story 中免GET
桜が散った。あっとゆー間に5月になり俺はとうとう教習所を卒業し、晴れて中免を獲得した。
隣町の暴走族の天野先輩から15万円で単車を譲ってもらった。カワサキの400ccゼファーという単車。青色のタンクがカッコ良くてかなり気に入ってる。俺は青が好きだ。マフラーは直管だし最高。
伸び切った青い髪の毛をバッサリ切って黒染めしてからパーマを当ててパンチパーマにした🦱。親には「お前、昭和だな〜」なんて笑われる始末。
日曜日の夕方、鑑別所で仲良くなったユウタという奴と会う事になりユウタの地元である川口まで電車で会いに行った。ユウタの地元は埼玉県でもほぼ都内で洒落たヤンキーでありながらもイカつさを兼ね備えた感じ。 ユウタの単車で2ケツして大通りを流してから浦和のクラブに行こうという話になり2人で電車で浦和に向かった。
あまり地元近辺から出た事のないモロ田舎者の俺にとって都内寄りの埼玉はかなり栄えて見えた。上下白のスウェットを着ていた俺にユウタは「おいおい、クラブ行くのにそのヤンキー丸出しはないだろう」と言う。笑 すぐさま駅前の大型デパートで全身ユウタにチョイスしてもらい買い揃えた。 黒金のTシャツにデニムを購入した。
コンビニで缶チューハイを買って駅前で飲みながら鑑別所での話とか色々な話をして時間を潰した。ユウタは同い年で16歳なのに鬼の顔の刺青を右肩から肘下くらいの位置まで入れていてかなり羨ましい。完全に危ない誘惑だ。笑
夜9時になり、ようやくクラブの開店時間になった。店に入るとすでに客が結構いる。なんか男も女もヤンキーみたいな奴らばっか。暗い店内で爆音で洋楽が流れてる。それがクラブ初デビューの第一印象だった。
ユウタと店に行くとVIP席に知り合いがいるみたいで話をしてる。VIP席とはソファになっていてしっかりテーブルがあって飲める席だ。一般客は基本立つか店内にある丸椅子に座ってる。店内は爆音で声が聞こえづらいため、みんな話す時はかなりデカい声で話してる笑
話が終わったみたいでユウタとカウンターに酒を注文しにいく。 きっと未成年の客も結構いるけど余裕で酒を提供してくる。笑 俺はコーラが好きだからマリブコークという酒を注文した。 いい匂いがしてなんか酒まで洒落た感じで大人になった気分。笑
なんだかんだで酒を1杯、2杯と飲んでくると酔いが回ってきて楽しい気分になってきて爆音の音楽も気持ちいい。 しばらくするとVIP席にいたユウタの知り合いが「一緒に飲もうぜ」と声をかけてきて人生初クラブでVIP席に入らせてもらえた。
この人達はユウタの地元の先輩とその友達みたいでかなりイケイケだ。ほとんどみんな刺青入ってるし。そして乾杯一気が始まった。俺も一緒に飲まされたがもう完全に酔っ払ってて口から酒を溢しながら飲んで服に吸わせるスタイル。笑
テーブルの上は溢れた酒まみれで店員にとって最低な飲み方だ。
酒が入るとみんな手が付けられない。シンナー吸ってヨダレ垂らしてる奴を蹴り飛ばしてる。たしかに蹴っ飛ばしたくなる気持ちはわかるけどね。笑
俺とユウタもかなり酔っ払ってクラブを出たのは深夜2時だ。終電も無くなってるのでまたコンビニで酒を買って2人で飲んでた。もう飲みたくはないけど。とりあえず飲んじゃってる感じ。酔いが回りすぎて2人とも吐きまくりだ。笑
駅から少し歩いて新幹線沿いのフェンスで朝まで眠った。16歳のホームレスの完成だ。通勤途中のサラリーマンの足音で目が覚めて朝8時に電車に乗って家に帰る事にした。完全に2日酔いだったため、帰ってからまた夕方まで寝てしまい仕事は休んでしまった。
夕方6時に目が覚めると隣町の成塚と秀人から鬼電来てた。びっくりして折り返すと隣町の暴走族メンバーの野口というやつが暴走族を辞めると言って行方不明になったみたい。隣町の先輩達に探し回られてるらしい。。「見つけたら連絡をくれ」と言われたがあまり首を突っ込みたくなかったので空返事をした。暴走族はほんと大変だ。
その日は夜からまたリョウと合流して愛車のゼファーで走り回った。夜流すと風が気持ち良くて本当に最高な気分になる。パンチパーマで単車に乗ってるとたまに暴走族と勘違いされたりするから少し面倒だけど。
次の日はまたちゃんと現場に出た。
朝仕事に行くと社長にゲンコツをもらった。日給も6000円から7000円に上げてもらって1ヶ月25日出勤だとすると25000円も月給が上がった。社長は本当にやる気にさせるのが上手。
都内の現場はマンションだったけど今の現場は一軒家だから現場監督が煩くなくてそれなりに自由に仕事ができる。一軒家の現場だと住人のおばさんが休憩中に飲み物をくれたりする。ほのぼのした感じで嫌いじゃないな。中免を取り単車をゲットしたから最近のやり甲斐は遊ぶ金と服を買う為に働いてる。 目標を作るって本当に大切。出所してから2ヶ月が経ってまた遊びに夢中な生活に戻りつつあるけどちゃんと真面目に仕事はしてる。
頑張ろう。