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『Plazma』から読み解くジークアクスの物語【オキテカクヒビ_029】

オキテカクヒビ』は、オキテカクが触れたコンテンツについて、1,000文字程度で書き綴る記事シリーズである。毎日21時更新予定。

 水曜日は楽曲の紹介。今回は、映画『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)-Beginning-』(以下、ジークアクス)の主題歌。

楽曲/米津玄師『Plazma』

 今回は、この曲がジークアクスの主題歌として物語をどう描いているのかを紹介していく。そのため、映画視聴者向けの内容かつネタバレを含むことをご了承いただきたい。







①もしも、から始まる物語

もしもあの改札の前で
立ち止まらず歩いていれば
君の顔も知らずのまま
幸せに生きていただろうか

米津玄師『Plazma』歌詞

 ジークアクスを見た方ならわかる通り、本作の冒頭(Beginningパート)は、『機動戦士ガンダム』(初代ガンダム)のifを描いている。その主題歌の冒頭に『もしも』という単語が使われることは、主題歌と物語の相関を確実に意識させるものとなっている。物語では主人公であるアマテ・ユズリハ(マチュ)が改札の前で立ち止まり、非合法な配達人をしている少女・ニャアンと出会う。
 一方で、『もしも』が実現した場合、マチュが幸せに生きていたかどうかは……本編放送前の今時点では分からない。ただ、『もしも』から続くのは、ガンダムにも乗らず、本物の空や海も知らない、宇宙生まれとして当たり前の日々である。元々生まれた場所の外――地球に憧れを持つマチュにとって、平凡で退屈な一生であろうことは、想像に難くない。

②マチュが越える金網=宇宙生まれとして当たり前の日々

聞こえて 答えて 届いて欲しくて
光って 光って 光って叫んだ
金網を越えて転がり落ちた
刹那 世界が色づいてく

米津玄師『Plazma』歌詞

(一度しか見ていないので不確かだけれど)金網というもの自体は本編に出てこない。ただ、マチュが機体の手から飛び出していくシーンがある(以下の動画、01:00頃)。

 物語と歌詞を重ねてみると、マチュはここからガンダムに乗り、『世界が色づいてく』。ここから物語も曲調も、さらに加速していく。

③マチュは宇宙で痣や傷を負うのか?

飛び出していけ宇宙の彼方
目の前をぶち抜くプラズマ
ただひたすら見蕩れていた
痣も傷も知らずに

米津玄師『Plazma』歌詞

 宇宙に飛び出した(『世界が色付いてく』)マチュは、その光景に見蕩れながらも、痣や傷を負うような歌詞。これは、戦争を描いていくガンダムというコンテンツならば避けられないことのように思う。現時点でこそクランバトルという賭け事に参戦するにとどまっているマチュだが、ジオンが勝利した宇宙世紀には平穏というものは無いらしく、彼女が乗るジークアクスにもまた、ジオンの野望や陰謀が隠されているように思う。

何光年と離れていても
踏み出した体が止まらない
今君の声が遠く聞こえている
光っていく

米津玄師『Plazma』歌詞

 それでも、マチュは『何光年と離れていても』、地球を目指していくのだろう。その最中に聞こえている声はニャアンのものか、それともクランバトルで共に戦うシュウジのものか、それとも別人のものなのか……この答えは本編を待ちたい。

 本記事では『Plazma』を通してジークアクスの物語について書いてきたが、楽曲単体として見た時の本楽曲も非常に素晴らしい。オキテカクは公開前からPVをひたすらリピートしていた。宇宙を水面で表現する映像や、ナンバープレートに『木馬』と書かれた車から飛び出していく少年など、こちらもまたジークアクスの物語を想起させるものとなっている。
 Xにてメイキングが公開されていたので、ぜひ見てほしい。

オキテカクヒビ』は、オキテカクが触れたコンテンツについて、1,000文字程度で書き綴る記事シリーズである。毎日21時更新予定。

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