story ヤキ
隣町の成塚との一件からもう1週間が経とうとしている。
おれは変わらず仕事に行ってるし今までと変わらず生活をしてる。いつ警察が来るかと毎日考えてた。
冬の季節は寒くて左官屋は手が悴んで朝はほんとに辛いけど現場が終わって作業車に乗る時の安心感と帰路につく車の中の解放感が快感だ。
リョウが通う高校の文化祭に彼女のミユを連れて行った。ヤンキーみたいな生徒ばっかりだ。
俺は半年で退学してしまったから文化祭が羨ましかったりした。
体育祭は経験できたが教室で寝て過ごして競技には出なかったから高校生らしいこと出来てなかったな。彼女のミユも2学期いっぱいで高校を辞めてしまうみたいで髪を染めるようになってた。
文化祭を出て地元に戻りミユと公園の個室トイレでまたヤらかした。笑 野性の本能だな。
夜になりミユを駅まで原付で送って行って話をしてるとロータリーに中学の一個上の奴がヤンキー座りで誰かと電話してた。ジロジロ見てくるのでイライラして気付いたら蹴っ飛ばしてた。笑
ぶん殴ってまたカツアゲ。不意打ちで1、2発殴ってノックアウト。3千円しか入ってなかったから2千円をミユにあげたけど一緒にいる時に喧嘩されるのは嫌みたいでミユは怒ってた。
この頃はなんの躊躇もなく殴ってた。地元で好き勝手やってた俺は次第に地元の先輩達に目をつけられ探される様になっていった。地元はノーヘル厳禁だが平気で無視して走り回ってたもんな。
越谷の亜登夢と宮下はひったくりで逮捕されて鑑別所に入った為、高校はクビになったみたい。アホだ。笑
なにも変わらない毎日だがどこか不安で成塚に連絡してみると成塚も何も変わらない日常を送ってる様だ。ただ、気掛かりなのは相手が成塚の彼女の知り合いだから顔はすぐに割れてしまうという事だよな。
それから何日かするとやはり成塚に隣町の暴走族の先輩から連絡があった様で警察よりも先に俺達は隣町の先輩に呼び出されヤキをもらった。
どうやら相手の地元のOBから隣町の先輩達に連絡が入ったみたいだ。成塚が一番避けたかった展開だろう。
「テメー暴走族もやらねーくせに勝手なことしてんじゃねーぞ半端もんが」こんな事を言われ6人の先輩達から無抵抗のまま何度も殴られた。
1時間くらいボコボコになるまでぶん殴られた。「これで終わりじゃねーぞ。明日も夜11時ここに来い」正座させられた状態で殴られ続けたもんだから足が痺れて立ち上がる事すら出来ない。
そして翌日もまた1時間くらいボコボコになるまでヤキをもらった。顔面はもうパンパンに腫れ上がって感覚がなくなりほっぺが取れてしまった様な感覚を覚えた。
結局隣町の暴走族の先輩が先方とは話をつけてくれて丸く収まったみたい。俺達は相手の地元立ち入り禁止となった。
連帯責任として俺と成塚以外にも秀人や隣町の友達も一緒にヤキをもらっていた。申し訳なさと同時に暴走族ってほんと大変だよな。入ってなくてよかったなんて感じてた。
相手は鼻と肋骨が折れて入院したらしい。生きてた事を知っただけでホッとしていた。
だけどこれで一件落着なんていかない。まだ警察からいつ連絡が来るかもわからないんだよな。