【音楽チャート】カネコアヤノ,Skrillex,Kendrick Lamar… #005 脱字コミュニケーションリスナーが聴いてる音楽TOP5
どうも、ポッドキャスト番組「脱字コミュニケーション」で喋っている、もこみと申します。今日はArctic Monkeysの来日公演を観るために大阪に来ています。この文章はそれまでの待機時間にUSJのタリーズコーヒーで書いています。流石に場違いで少し恥ずかしい。でも他にも締め切り間近の原稿が………
さて、リスナーのみなさまが今どんな音楽を聴いているのかのデータを、ポッドキャストの更新に合わせて隔週で公開していきます。
前回はコチラ。
#005 第5回配信後
第5回エピソード「ジブリについて語ろうとするとき(feat. 『海がきこえる』」配信後(2023年3月12日時点)のトップ5は以下の通りです。
1.カネコアヤノ(➡️)
2.スクリレックス(⬆)
3.ケンドリック・ラマー(🆕)
4.betcover!!(🆕)
5.ケレラ(🆕)
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1位:カネコアヤノ
またしても1位はカネコアヤノ。実は先週スクリレックスが1位になった日が1日だけあったのですが、次の日にはカネコが追い越していました。強すぎる。
本連載では何度でも同じことを言っていますが、最新作『タオルケットは穏やかな』は名盤と言って差し支えないと思います。
このアルバムは愛の輪郭を探る作品だと思いました。3曲目「季節の果物」の〈優しくいたい/海にはなりたくない/全てに捧ぐ愛はない〉ってめちゃくちゃ良い歌詞ですよね。見えないけど確かに感じる朧気な愛…というモチーフは今作だけでも幾度となく登場しますが、それは誰にでも渡せるものではないというカネコアヤノらしい主張がこの曲では表現されています。秀逸なのは「海」を引き合いに出している点ではないでしょうか。愛は決して海のように全てを包むような穏やかなものではないんだよ、とか、あるいは海を集団になぞらえて「私は私だ」というような個の主張をしているとも読めるかもしれません。
ちなみに「海」は8曲目「こんな日に限って」でも出てきますね。
〈金色に光る/完璧な海/生きているうちに/良かった/見れて〉
【アルバム】カネコアヤノ『タオルケットは穏やかな』(1994)2023年1月25日リリース
2位:スクリレックス
順調にランクアップしたスクリレックスは今回第2位ですが、上述した通りカネコアヤノを抜いて1位になった日がありました。やはりアルバムを2枚出しているのが奏功したのでしょうか。
私のお気に入り曲は、初めにリリースされたクラブミュージック色の強い『Quest For Fire』の中で言うと3曲めの「Tears」です。この曲はシカゴ発祥とされる過激なヒップホップのサブジャンル、ドリルミュージックをEDM経由で再解釈したようなサウンドが特徴的。しかもよく聴くと曲の展開が尋常じゃなく凝っていて、ガラスの擦れるような質感の強烈に印象的なフレーズも一度目と二度目では違った表情で提示されます。
【アルバム】Skrillex『Quest For Fire』(OWSLA)2023年2月17日リリース
3位:ケンドリック・ラマー
3位にはサマソニでの来日も決定しているケンドリック・ラマーがランクイン。本連載では3度目、前々回ぶりの登場です。
もちろん最新作『Mr. Morale & The Big Steppers』も好きですが、私のイチオシはその名が世界に轟くキッカケとなった2012年作『good kid, m.A.A.d city』です。2022年には米ローリング・ストーン誌による「史上最高のコンセプトアルバムTOP50」にて、Green Day『American Idiot』やPink Floyd『The Wall』を抑えて1位に選出されていましたね。本作の国内盤CDには7ページも及ぶ超詳細なライナーノーツに加え、歌詞対訳も解説がふんだんに施されている(現在手元になく確認できませんが、解説は小林雅明さんによるものだったと思います)ので、「買い」です。
note記事だと本作の日本語版Wikiを書いたという方によるこちらの記事が良かったですね。記事末尾にもリンクを貼っておきます。
最新作のツアーのセットリストでも本作からは「Backseat Freestyle」「m.A.A.d city」「Swimming Pools」「Bitch, Don't Kill My Vibe」あたりの人気曲はプレイされているので、サマソニに行く方はぜひ。
【アルバム】Kendrick Lamar『Mr. Morale & The Big Steppers』(Top Dawg Entertainment)2012年10月22日リリース
4位:betcover!!
4位には東京都調布市出身のヤナセジロウ率いる betcover‼︎が8週ぶりに脱字チャートにランクイン。初回は年末のアルバムリリースの影響もあり1位でしたが、ここに来て再度ランクインするという人気の根強さを感じさせますね。
2021年、それまでのレーベルを抜けて自主制作でリリースした傑作『時間』をキッカケに人気と評価が爆上がり。ただ、自主制作であるがゆえにメディアへの露出はありませんでしたが、先月Rolling Stone Japanにて小熊俊哉さんによるインタビューが公開されました。「このまま一ファンとして行く末を見守ることもできただろうが、彼らが誰よりもユニークな音楽を作っている確信があるのに、声一つかけずにメディアの仕事を続けるなんて嘘にも程がある。」という前文はアツいですね。内容も膨大で濃密、必読だと思います。
あと、しろみけさんという方が最新作『卵』についての文章を書いていました。「卵」を「らん」と“誤読”することから始まる秀逸な文章、これも必読。
私もインタビューすべきだと思い、とあるメディアに連絡したのですが、その前日にインタビューをしたらしく叶いませんでした。まあメディアを通さずに個人で動いてもいいんですが、ここまでの内容のインタビューが上がってくると「ま、いいか」という気分になりますね。嘘です。やりたいです。同い年なのもあり、あなたの作品からは非常に刺激を受けています。色々話してみたい。年末一瞬だけ話したけど「インタビューしていいですか?」って訊けばよかったな。次は訊きたい。待ってろヤナセジロウ!
【アルバム】betcover!!『卵』2022年12月21日リリース
5位:ケレラ
5位にはアメリカのR&Bシンガーソングライター、ケレラがランクイン。R&Bといっても、全体の質感はフランク・オーシャン『blonde』由来のアンビエントと融合したオルタナR&Bです。ビートはダンスミュージック色が強く、リード曲「On The Run」ではLAのプロデューサーKAYTRANADAが参加している(昨年静岡のプロデューサーbohemia lynchも参加の傑作EPをリリースしたJunglepussyまでクレジットされている!)ように、ヒップホップも感じさせます。
早くも年間ベストとの呼び声の高い本作。未聴の方はぜひ6曲目「Closure」〜「Contact」〜「Fooley」の流れだけでも聴いてみてほしいですね。艶やかで上品な傑作です。
【アルバム】Kelela『RAVEN』(Warp)2023年2月10日リリース
【参考】
【ライター】
もこみ(https://lit.link/mocomi)
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