画家とヌードモデルのスローな恋【オキテカクヒビ_020】
『オキテカクヒビ』は、オキテカクが触れたコンテンツについて、1,000文字程度で書き綴る記事シリーズである。毎日21時更新予定。
月曜日は漫画の紹介。今回は、四巻で綺麗に完結するこちらの漫画。
漫画/浜田咲良『金曜日はアトリエで』
本作は知り合いに勧められたのだけれど、面白くて四巻分一気に読み進めることが出来た。ラブコメながら二人の距離感が絶妙で、謎の出会いから仕事関係になり、じっくりと三巻かけてじわじわと近づいていき、四巻の結末には思わず身悶えしてしまった。
『恋に不器用な画家と、超鈍感なヌードモデル』という仕事関係からの始まりは、どこかアダルトな、そしてエロスな展開を想像させるが、この二人は全くと言っていいほどそういった間柄にはならない。互いに鈍感過ぎて、そういった色事に発展する隙間がまるでなく、刺激弱めのラブコメとして安心して読み進めることが出来る。
それでいて、ヌードモデルである環が日々に疲れ切っていたこと、画家である石原春水との出会いを通して少しずつ復調していき、自分というものを再認識していく様子が、優しく丁寧に描写されていく。そのきっかけとなる一話では、ヌードモデルで使用した魚(?)を食した環が、食べることの楽しさを思い出し、そっと涙を流す。この食事が石原の優しさではなく、労働の対価であることが、スローテンポなラブコメのリズムを作っている。この後も二人は仕事として会いながらも、妙に近いような遠いような、あいまいな距離感で楽しく過ごしていく。
そんな二人が徐々に、ほんとうに徐々にだが互いを意識し始めると、この漫画は一層面白くなっていく。二人の友人たちも交わりつつ距離が縮んでいく終盤は、個人的にはとても好みな展開だった。こういう描写を見たいがためにラブコメを読んでいる、とまで言える。
試し読みからでもいいので是非読んでほしい。
『オキテカクヒビ』は、オキテカクが触れたコンテンツについて、1,000文字程度で書き綴る記事シリーズである。毎日21時更新予定。