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出産後等に致死性の感染症を引き起こしうるP. sordellii毒素の受容体が見つかった

提供元:Biotoday.com

図は受容体結合領域以外よく似たクロストリジウム毒素。赤い部分の受容体結合領域の違いでどの受容体に結合するかが決まる

Paeniclostridium sordellii(クロストリジウム ソルデリとしても知られる)は女性の3-4%の直腸や膣におり、その割合は出産後には29%にも上昇します。P. sordellii保有者は殆どは無症状ですが、主に出産・中絶・流産の後に病原性感染を呈して致死率ほぼ100%の毒素性ショック症候群に陥ることがあります。

P. sordellii感染で死にやすいことはその毒素TcsLのせいです。

TcsLは大腸上皮のFrizzled受容体を介して細胞に入り込むC. difficileの毒素TcdBと9割近く(87%)同一で似ています。

似ているとはいえP. sordelliiは血管内皮を感染先とすることからTcdBとは異なる受容体を足がかりとするだろうとの推測を背景にして探されていたTcsLの受容体をトロント大学のMikko Taipale氏等のチームがついに発見しました(1)(2)。

今回見つかったTcsLの受容体2つSEMA6AとSEMA6Bのうち前者とTcsLの結合を調べたところ、SEMA6Aと接するTcsLの場所はFrizzledと接するTcdBの場所と同じでした。また、TcsLとTcdBの15アミノ酸を交換するとTcsLはTcdBの受容体、TcdBはTcsLの受容体に結合するようになると分かりました。

治療の可能性を示す成果として、可溶性のSEMA6Aの一部を投与することでTcsLによるマウス肺浮腫を食い止めうることが確認されています。

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