FUJI TRACK ARCV記。(2)
すぐに気付いたことは、ロードバイクと同じだと思い込んで乗っているとすぐに足と前輪がぶつかるということだ。
ハンドルが切られていて、かつクランクが右側であれば3時、左側であれば9時の位置に近付くと簡単に擦る。走っていればまだマシだが、厄介なのは一時停止からほぼ直角に曲がらねばならない時で、強引にやろうとすると足がスポークに持っていかれてしまう。その場面でどう操作すればいいのか、そのコツを私はまだ掴みきれていない。また、走っていればマシとは言うものの、それでも足とタイヤが擦るかもしれないことを念頭に入れたコーナリングが必須である。ケイデンスが90だった場合、足が1秒に0.67回危険な位置を通るためロードバイクであれば足を留めることで可能となる急激な進路変更も、固定ギヤだと物理的に不可能なので、必然的にできる限りアウト側からコーナーへ入ってコーナーの頂点でインにつけてアウトへ抜けるという最短距離を通る最大の円を見抜くモータースポーツのようなラインを走らねばならない。私はまだフリーギヤで走っているので、近い内に固定ギヤへ移行するための練習として敢えて可能な限り足を止めないということをやめればいいだけなので危険回避の余地はあるが、足の位置を任意で決めることのできない固定ギヤへ移行したとすれば今よりシビアになることは確実である。上手くならざるを得ない仕様だと思うとニヤッとしないでもないが、普段使いには不便で、意外とどこへでも気楽に乗っていけるという性質はないかもしれないと思うと複雑な思いがする。
そういえば昔は確かにロードバイクでもよく擦っていたと懐かしく思ったが、今乗っているものでは覚えがない。身体が慣れたのか、はたまたジオメトリーが変わってきているのだろうか。そういえば、昔はコーナリング中に足を止める癖がなくて擦っていたような気もするが、そのような細かいことは今となっては全く覚えていない。今乗っているロードバイクでは一時停止から直角に曲がることは難なく可能だから、やはりジオメトリーが変わってきたのだろうか。
以下は余談となるが、このようなことを実際に体験せねば、トラックバイクの場合はクランク長は165mmというのがスタンダードである理由が具にすっきりわかるということがなかったのは不覚である。フレームのサイズ次第ではあろうが、私のサイズではあと5mmの延長すらもおそらく難しいように思う。仮に170mmに交換したとすると、最小回転半径がいよいよ大きくなりすぎて実用に耐えないのではないだろうか。