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『恋の蕾、花の蕾』想定10分

奇病声劇 2人(男性、女性(2役)

※公開版の為、オリジナル版とは一部改変があります。

《花落ち病》
●叶わない恋をした時に涙が花になる奇病。
●治す方法はその花を好きな人に食べてもらう。
●放っておくと歩けなくなり、落ちた花が成長して病にかかった人を覆ってしまう。
●その病にかかった人は蕾の中で死ぬ。

女性 《ナレーション》
「2022年、7月3日。」

男性
『ん?お前、今日どうした?』

女性
「え?何か変、かな?」

男性
『んー。。。ちょっと、な。』

女性
「ちょっと何よ、気になるじゃない。言いなさいよ。」

男性
『あのなぁ、俺はお前の事を心配してんだぞ。なのに、お前ときたら、、、はぁ~。。。』

女性
「何で心配なんてされなきゃいけないのよ!バカ!」

男性
『バ、バカって、お前。それはちょっと酷(ひど)くないか?可愛い妹みたいに思ってんのによ。』

女性
「あーあー、そーですか、どーせ私は妹みたいなもんですよ。私の方が年上なんですけど!」

男性
『そんなこと言ったって仕方ないだろ!?自分の言動を思い出してみろよ!俺じゃなくても、みんなそう見てると思うぞ。』

女性 《後半ちょい泣き》
「いーですよーだ。どーせ私なんて、私なんて、、、。あれ、おかしいな。何で涙が、、、。」

男性 《呆れて》
『そういうところが妹っぽいんだよ。』

女性
「あれ、、、。こんなところに花びら?え?な、なんで、、、。」

《空白 3秒程度》

男性 《ナレーション》
「2022年、7月3日。」

男性
『ん?お前、今日どうした?』

女性
「え?何か変、かな?」

男性
『んー。。。ちょっと、な。』

女性 《後半 トーン落として》
「ちょっと何よ、気になるじゃない。言いなさいよ。あれ?私、知ってる。、、、。あのなぁ、俺はお前の事を心配してんだぞ。なのに、お前ときたら、、、はぁ~。。。」

男性
『あのなぁ。って俺が言おうとしたこと先に言うなよ。何で俺が言おうとしたこと知ってるんだよ?おかしいだろ。』

女性
「え、、、。分かんない。分かんない分かんない分かんない!」

男性
『おい!落ち着け!お前、ホントに大丈夫かよ?今日はもう休め。な?』

女性 《少し泣きながら》
「うん。。。ありがとう。こんなだからダメ、なんだよね。分かってるよ。こんな私だから。。。」

男性
「ん?こんなとろに、花びら?結構落ちてんな。誰か花でも持って来てたか?んー。ま、いいか。」

《空白 3秒程度》

女性 《ナレーション》
「2022年、7月3日。」

男性
『ん?お前、今日どうした?』

女性
「え?何か変、かな?」

男性
『んー。。。ちょっと、な。』

女性 《独り言っぽく》
「え?、、、。おかしい。絶対におかしい。私、知ってる。」

男性
『何だ?1人で何言ってんだ?お前、疲れてんじゃないのか?』

女性 《泣きはじめる》
「おかしいの。おかしいんだよ。私の何かがおかしい。ねぇ、今日は何年?何月何日?」

男性
『今日は2022年、7月3日だけど?お前、どうしたんだ?』

女性 《泣きながら》
「さっきも2022年の7月3日にいた!その時と同じ事を話してるの。繰り返してるんだよ。」

男性
『お、、、おい。。。お前、、、なんだよ。お前のまわりに、何でそんなに花びらが落ちてんだよ。』

女性 《泣いてる》
「え?花びら?花なんて持ってない。何よこれ。何で私のまわりにだけ?」

男性
『ちょっと待て、聞いたことある。ググるから待ってろ。花落ち病、、、?ま、まさかな。』

女性 《泣いてる》
「花落ち病って何よ。。。」

男性
『俺も詳しい事は知らねぇ。でもそういう奇病があるんだよ。』

男性 《ナレーション》
花落ち病。叶わない恋をした時に涙が花になる奇病。治療薬は、ない。治す方法はその花を好きな人に食べてもらう。放っておくと歩けなくなり、落ちた花が成長して病にかかった人を覆ってしまう。その病にかかった人は蕾の中で、死ぬ。

女性
「何よそれ。。。私が花落ち病だっていうの!?」

男性
『違うってんなら、お前の周りの花びらは、花は、どう説明する?状況的に思い当たるのはそのくらいしかない。』

女性
「それじゃあ、、、。私、死ぬの?」

男性
『ちょっと待て。叶わぬ恋?なぁ、お前、誰に恋してんだよ。え?誰なんだ!?』

あや
「、、、君。」

男性
『は?誰だって?』

女性 《泣く》
「君!目の前にいる君!あんたに恋してんだよ!悪いか!」

男性
『な、何だって!?泣くな!花が!やっぱり花落ち病か!くそ!どうすれば!?』

女性 《泣きながら》
「ねぇ。。。おかしいんだよ。私の足、動かないの!どうして!?」

男性
『急速に進行してる!?おい!泣くな!落ち着け!』

女性 《泣きながら》
「泣くなって言われたって無理だよ!ねぇ、何よこれ。何なのよ。」

男性
『このままじゃダメだ!もう花が覆ってしまう!どうすれば!?』

女性
「ねぇ。助けて。お願い。私、嫌だよ。君ともっと話したい。もっと一緒にいたい。君のこと、好きだから。。。」

男性
『はっ!?そうか!俺が花を食えば、助かる!』

女性
「ね、え。。き。だ、、、い、、す、、、き。」

男性
『待ってろ!くそ!俺が、俺が花を食って助けてやる!間に合え!』

《空白 5秒程度》

男性
『花を食えば、あいつは助かる!』

男性《ナレーション》
花落ち病。叶わない恋をした時に涙が花になる奇病。治療薬は、ない。治す方法はその花を好きな人に食べてもらうことだ。

女性 《泣きながら》
「あぁ。。。君が、花を食べてる。私を助けるため?でもね。私、もうダメだよ。。。きっと助からないねぇ、もう花を食べなくていいよ。君が私を助けようとしてくれてる、それだけで私は幸せだから。。。お願い。もうやめて。。。」

男性
『生きろ!俺が、俺が。。。死ぬな!』

男性 《ナレーション》
『俺の意識はここで途絶えた。どのくらいの時間が過ぎたのだろうか。俺が目を覚ましたのは、どこかの病院のベッドの上だった。』

妹 (花菜)
「あ、お兄ちゃん!起きてる!」

男性
『お前、花菜(はな)か!?ちょっと待て!あいつは!?それから、今日は何年?何月何日だ!?』

妹 (花菜)
「ん?あいつって?お兄ちゃんしか知らな~い。それから、今日は2022年、7月3日だよ。パパとママ呼んでくるね!」

男性
『そんな、まさか!そんなはずがない!おい、花菜(はな)!』

女性 《ナレーション》
「彼が伸ばした手の中から落ちた花びらが、ふわりと風に舞い、どこかへと飛んで行った。」

男性
『花びらが。。。あいつ。。。』

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