見出し画像

story 提灯祭り

7月。とうとう誕生日が来て俺も16歳となり免許センターに行き念願の原付免許を取得した。元々運転した事もあり楽勝で合格した。笑

成塚が単車に乗り換えるとの事で白のZXという原付を譲り受けた。

高校にも駅の近くのマンションに原付を止めて通学していた。浮かれていた俺は毎晩リョウを乗せて地元を走り回ったりしていた。もちろんノーヘルだしやりたい放題だ。

免許を取ってからは行動範囲も広がり彼女とも色々な所に出かけた。学校を寝坊しがちになってきてしまった。ちなみにある程度ちゃんと学校には行ってたから1学期末テストは赤点ゼロだ。

最近は中学の時から溜まり場にしていた隣町のイトーヨーカドーは警察が徘徊していて溜まり場に出来なくなってきた為、秀人の住む団地かコンビニが溜まり場になった。

7月18日隣町の提灯祭り。人生初の神輿担ぎを経験。すごいギャラリーで地元の同級生も沢山来ていて俺はドヤ顔で担いでいた。祭りは楽しい。初めて知った。

夜9時になると神輿をぶつけ合いお祭り男達が殴り合いをするのが恒例な粋な祭りだ。警察も沢山来ていた。

神輿が終わり夜10時頃成塚と秀人と駅から少し離れた駐車場で語っていた。すると単車が8台止まって隣町の暴走族が集まってきた。高橋や他の連中もいた。

「お疲れ様です!」元気よく成塚と秀人が隣町の先輩方に挨拶をした。俺は不良の先輩がいなかった為見よう見真似で挨拶をしてみた。

すると「テメー誰だよ。挨拶もできねーんか?あっ?」

隣町の先輩に言われた。どうやら自己紹介をしなかったからみたい。

イラッとした俺は顔に出てしまったようでいきなりぶん殴られた。

「なんだその目?なめてんのかよガキが」

成塚と隣町の友達がすかさずフォローしてくれていたがバカな俺は食ってかかった。

「テメーが誰だよ」と言って先輩を殴り返したが喧嘩慣れした相手には敵わずその場でボコボコにされてしまった。これまでにないくらいにボコボコに。白の祭り衣装も血まみれだ。

最後に髪の毛を掴まれ「ヨソの街きて粋がってんじゃねーよ。次はこんなもんじゃ済まさねーぞ」ドンっと顔面にサッカーボールキックを食らった。

「おいっ!このガキに礼儀教えとけ!」と言って先輩は離れていった。

「すいませんでした!俺らがしっかり教えとくんで!」隣町の奴らがまたフォローしてくれた。

俺はホッとしたと同時に正直納得もいかなかった。痛みでしばらく俺は立ち上がる事が出来なかった。

少しすると別のサングラスした先輩が近付いてきて「お前、気合い入ってそうじゃん〜。」なんて笑われた。この人は一個上の天野先輩という人らしい。成塚が可愛がられてる先輩の様だ。

「マジで痛いっす。立ち上がれません。」俺が言うと天野先輩は爆笑しながら肩を貸してくれて座らせてくれた。

「お前名前は?」またぶっ飛ばされると思い今度は素直に自己紹介した。

「白里の中島です。よろしくお願いします」

天野先輩「やればできんじゃん。俺、天野。よろしく」天野先輩はほんとによく笑う人だ。そして天野先輩とは連絡先を交換した。「んじゃ、またな中島。気をつけて帰れよ〜」先輩達は爆音で走り去っていった。

隣町の友達には「まじごめんな」なぜか謝られたが俺が謝りたいくらいだった。話を聞くと暴走族は上下関係がしっかりあって上が黒と言えば白いものも黒という世界なのかなと感じた。俺には絶対に向かないと思う。笑

俺がぶん殴られた先輩は隣町の2個上で鎌田さんという暴走族の総長らしい。よりにもよってトップに食ってかかってしまったみたい。

そのあとも1時間以上立ち上がれずようやく立ち上がった頃には深夜0時を回っていた。幸いにも駅からは離れていた駐車場で警察にも補導されずに済んだ。原付は成塚に運転してもらいそのままみんなで秀人の家に行った。左の瞼が腫れていて変な感覚だ。

酒を飲みながらみんなで語り合っていたが気づいたら寝てしまい朝10時になっていた。みんなまだ寝ていてイビキがうるさかった。笑

親からはまた何度も電話が来ていた。

秀人に先に帰ると伝えて一旦家に帰った。

家につくと「あんた、なにその顔は?高校生なんだからそんな事してないでちゃんと学校行きなさい」ごもっともだが無視してシャワーを浴びに行った。傷口が染みてモロ痛い。ほんとボコボコ。そのままベッドに横になり夕方まで寝た。

目が覚めてからはまだ少し体が痛いがリョウを誘ってドンキに行ったりして原付で走り回った。ノーヘル2人乗りだからパトカーが追い掛けてくるが逃げて遊んでいた。原付で走りながらロケット花火をぶっ放すという迷惑極まりない事を繰り返した。笑

あと少しで1学期も終わり高校生活初の夏休み。楽しみだらけだ。




いいなと思ったら応援しよう!