『この空の向こう』
君はこの夏、どんな夏ですか?
どのように
この夏を過ごしていますか?
《君に贈る夏の物語》
「なぁ、今年の夏はまた暑いらしいよ。」
「えー、無理無理無理無理!溶けちゃう、煮えちゃう、無くなっちゃう!」
「ほら、ニュースでも言ってるだろ。例年に無く、今年の夏は暑いってさ。」
「プール行きたい!海行きたい!」
「全く、君は相変わらずだな。」
「だって無理だもん!」
「今年はプールも海もお預けだな。」
「えー!何で?何で?なーんーでー?」
「今年は大人しく家にいろ。俺もいるから。」
「ぶーーーーー。」
「不貞腐れても駄目。ワガママ言っても駄目。無理無理攻撃も駄目。」
「んーーーーーイジワル。」
「何と言われようと駄目なんだ。」
「ちょっと、ベランダに出て見ないか。」
「えー、暑いじゃん。」
「いいから、さ。」
「夜だし、虫とか来るよ。」
「そんなん気にすんな。いいから来てみなよ。」
「もぅ、しょうがないなぁ。麦茶でいい?」
「あぁ。氷も入れてくれよな。」
「はいはい。夜だって暑いでしょうに。」
「やっぱり、あっついじゃん。はい、麦茶。」
「そう言うなよ。あ、ありがと。」
「生温かい温風しかない。」
「その感想はなんだよ。君はこの雑音の無い世界に鳴いている虫の声や季節に関わらず輝いている星空に何も感じないのかい?」
「んー、分かんない。」
「全く、君って子は。。。」
「明日、ちょっと外に出ようか。」
「えー、暑いよ。溶けちゃうよ、煮えちゃうよ、無くなっちゃうよ。」
「いいから、いいから。」
「なにー?涼しくしてくれる魔法とか使えるとか?」
「そんなもん、使えるか。」
「はいはい。夕飯の片付け、済ましちゃうね。」
「あぁ。」
「やっぱ、あっついよー。」
「そりゃ、夏だからな。」
「むーりー。あ、でも少し風が涼しいかも。」
「まぁ、山の上だからね。」
「なーんにも無いね。」
「青空があるだろ。」
「それだけじゃん。」
「不満かよ。」
「だってー。」
「いいから、隣に来なよ。」
「なによー、もう。」
「この空の向こうまで、この空の青さが続く限くように。俺達の関係もずっと続けて行こうよ。」
「んー?なになに?プロポーズ?プロポーズなのかな?」
「結婚しよう。」
「えー、だっさーい!!!」
「このやろー!」
「君の瞳の全てが青に染まる。この時期、この場所で君に伝えたかったんだ。」
『この空の向こう』
~終わり~
プロポーズの返事は
「大好きだぞ!バカヤロー!」
でした。最高の夏を。
君に贈る物語。
※この物語はフィクションです。