デッドムーン・メタフィジカリー:ブレイキング・オン・マーズアタック・エアフォース(嘘予告)


(これまでのあらすじ:ギャラクティック・エアフォースが解き放った呪われし72のカウベルは凄まじいスピードでスペイシー時空に広がりゆく。全宇宙で秒間三億人以上のパトリオット人間が産み出される中、デッドムーンの駆るネズミハヤイDⅢは聖痕を宿す少女を乗せ、走る。全てを終わらせる為に!)

ブッダコスモス……ユーアーインザスペース……。
「エーテルが満たされる。いいクルマね、デッドムーン=サン」
「お誉めに預かり、恐縮だ……」
少女マルテはアグラ・メディテーションを崩さない。
その両手両足、腹、喉、そして額がボウッと光る。

「段取りはいい?エアフォースの奴ら、今度こそ好き放題してくるわよ」
「こっちはとうに準備万端。いつでも旗振ってくれりゃいい」
スピーカー越しに会話するマルテとデッドムーン。
最終決戦は近い。

火の星に全ての聖痕が輝く時、邪悪なる雲晴れん。
スペイシー時空に伝わるお伽噺。
だがそれは事実だった。
現在マルテと意識を輻輳させている高次元知性体、
ヴァイスクロイツが語り伝えようとしたものだったのだ。

「歴史は隠され、真実が消えかけていた。
 あなたがたのお陰で、その闇も晴らせそう」
「オイラ、大したことはしてねえよ!」
「そうだゼ?
 オレのレディが最速!それを証明するだけサ」
会話に割り込んできたのはキッドムーンとジェットムーン。
彼らは別次元におけるデッドムーンだ。

「娘よ……聖痕の示す場所……探査できたか……」
「ええ」
ゴッドムーンの超越的呼びかけにマルテが応える。
「ネガベテルギウス銀河、ジュラ星系唯一の太陽に最も近い星」
「そ、そこにはカレーがあるかなあ」
ファットムーン。

「お腹、すいたよ」
「生憎食ってる場合じゃない。仮にあったとしてもな……」
デッドムーンはアステロイドベルトを巧みに縫って走る。
今、少女が付与しているオーバー・エンチャントは、
デッドムーンら全員の武装霊柩車をエーテルの波で覆い守っている。
その超自然的力場が作用し、
単なるクルマであるネズミハヤイ他に光速宇宙船めいた性能を与えているのだ。

「ニャウー、ワフワフワン!ワワン!」
先頭に躍り出たペットムーンが、何かを見つけ全員に知らせる。
「イヒッ。ヤバそうなのが来ますよ、諸君!」
続いてバイオ液晶パネルから緑の溶液を流す武装霊柩車、ネズミヤバイ。
マッドムーンのパートナーだ。

ネガベテルギウスへの道程を示す龍脈コース上、
闇が凝り怪物が実体化する。
ギャラクティック・エアフォースの主要戦闘機、ヘルアライアンスの群れ。
パイロットは例外なく狂気のパトリオット人間だ。
ざっと30ダースはあろうかという大部隊だが、
これは奴らのほんの一部に過ぎない!

「私の計算ではカウベルが宇宙の膨張に追い付くまで720秒!
 こいつらに構ってる暇はありません、5秒以内に突破です!」
「上等…!」
ハーバードムーンは高いIQから最適ルートを導き出し、
デッドムーン達に共有する。
淀み無い伝達はチャットムーンによるものだ。

『おれガばっくあっぷ二回ル。任セルゾ、デッドムーン=サン』
「アタシ達全員のお客様だ、絶対に落とすんじゃないよ!」
ボットムーンが反転し、エアフォースに対峙する。
その周囲を衛星のように周回し、
ヘルアライアンスのネガ・ミサイル群を撃墜するのはレッドムーン。

「言われるまでもない。受けた仕事は、キッチリ終わらせるさ……」
デッドムーンはアクセルを踏み込む。
ブッダコスモス…ユーアーインザスペース…
ブッダコスモス…ユーアーインザスペース……!

グルーヴするエレクトロ・ダークポップに惹かれるように、
渦を巻いて追い縋るヘルアライアンス。
ネズミハヤイは超光速で抜き去ってゆく。
後方よりその光景を目にしたフェイトムーンは、
新たな伝説の誕生を確信した。
だが、その時!

 ガガガガガガガガ!!
スペイシー時空に振動が走る!
「時空震、こんな時に?!」
印を結び聖痕の光を束ねるマルテが舌打ちし、デッドムーンに呼びかける。
「一時的なものよ、落ち着いて走れば……」
「いや。奴さん、お出でなすったらしい」

デッドムーンが遮り、フロントガラスモニタを睨む。
前方、空間に裂け目が生まれ、
エーテルを焼いて立ち上る灼熱の炎を背に、
一台の武装霊柩車のシルエットが浮かび上がっている。
「やっぱり故郷が恋しくて、かい……
 こんなジゴクで寝てられないよな……」

「なんてこと」
マルテが青ざめる。
車載モニタに映る、荘厳ですらある深紅の霊柩車ボディ。
そのフロントガラスに一瞬透けて見えた男は、
特徴的なツインモヒカンに尖ったサングラスをしている。

それはギャラクティック・エアフォースに寝返り、
デッドムーンとのデッドヒートの末、
三つ目の聖痕の場所フェニックスマウンテン頂上から滑落して死んだ筈の、バッドムーンであった!
「信じられない。
 彼は48個ものカウベルを宿してるわ!」

呪いの力が個数分反転し、爆発的に増幅され、
宇宙的化学反応を起こした結果、彼は不死身となったのだ!
猟奇的事実!彼は殺せない!
「それがどうしたって?」
ハンドルを切り、ネズミハヤイを掠める業炎!
デッドムーンは涼しい顔に脂汗を浮かべ、ニヤリと笑う!

「あのまま死なれちゃ、寝覚めが悪い。
 再戦といこうか、バッドムーン……もう一人の俺!」
換装されたフォトンロケット噴進エンジンが銀河に爆音を轟かす!
対するネズミワルイもまた、ネクロコトダマブースター全開!!

全宇宙全バースの運命を賭け、今一度、二人の最速が時空を貫いて走る!
果たして世界は!
宇宙は!
デッドムーンは、ネオサイタマに帰れるのか!?

【デッドムーン・メタフィジカリー:
 ブレイキング・オン・マーズアタック・エアフォース】
 今冬配信予定無し!

 DVD/LD先行予約特典は
 水に溶けないマルテの聖痕タトゥーペイントシール!
 光る聖痕を束ねて、君も友達を運命に導こう!

(嘘予告編プログラム終了です)

本予告はニンジャスレイヤー二次創作ではありません。
当然ながら、ニンジャスレイヤー公式とは全く関係ありません。

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