
山の郵便配達
1999年公開の中国映画「山の郵便配達」を観た
1980年代初期の中国山岳地帯で長年徒歩で郵便配達をしてきた父が膝を痛め、年齢的にもキツくなって来たため、息子に仕事を引き継ぐことになる
息子の配達初日大きなリュックに入った郵便物を担ぎ、父とその相棒のシェパード犬ともに2泊3日の配達ルートに向かうことになるのだが・・・
『王妃の紋章』やサンダンス映画祭でAlfred P.Sloan賞を受賞した『DARK MATTER(原題)』でメリル・ストリープと共演したイケメン俳優リウ・イエが息子役で出演しており、本作が彼のデビュー作
中国を代表する女優の1人であり、2000年代に歌手としてエイベックスと契約し小室哲哉などから曲の提供を受けたりしたチェン・ハオが山奥で息子と意気投合する村の娘を演じている
二人とも役は田舎の男女だけど、さすがスターって感じでカッコいいし、綺麗だったな
※こっからはネタバレなので嫌な人はそっと離れてね※
いやー、なんとも牧歌的な映画
都会の喧騒とかビルとかコンピュータとか、そういうの一切出てこない
終始、山や川、田んぼをはじめとした大自然が舞台で古い家や建物が時々出て来るくらい
まー、スマホが当たり前の今から考えるとちゃんと生活が成り立ってること自体、すごいなーと思う
日本もほんの100年くらい前までは同じような生活だったんだよね
信じられん
だけど出て来る人たちの表情は豊かでみんな明るくて優しい
本作での見どころは、世代交代による父親の寂しさとともに立派に育ってくれた息子に対する頼もしさで胸がいっぱいになるところと、いつも仕事で家を空けていた父親と初めて向かい合った息子が山岳地帯の険しい道をともに歩くことで心が通じ合ってていくところかな
特にものすごい事件が起きるとか大どんでん返しがあるとか、そういう系の話じゃないんだよね
ただ淡々と黙々と歩く姿、粛々と仕事をこなしていく姿、そして山奥で父親が長年かけて培って来た村人との信頼関係とかが描かれているだけ
なんだけど、人生において現代人が忘れてしまった、とても大事な事を教えてくれてる感じで見終わったあと余韻がじんわり来たよ
いきなり山奥に連れてかれて、本作に出てくる村人たちと同じ生活をしろ、と言われたら困っちゃうかもしれないけど、今の日本での訳の分からん物価高とか先の見えない生活よりよっぽどいいかもな
あー、疲れてんな、オレw
生活の様式や物質的環境が変わったからといって、今も昔も人生で大事なことは変わらない
そんなことを感じた映画ですた