営業はいらない(三戸政和)2020
熟読度★★★★☆
営業の仕事について調べるときにタイムリーだったので購入。堀江さんの推薦帯も目についた。
内容メモ
・16万部超えの『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』の著者。その本の内容がこの本のなかでも結構紹介されている。営業の仕事をしている人は経営者に向いているとのこと。
フィールドセールス、インサイドセールス
・アメリカでは外回りの営業「フィールドセールス」、内勤型営業「インサイドセールス」と呼ばれる。
・日本では以下のような状況。
営業職968万人(2001年)→864万人(2018年)
営業・販売事務56万人(2010年)→70万人(2015年)
・顧客との面談、サービスに使われている割合、日本は25%、アメリカは42%。日本の営業マンは見積もり、報告書、稟議書、日報、定例会議などに追われている。
・営業活動に利用されるテクノロジー、「セールステック」という。
ノルマの厳しい会社(厳しかった会社)
・郵便局(保険、年賀状、カタログギフトなど)
・野村證券(「ノルマ証券」と呼ばれるほど)
※ノルマという言葉はもともと社会主義時代のロシア語が語源。労働の目標量のことで、シベリア強制労働からの帰還者が日本に伝えた。
・「日本の営業実態調査2019」によると営業マンの2人に1人が目標未達成。厳しいノルマが背景にあると考えられる。
電気自動車専門のテスラ
・2017年 自動車会社時価総額6位
(1位のトヨタ、2位のダイムラーにおよそダブルスコア)
・車種は6種のみ
・進化し続けるソフトウェア、ビッグデータの蓄積
・ディーラーを持たなず、ネットなど直販のみ
・SNS広告なし
バルミューダ
・グリーンファン、高級トースターなど。
モノタロウ
・間接材のAmazonとも呼ばれる
・卸業者の営業マンを代替しているといえる。
CADDi
・人を介さずweb上で見積もりを算出。相見積の手間を省く。
MRについて
・6万5752人(2013年)→5万9900人(2018年)へ減少。
・医薬品は公的資金が充当されていることから過剰接待が問題視。自主規制が行われている。
・Webサービス「MR君」が広がっている。Yahooニュースアプリのようなデザインで人を介さない分、情報の伝達精度も上がっている。
感想
・「サービスや製品に魅力があれば営業や広報はいらない。」「テクノロジーを使って外回り営業の負担を減らすことができる。」という2点を事例をまじえて紹介している感じ。
前半部分に事例が多く、その内容がおもしろかった。
・「いらない」とまで断言できるのか、というとちょっと疑問。
・「セールステック」といっても使い勝手はさまざまなのかな?使いやすそうなものも、多機能で複雑なものもどちらもあるのでは?とイメージ。
・海老原嗣生さんの本『「AIで仕事がなくなる」論のウソ』では肉声需要、儀礼的なコミュニケーションの必要性ということで、営業の仕事は完全にはなくならないとのことだった。総合すると「いらない」は言い過ぎかなと思う。
・「マーケティング」の先に「営業」がある。そういわれると、営業にも興味は湧いてくる。