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『パーティーはクリスマスの夜に』

今日のクリスマスパーティー、ここ……だよな?

今日の主催は……。
あぁ、大手ブランドメーカーか。
そうだ、そうだった。
今日のパーティーはデザイナーや店舗経営者なんかが集まってるんだったな。
クリスマスパーティーにかこつけた、懇親会といったところか。
これまで、ウチの会社はプロダクトアウトでやってきたからな。
マーケットインに変えると聞いた時には驚いたもんだ。
俺は別にプロダクトアウトでもいいと思うんだが、新たにブランドを立ち上げてのマーケットインともなると、どちらも並行してやって行くってことになる。
感性のズバ抜けたデザイナー、確実に販売実績のある店舗経営者が必須条件だ。
今回の参加者の中に、そんな人物が居るのか?

お、あれは……。

よぉ!久しぶり。君も来てたのか。

ん?何で俺がここにいるのかって?
俺も会社から新規ブランドの立ち上げを任されていてね。
そのためのデザイナーと販売店を探してるのさ。
それより、聞いたよ。
君のとこも、新しく事業始めるんだって?

へぇ~、そうなのか。
最近、お互い忙しくて話せてなかったもんな。
少し、話さないか?

デザイナー探し?
あぁ、別にいいんだよ。
後で適当に挨拶して名刺配って回っとく。
なにも、今日決める必要はないんだ。
きっかけの1つになればそれでいいのさ。
それに、こうして君と話してる方が、断然楽しい。

なんだよ?

俺がプレイボーイだって?

あははは、そんなんじゃねぇって。
ちょっと、待ってろ。

あ、君!ドリンク2つもらえるかな?
ありがとう。

お待たせ。
はいよ、どうぞ。
向こうで話そうか。
どうも、こういうとこは苦手でね。

なんだかんだ、私利私欲のぶつかり合いみたいなもんだろ?
売り込みたいデザイナーと、権利を独占したい販売店の腹の探り合い。
なんてな。

ん?俺が、どうした?

変わらない?

そうか?
悩んでばっかりだし、迷う事だってたくさんある。
壁にぶち当たる事だって多いし、失敗ばっかりだよ。
それでもこうして事業を任せてくれるんだから、うちの社長、何考えてんだか。

な、なんだよ急に改まってどうした?

お、おう。真面目な話……。

うんうん。

へぇ、俺のことがねぇ……。好き。
へぇ~。

ん?んんん???

ちょっと待て。
ちょっと待ってくれ。

ここで一旦情報を整理しよう。
《○○》は、俺の事が、好き。
好きってのは……あれだよな!?
付き合いたいとかそういうやつ。

あ~、そうだよな。うん。
そういうやつな。

まぁ、確かにお互い、いい歳だし。
そろそろ考えてもいいかなとは思ってはいたけどさ。
まさか《○○》がな。
ホント、自分に素直というかなんというか。
思い込んだら一直線だよな、《○○》はさ。

そういう純粋で真っ直ぐな気持ち、歳を重ねるごとにどっかに忘れて来ちゃったのかも知れないな。
《○○》が真剣だから、答えは少し待って欲しい。
俺も自分と向き合って、自分の気持ちを、自分の気持ちに正直に向き合って応えたい。

何か、吹っ切れたわ。
ここに来るのも正直、気が乗らなかったけど、来てよかった。
ありがとな。

んじゃ、名刺配って来ますか。
また連絡するから、それまで待ってろ。
じゃあな。

ホント、まさか告白なんて考えもしないだろうがよ。
踏み出さなきゃな。1歩を。
こんなところでウジウジしてらんねぇわ。
本当は答えなんてとっくに出てる。
でも、商談まとめて新規ブランドの立ち上げ成功させるまで、待ってくれよな。

俺から迎えに行くから。

終わり

3人目 女性へ


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