ミツバチは冬眠しない

冬になると、昆虫の姿を見ることはなくなります。それぞれの昆虫が、手を替え品を替えて春を待ちます。ここでは、ミツバチの冬の過ごし方を述べていきましょう。

ミツバチは、巣箱の中で過ごします。冬眠をしているわけではありません。

ミツバチの群れは気温が低下して14°Cに達すると、蜂球を形作ります。それ以後は蜂球は気温が下がりつづけても、蜂球内部温度は14°C以下には下がりません。つまりこの温度は蜂球温度の最下限なのです。この14°Cという温度は、他の昆虫が冬眠を始める温度にほぼ一致します。このことからも自然界の神秘が伺われますね。この温度を越えてさらに温度が下がりつづけると、蜂球は凝縮して内部では発熱のための運動がはじまります。

ハタラキバチは8°Cで凍えて落下するので、発熱作用が開始されるのは球の表面の温度が10°Cになった時だといわれています。ハタラキバチの触覚には温度を知覚する器官があり、蜂球の表面に位置するハタラキバチがこの器官によって気温の低下を察知して何らかの反応を示すと、これに刺激されて内部のハタラキバチが発熱運動をするものと考えられます。

ミツバチは上記のようにして、冬を過ごします。冬眠はしていません。ミツバチが冬を越すことを、ミツバチの越冬といいます。

越冬するためには、前準備が必要です。

十分な蜂の数がいてしっかりした蜂球を作らなければなりません。十分な貯蜜、豊富な花粉が必要です。必要に応じて砂糖水を与えます。練り花粉も入れてやります。

巣箱の空いているところに藁や木綿の布を詰めてやったり、巣箱の周りをコモなどで巻いてやったりします。

私の住んでいる横浜は比較的温暖ですから、雪の降る地方のような大変さはありません。

あと、ひとつミツバチのトイレについて述べましょう。ミツバチは巣箱の中で用をしません。外に出て空中で用を足します。したがって寒い冬の間は、外に出られないので中で我慢しています。しかし、横浜では真冬でも暖かいから気温が10°C以上になった日には、外に用を足しに出ていくのを見かけたりします。寒いので帰ってきた時には、今にも凍えそうです。

思いっきり飛びまわれる春がやってくるのを、ミツバチと共に飼い主の私も待っています。

参考文献:近代養蜂 渡辺 寛 渡辺 孝


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