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『信じる人、願う人』

クリスマスなんて最悪。
クリスマスなんて嫌い。
クリスマスなんて、クリスマスなんて……。

クリスマスなんて、来なければいいのに。

クリスマスは聖なる夜と言われ、サンタクロースの逸話(いつわ)や、クリスマスに起こる奇跡が度々取りだたされるけど、あんなのは全部、全部、全部ウソよ!

何?何か文句でもある?
無いわよね。ある訳ないよね!
ずっと勉強、勉強って言われて勉強してきた。
医者になれ、弁護士になれ、先生になれってずっと言われ続けてきた!
でもなに!?
医者や弁護士や先生だって、クリスマスは家族とか恋人とかと過ごしてるじゃない!
私は、私は!
参考書と勉強机と親の視線しか無かった。
学校の成績が落ちれば不機嫌になり、テストの点が悪ければ怒られ、いつも親に怯えて生きてきた。
司法試験だってやっとの想いで通ったのに。
弁護士になって分かったの。
私の人生、なんだったんだろうって。
気付いちゃった。

そりゃ、荒れたくもなるわよ。
もうすぐクリスマスだってのに、出会いも無ければ弁護士だって聞いたらみんな逃げてくじゃない。
何で?
弁護士って弱者の味方だよ?
誰もがお世話になる可能性だってある、出来ればお世話になりたくないだろうけどさ。

何か言いたそうだけど、何かしら?
言いたいことがあるなら、ハッキリと言った方がいいと思います。

え?クリスマスの奇跡?
無い無い。な~んにも無い。
《○○》は信じてるの?

へぇ~、信じてるんだ。
なんか意外。
そういうの興味無さそうですよね。

へ?弁護士になった理由?
聞いたことない。

うんうん。
えぇー!?信じられない!?
そんなの、作り話でしょ!?
騙されませんよ、そんな話。

嘘みたいなホントの話!?
いやいや、ウソウソ。
そんな簡単に騙されませんよ、私は。

なんですか?
奇跡は信じる者にしか起こらない?
そりゃそうですよ、奇跡なんですから。
そんなホイホイ奇跡起こされちゃったら、世界はどうにかなっちゃうし、私たち弁護士だって要らないじゃないですか。

え?弁護士バッジの意味ですか?
そりゃあ弁護士ですから、覚えてますよ。
弁護士バッジは「ひまわり」の花をモチーフにしており、ひまわりの花は太陽に向かって力強く咲くことから『自由と正義』を表しています。
また、弁護士バッジの真ん中には「天秤(はかり)」が描かれています。
天秤(はかり)は、重さが同じであることを測る道具であることから『公正と平等』を表しています。
人それぞれが持つ「人権」はそれぞれ同じ重さであり、どの人の人権であっても、2つ選び天秤に乗せると、同じ重さでぴったり釣り合わなければなりません。
なぜなら、誰かが幸せに生きるために、他の誰かの人権、幸せに生きる権利が蔑(ないがし)ろにされてはならないからです。
ですから、弁護士バッジは、いついかなる場合にも、『自由と正義』を求め、『公正と平等』を期すという弁護士の理念を表し、常に弁護士にとってあるべき姿を示してくれます。

ですよね?
何回暗唱したと思ってるんですか。
初心忘れるべからずっていつも言ってますよね。
え?暗唱ですか?
もちろん、毎日です!

それより!
弁護士バッジの意味とクリスマスとどう関係があるんです?
公正と平等、だから弁護士は常に自由と正義を追求するんですよ?

奇跡を信じる人は、奇跡を信じられる人、奇跡を信じたいと願う人……ですか。
どんな絶望的な状況でも、奇跡を信じている人がいる。
奇跡を信じて願う人がいる。
だからこそ、法の下の平等を我々がなしえなければならない。

そうか。
私たち、サンタクロースだったんですね。
ふふふ、サンタクロースかぁ。
今を生きる人々の、希望となる。

自由と正義には同時に責任がある。
私、闘いますよ!
私たちを信じて託してくれる人のために!

終わり

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