「オリジナル」がわからない(『人間』)
人を、作品を評価するってなんか窮屈だなとふと思った。
そして、「創作」って、オリジナルって元を辿れば誰かのものを参考に、時には引用してる部分があって、本質的にはオリジナルじゃないのかもしれないとこの小説は訴えかけているような気がした。
ただ、掛け合わせ「×(掛け算)」によって新たなものとしてものは生み出され続けているのだと感じる。
1. 紹介する本
・又吉直樹『人間』
2. 私なりのこの本の キーワード
自意識
批判
キャラ、属性
オリジナル
3. 感想
★オリジナル、批判
人間の思考ってどこからが自分のもので、どこからが他人のものなのか。他人に影響を受けたものなのか。その線引きの難しさを感じた。
人は、何かしらから影響を受けてものを表現しているのではないか。
その上で、何かに批判していたり、何かを語っているという時点で、意識が外にあり、内にはないため、いつになっても「自己の成長」というものは見られないと感じせられたような気がした。
批判する前に、自分を見つめ返し自分と比べて何が足りないのかを考える時間に当てた方が、自分自身の成長は強くなるのかもしれない。
★キャラ、属性
私たちは生きる中で、さまざまな属性であったりキャラを持って生きている。仕事場では社員として、学校では生徒として、家では子供としてなど場所によって変わる。そんな奇妙なものだ。
もし、わたしたちを大きく分けるのならどう分けられるのか。
・人生の成功者と凡人。
・真似をする人と生み出し続ける人
・才能があると信じている人と実際に行動で示す人
様々だが、実際これらは区別できるのだろうか。
逆に何がきっかけでこれらの差が生じるのか。うまくいかなければ他の人を批判する立場にいったりする。普通が普通と言い切れるものなんて何一つないように感じられた。
4. 好きな箇所
『凡人Aの罪状は、自分の才能を信じていること』(本書 p.64より)
この言葉は、主人公の書籍化する作品集にどうかと編集者が口にしたものだ。とても、考えさせられる言葉だった。ちょうど私が人生に悩んでいる時だったため、自分は「凡人なのだろうか?」と考えがら生きていつつ、自分の才能を信じているところもあった。
頭の中で感じていたことを言葉にしてくれた気がした。
人間は皆、自分の中にどこかしら何かを信じていることがあって、それを信仰しているからこそ、理性が保たれているのかもしれないのだと感じたものだった。
5. おわりに
とても読んでいて考えさせられる本で、大好きな本だったが、うまく感想が書けないのはなぜだろうか。
何もないが何かがある小説であると帯か、コメントかに書いてあった気がするが、読み終えた後確かに何か心の中で感じることがあった。
すっきりとして爽快感のある本ではないが考えさせられる本でとても読んでいて深く考えられた気がした。
おっきい