コロナワクチンの正確な情報をSMSで。ケイスリーが自治体向けに新サービス
困難な状況下でも地方自治体が的確に情報発信し、市民が自分自身で判断を適切に行うための環境づくりを支援していきたい――。
ケイスリー株式会社は1月26日、同社が提供する公的通知サービス「BetterMe」において、新型コロナウイルスのワクチンに関するリテラシー向上に向けたコンテンツを地方自治体向けに提供すると発表しました。
行政と市民間のコミュニケーション課題を解決
BetterMeとは、SMS(ショートメッセージサービス)と行動科学を組み合わせることで、行政と市民間のコミュニケーションの課題を解決するサービスです。行動科学とデータアナリティクスに基づき、公的通知にかかる費用対効果の最適化やセグメント別の課題抽出、効果測定・改善サイクルをまわすことで、市民の行動変容につながる公的通知を実現します。
沖縄県浦添市で行った事業では、携帯番号を取得できた市民6530人を対象に大腸がん検診の受診を勧奨。BetterMeを活用したことで受診者数が前年度比40%増になったそう。他にも、がん検診や特定検診、予防接種勧奨などヘルスケア関連で事業が進められているとのこと。これまでの紙媒体から行動科学を活用したSMSによるコミュニケーションに変えることで、市民の行動変容につながりやすいだけでなく、行政の負担減にもなるといえます。
同社リリースによれば、新型コロナウイルスのワクチンについては、早ければ最初の接種が2月下旬から始められるよう準備が進められています。期待が大きい一方で、まだまだ不確定要素が多いため、一人ひとりが自身で摂取するかどうかの判断を適切に行えるような情報環境の整備が不可欠です。
そこで今回、ケイスリーは地方自治体がワクチンの情報をSMSで配信するためのサービスを提供するに至ったといいます。市民への迅速な情報発信、より詳しい情報を知るためのきっかけ作り、正確な情報源への誘導として、情報到達率が高いSMSと行動科学の活用が有効と同社は考えています。
なお、正確性を期するため、当面の配信コンテンツは厚生労働省のWebサイトに掲載している内容に限定する予定。SMS基盤については、株式会社アクリートが提供する「SMSコネクト for LGWAN」が採用されています。
後書き的に
ケイスリーさんは、co-ba shibuyaに入居されていたころに筆者がインタビューをさせていただいたのをきっかけに知りました。その時に聞かせていただいた「お金だけにとらわれない社会の“豊かさ”を可視化し、再定義するのが私たちの仕事」という言葉がずっと印象に残っていました。
「社会的インパクト評価」「ソーシャル・インパクト・ボンド」、今回のBetterMeも含めて、事業理解に時間がかかって難しいのですが、その思想や取り組みの意義に共感し、取材以来、いつもリリースを拝見しています。
たとえば、本文中には記載できていませんが、リリースに記載されている「行政DX」という言葉の定義には、次のような言葉が記されていました。
文書や手続きの単なる電子化ではなく、デジタルだからこそ、デジタルならではの行政サービスのあり方を徹底的に市民目線から捉え直し、より多様化する市民ニーズや行政課題に応えるための変革を目指す(リリースより)。
また、BetterMeという名前に込められている想いには、「市民が『よりよい自分』になるためのお手伝いをする」「一人ひとりが自分らしい意思決定をすることが、一人ひとりが自分らしくあれる社会につながっている。そう信じて我々は日々努力しています」と記されていて、ステキだなと感じます。
(おこがましいと思いつつ)このWebマガジンを運営しているのも近い思いがあり、ぜひ紹介させていただきたいとなりました。日々情勢は変化していますが、少しでも良い未来に向かって。今週もお疲れ様でした。
(写真提供:ケイスリー株式会社)
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