【夢日記】侵略者と怪獣と日本

「もし日本に侵略者や怪獣が現れたら?」

という夢を見た。
小学生のようなワンパクなテーマの夢を
今年で31歳の私は見てしまった。

私がこれを書き残そうと思った理由は
その怪獣の夢が思った以上にリアルで、
そして、つまらない世界を表現していたからだ。



この文章の中には災害(地震など)の表現を含んでいる可能性があります。
この文章は暴力的かつショッキングな表現を含みます。
このお話は私の夢で見たフィクションであり、特定の人物、団体とは関係ありません。



我々一般市民には本当の情報がなかなか伝えられない事態が想定される。

この話は私がショッピングモールでの
買い物を済ませ、地下駐車場にいたところから始まる。
スマートフォンからけたたましく警報の音が鳴った。
また地震速報かと思い画面を見ると見慣れない文字があった。







⚠️特別速報
諸外国よりレーザー兵器が発射







見慣れない文章に騒つく人々、
その直後に、震度3レベルの揺れが起きた。

「ひょっとして、某国からミサイルでも撃たれたのか。」

ああ、ついに核戦争が起きてしまったのかと地下駐車場の人々は驚きと不安とで終末感を漂わせていた。

そんな状態が30分ほど経った頃、
警備員に促される形で地下駐車場から皆順番に地上に出て行く。
「放射線が──」「核ミサイルが──」と騒ぐ人もいたが、夢の中の私は何の抵抗もなく地上に上がっていった。

すると、そこには何も変わらないいつもの風景があった。


「東京は大丈夫だったのか?」

漠然とした疑問を抱きながら帰宅し、
すぐにNHKのニュースを点ける。

画面の横側にも「特別速報 レーザー兵器」の文字。

アナウンサーが仕切りに、その言葉を繰り返すが
映像もなければ、どの国から、どのように、どのような被害があったのかも全くわからない。
釈然としないアナウンサーの姿だけがそこにあった。

私はうちに篭って考えた。

「もし核弾頭なら『飛翔体』とか『ミサイル』とかもう少しらしい言い回しや極端にぼかした言い回しをする筈だ。でも『レーザー兵器』とは、一体何を指しているんだ。」

この国で一体何が起きているのか。
SNSを開いてみても、皆何が正しいのか分からず
ただ『怖い』『戦争は嫌だ』『大丈夫だよね?』という不安の声や
『露の攻撃だ』『北のミサイルだ』『いや、中だ』という、こじつけめいた感じの政治アカばかりがタイムラインを賑わせていた。


そして、驚くべきことに


そんな訳のわからない状態が3日ほど続くのである。

3日の間
特に業務を休む空気感もなければ
平然の出社し、各々が職場で
「あれはなんだったのだろう」と言うだけで
案外人間は平気で
生きていけるのである。

なんとなく皆の共通意識の中で


「あれは誤報だ」
「震度3の地震速報を発する時に間違えてしまっただけだろう」


という結論が出始めた時に、事態は急変した。



ヘリコプター数十機が
日本海沖で謎の生物の誘導を行なっている映像が
テレビやネットで公開された。


海の表面には
3メートルぐらいの黒い人型の何かが十数人(?)
水面に浮かぶように存在していた。

一見すると、子供の頃に見た
海に引き摺り込もうとする腕のように見える
やたらと長い昆布の群れのような感じであったが、
その見た目は多くの人々に心理的恐怖感を植え付けるビジュアルであった。


そして(多分空自)のヘリコプターが
その黒の群れを地上に誘導しようと白煙を撒きながら、近づいては、離れを繰り返していたところ
黒い群れが、先頭のヘリコプターを触手のようなもので掴み、海に引き摺り込んだ。

慌てて他のヘリも「黒の群れ」から離れようとするが、まるでCGとしか形容の仕様のない
ありえないスピードで黒の群れはヘリコプターを取り囲み、海に引き摺り込んでいく。


ヘリの中から乗組員の人間を引っ張り出し
長い触手で人を雑巾のように絞る、とても残酷な画が映し出された。




しかし、本当に恐ろしいのはその生態ではない




その黒いヤツは、撮影カメラに見えるようにわざわざ高々と人間を掲げ、それを捻り
食することもなく海に投げ捨てたのだ。


つまり、生物として捕食するためや
身体的な危険から身を守る為に攻撃したのではなく

明らかに知性を有した上の行動で
「私たちはお前たちを簡単に殺せる」と言う事を
人類側に訴えているようであった。

映像によるとこれが日本海側(石川、福井)で撮影されたものらしい。


私は、こんな奴らとまともに戦えるわけがないと
どうしようもない未来を憂いていた。




しかし、世間の反応は意外なものだった。





『いや、CGでしょ』『なんかのステマ』
『不謹慎』『よく出来た嘘』『アイコラ』


などと、誰もこの事態を信用しなかったし、
信じたくなかったのだと思われる。

実際にワイドショーなどでもコメンテーターは懐疑的な反応を見せ、

国民全員でこれを『無かったことにしよう』という雰囲気になっていった。





もし、これが事実だとしたら
あの時に亡くなった空自の隊員達は
その遺族は、一体どうなってしまうのだろうか。





数日後、
長野県に「巨大な怪獣が出た」という映像が
ネット上に拡散された。


その怪獣の姿は…
正直よく覚えていない。


これを見ている各々が

『人類では絶対に分かりあうことも、
勝つことも出来ない、禍々しい姿の超巨大生物』
を想像していただければいい。



映像は瞬く間に拡散されて、SNS上に散見される。



しかし、やはりというか
タイミングが悪かったのであろう。




日本は特撮大国であり、ウルトラマンやゴジラなどのプロモーションも盛んに行われてる最中での

『怪獣出現』という、現実味のないワード

あまりに、今までの現実と解離しすぎていて
誰もその事実を信じようとしなかった。



日本海では謎の知的生命体が人間を殺した。
長野県では今も怪獣が暴れている。
しかし、それを誰も信用しない。


「地震にこじつけた、ただのプロモーションだ」
「不謹慎な悪戯だ」
「最近の群発する自信も偶然」





『信じていれば、きっとヒーローは現れる』


私は、特撮の世界が改めてフィクションの世界である事を思い知った。





我々は、ヒーローの出現を信じるのではなく

説明のつかない事象を信じない事によって、
事実そのものをなかった事にしようとしていた。





あれはただの事故だ、災害だと自分に言い聞かせ

私たちは変わらない日々を過ごしていた。





今日も地面は揺れていた。
何かの足音のように、
地面が揺れただけなんだ。

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