがやってきました。そして、一緒に座ります。一緒に座る様子を見たヒーメーが、焼きもちでしょうか、全速力でヒッロ・ボウの元へやってきました。それを追うように、子ども達とニッコもヒーメーを追いかけて走ります。

すると、少年が転んで泣いてしまいました。
それを見たノーリーは、即座にその少年の元へ走りました。そして、ヒッロ・ボウに伝えるかのように、子どもの横で吠え、座りました。

転んだ少年:「あっちに行ってよ!怖いんだから!ヒーメーがいいんだから!」

そういって言って泣きます。

ヒッロ・ボウが、ケガがないか確認すると、少年は立ち上がり、ヒーメーを引っ張り、連れて行こうとします。でも、ヒーメーは行きたくありません。動きません。だって、ヒッロ・ボウとニッコ、ノーリーと一緒にいたいから。すると、少年はヒーメーを抱き上げました。
ですが、ヒーメーは嫌がり少年の腕の中で動きます。ヒーメーが嫌がる様子を感じたノーリーが吠えました。少年は怖がり、ヒーメーを落としてしまいます。そこにノーリーとニッコが駆け付けると喜び、クルクルと回って見せました。

すると突然、ニッコが泣き出しました。

ヒッロ・ボウ:「どうしたの!?」
ニッコ:「だって、ノーリーはこんなに優しいのに。ヒーメーは、行きたくないって言ってたのに!」
ヒッロ・ボウ:「ニッコは、怒っているんだね。」

ニッコ、コクリとうなずきました。

ニッコ:「ノーリーもヒーメーも、いじめっ子とは遊ばないよぉ!!ジージー、あっちいこ!あっかんべぇー! 」

ニッコが遠くを指差しそう言っていると、ノーリーとヒーメーは、海で鳥を追いかけていきました。

その二匹を追いかけるように走りだした子ども達。

ニッコ:「ダメ!!!一緒に遊ばないんだから!!!ノーリーとヒーメーはニッコとジージーとだけで遊ぶんだもん!!!」

大きく手を広げ、通せんぼ。

すると、ヒッロ・ボウが立ち上がり、

ヒッロ・ボウ:「ノーリー、ヒーメー、おいで!帰ろうか。」
ニッコ:「帰らないもん!この子達と遊ばないだけ!」

通せんぼを続けるニッコの元へ、ヒーメーはやってきましたが、ノーリーは来ません。ヒッロ・ボウの横に座り、見つめています。

子ども達:「ノーリーが怖いから悪いんだよ!」

ニッコ:「ノーリーは、優しいもん!みんながいじめるからだもん・・・。遊びもしないのに・・・」

そう言って、ボロボロと泣き出したニッコの横にノーリがやって来て、腕をペロリ。

ニッコ:「ほら・・・ニッコが泣いてるから心配してきてるんだよ!!!なんで、怖いって言うのぉ!!もう、遊ばないから!」

ヒッロ・ボウは、戻ってきた二匹にリードを付け、ニコの手を取り

ヒッロ・ボウ:「ケンカするようなら、二匹を連れて帰ろう。ノーリーは、とても優しいんだよ。ヒーメーだって楽しく遊びたいんだから。きっと、みんながケンカするようなら悲しくなっちゃうよ。」

納得がいかない子ども達とニッコ。

そこには、ニッコにつられて泣いている子がいました。そして、ヒッロ・ボウは、ノーリーとヒーメーを連れて、その子の横へ行きました。

ヒッロ・ボウ:「ごめんね。泣かせちゃったみたいだね。もう、帰るから、大丈夫。」

ニッコ:「ノーリーとヒーメーは、こっち!ニッコといるの!」

ペロリ。

ノーリーが、泣いている子の腕を舐め、横に座りました。

ニッコ:「ノーリー、いじめられるよ!そこにいたら、ダメ―!!!ジージー!!!」

泣いている子ども:「あれ・・・?舐めた。。。怖くない。。。」
ヒッロ・ボウ:「お手って言ってごらん。」
泣いている子ども:「お手・・・」

手を出しました。

それを見たヒーメーは、黙っていられません。駆け寄り、私も見て!!と言わんばかりにノーリーと一緒になって言われた芸をしてみせます。

ニッコ:「回れ!って言ってみて・・・。手をこうして見せるの。」

といい、手で円を描いてみせました。

すると二匹は一緒に回ります。ヒーメーは、回り続けます。

ニッコ:「ワン!」

ノーリー&ヒーメー:「ワン!!!」

子ども達:「すっごぉおおお!」

真っ黒で怖いと言っていたのに、ノーリーにも駆け寄り、

子ども達&ニッコ:「おすわり!」「ジャンプ!」「ワン!」

ノーリー&ヒーメー:「ワン!」

いつの間にか、全員が一緒に遊び始めます。

ニッコ:「ほらね。怖くないんだよ。」

自慢げにそういいました。もう、涙はありません。



ヒッロ・ボウ:「さぁ、帰ろう!」
子供たちとニッコ:「やだぁ!まだ遊びたい!」
ヒッロ・ボウ:「みんなも明るいうちに帰ろう。家族が心配しちゃうからね。」



ニッコの手をとり、ノーリーのリードを持たせました。

子供たち:「おじちゃーん、ノーリー、ヒーメー、ニッコ―、また遊ぼうね!」

ヒッロ・ボウはニッコを向き、

ヒッロ・ボウ:「ノーリーも一緒にいいみたい。」

とウインク。

ニッコ:「またねー!言ったでしょ!ノーリーは優しいんだよぉ!」

といって、手を大きく振りました。

ヒッロ・ボウ:「ニッコは、ノーリーが仲間外れにされていて、悲しかったんだね。守ろうとしていたんだね。」

ニッコ:「だって、みんなが怖いっていうから・・・!怖くないのに」

ヒッロ・ボウ:「まだ知りもしないのに、見た目で怖いなんて言っちゃうと、寂しいよね。ニッコは、みんなに分かってほしかったんだね。本当は、ノーリーは優しくて楽しいって。きっと、ノーリーはニッコに感謝しているよ。ニッコが優しいって言ってくれたおかげで、みんなと遊べるようになったんだから!でも、ニッコももう遊んじゃダメなんて言うと、誰もいい気分がしないよ。悲しいよ。」

ニッコ:「ニッコは、ノーリー優しいってわかるもん。面白いってわかるから、お手ができることをみんなに教えてあげたんだよ。」

とドヤ顔。

ヒッロ・ボウ:「きっと、みんなが本当のことを分ってくれる、いい方法があるんだ。その方法が、今日はきっと、みんなでお手したりして遊んだことだね。」

ニッコ:「沢山お友達できた!」

ヒッロ・ボウ:「これは、ニッコもノーリーとヒーメーに感謝しないとね。」

ニッコ:「ニッコだけじゃなくて、ノーリーとヒーメーもだよ。」

ニッコ:「ははは。ママとパパとばーちゃんにも教えてあげようね。」

ヒッロ・ボウ:「ハハハ。もちろん、そうしよう!」

ニッコ:「ちゃんと言ってね、ニッコはノーリーとヒーメーを守ったんだから!」

ヒッロ・ボウ:「ハハハ。その通り!」


チャンチャン。 (終)



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