4人声劇 想定15分『White Love』 作 沖ママ

クリスマス声劇

松本 浩二(まつもとこうじ) : 男性
稲葉 美幸(いなばみゆき) : 女性
佐山 吾郎(さやまごろう) : 男性
赤井 七海(あかいななみ) : 女性

※4人は大学生。

赤井七海
「よ、松本!久しぶり。どーした〜?」

松本浩二
「赤井ぃ……。どしたー?じゃねぇって。見ちゃったんだよ。」

赤井七海
「見たって、何をよ?」

松本浩二
「佐山と稲葉が一緒に歩いてるところをだよ!」

赤井七海
「あー、なるほどねぇ。」

松本浩二
「はぁ……。」

赤井七海
「まぁまぁ、元気だしなよ。」

松本浩二
「元気なんて、出る訳ないだろ……。」

《場面転換 SE 歩く》

稲葉美幸
「やぁ、佐山~、久しぶり!」

佐山吾郎
「お、稲葉じょん!」

稲葉美幸
「じょんって何?犬の名前じゃないんだから。」

佐山吾郎
「噛んだだけだって、気にするなやよ。」

稲葉美幸
「いーや、気にする。で?急に連絡してきてどしたの?」

佐山吾郎
「ちょっと相談したい事があってさ。」

稲葉美幸
「え~!?何なに珍しい。雪でも降らなきゃいいけど。」

佐山吾郎
「むしろ、降って欲しいんだけどね。」

《タイトルコール》
クリスマス特別声劇《松本》
俺たち《佐山》私たちの《稲葉》
1度きりのクリスマス《赤井》

松本浩二
「あ、吾郎……。」

佐山吾郎
「浩二~。何か久しぶりだな。最近どうした?」

松本浩二
「どうしたって……まぁ、何でもねぇよ。」

佐山吾郎
「そうか、それなら良いんだけどさ。」

松本浩二
「吾郎、お前さ……。」

《場面転換》

赤井七海
「み~ゆ~き~。」

稲葉美幸
「ん~、なぁに~?」

赤井七海
「何もないよ~、呼んだだけ。」

稲葉美幸
「呼んだだけなの!?」

赤井七海
「まぁまぁ。美幸、ちょっと……真面目な話、いい?」

稲葉美幸
「え?何?」

赤井七海
「……うん……。あのさ……。」

《場面転換》
《ガヤガヤ》
《大学構内》

松本浩二
「吾郎、来るかな?」

佐山吾郎
「大丈夫だろ。きっと来るって。」

《SE 足音 歩く》

赤井七海
「お待たせ……って、佐山!?」

佐山吾郎
「赤井!?え、何で?」

赤井七海
「それはこっちのセリフ!松本、どういうこと!?」

松本浩二
「どういう事も何も吾郎とはずっと仲良いからなぁ。な、吾郎?」

佐山吾郎
「まぁな、浩二とは色々あったよな。」

松本浩二
「あはは。ホント、バカばっかりやってたよな。」

佐山吾郎
「そうそう、ってそうじゃねぇ!浩二、お前!」

赤井七海《声大きく》
「どういう事なの!?説明しなさいよ!」

松本浩二
「まぁまぁ、あんまり大きな声出すなよ。ここは、大学の構内なんだぞ?」

稲葉美幸
「え~何なに?何の話?」

佐山吾郎
「よ、遅かったな。」

稲葉美幸
「あ~、ちょっとね。ゼミの関係でさ。」

赤井七海
「美幸、色々と忙しそうだよね。大丈夫なの?」

稲葉美幸
「うん、何とかね。クリスマスと年末年始くらいはゆっくりしたいんだけどね。」

松本浩二
「クリスマス!」

稲葉美幸
「え?何?突然どうしたの?」

松本浩二
「そうだよ、クリスマスだよクリスマス!稲葉、ちょっと手伝ってくれないか?」

稲葉美幸
「私!?あ、ちょっと松本君!」

《SE 足音 走る》

佐山吾郎
「え……これ、どういう状況?」

赤井七海
「……行っちゃった……ね。」

《間を開ける 沈黙の時間》

佐山吾郎《気恥ずかしそうに》
「あ、赤井さんはさ……その、クリスマスとかどうなの?」

赤井七海《小声で恥ずかしがりながら》
「わ、私!?えっと……今のところ……空いてる……けど。」

佐山吾郎
「そ、それって!?」

赤井七海
「……うん……。佐山君なら……。」

《場面転換 SE 足音 走る》

松本浩二《息切らしながら》
「はぁはぁ、ここまで来れば、もう大丈夫だろ。はぁはぁ……。」

稲葉美幸《息切らしながら》
「ちょっと、説明しなさいよね。」

松本浩二
「アイツら2人、両方想い(りょうかたおもい)なんだよ。」

稲葉美幸
「両方想い(りょうかたおもい)?」

松本浩二
「お互いに好きだって事。で、お互いに片思いしてんの。」

稲葉美幸
「そう、だったんだ……。」

松本浩二
「吾郎から、何も聞いてない?」

稲葉美幸
「あ~、まぁ……相談は受けた、かな。」

松本浩二
「俺もさ、赤井と話す事あって、話してたら気付いたんだよね。」

稲葉美幸
「へぇ~、松本君て七海と仲良いんだ?」

松本浩二
「高校が同じだったからさ。同じ大学に居るのは知らなかったけどね。去年、たまたま知ってさ。それから話すようになった感じ……って、稲葉だって吾郎と仲良いんじゃないの?」

稲葉美幸
「私は、まぁ……なんて言うか……。去年、学祭の運営で一緒になってね。それからかな。」

松本浩二
「あ~、学祭なぁ。そいいや、吾郎は運営とかスタッフとかそういうの好きだもんな。吾郎らしいわ。」

稲葉美幸
「そうなのよ。凄く頑張ってた。……でもさ、七海の事、好きだなんて一言も聞いてないよ!?この間だって……。」

松本浩二
「ん?この間?」

稲葉美幸
「えっと、相談受けたって話。な~んとなく、好きな子いるのかなぁなんて思ってたけど。あ、でもでも、松本君の事とかも話したりしてるよ。」

松本浩二
「俺の話!?なに、どんな話よ?」

稲葉美幸
「どんなって……これまでの武勇伝とか?」

松本浩二
「いや、武勇伝はヤバいって!吾郎のヤツ!」

稲葉美幸
「佐山君、楽しそうに話してるから、松本君ってきっと良い人なんだろうなって思ってたの。」

松本浩二
「マジで!?俺、良い人っぽい!?」

稲葉美幸
「あ~、そうやってスグ調子に乗るところはちょっとね。」

松本浩二
「いや、あの、これは!うん、直す!」

稲葉美幸
「あはは、松本君って聞いてた以上に面白い人だわ。」

《場面転換 SE 歩く》

佐山吾郎
「あ、赤井……さんはさ、大学卒業してからとか、考えてる?」

赤井七海
「もぅ、七海でいいよ。な・な・み。」

佐山吾郎
「な、七海……さん?」

赤井七海
「さん付けとか要らない。呼び捨てで呼んで。」

佐山吾郎
「な、七海!」

赤井七海
「はい、なんでしょうか。吾郎君?」

佐山吾郎
「あ、ズルッ!」

赤井七海
「私たち、もうそういう関係なんだね。なんか……信じられないな。」

佐山吾郎
「ホントだよ。まさか、両方想い(りょうかたおもい)だったなんてな。」

赤井七海
「ホントにね、もっと早くに知ってれば良かったのになぁ。」

佐山吾郎
「クリスマス、どうしよっか。」

赤井七海
「クリスマスパーティとかもいいなぁ。美幸とか、松本君も呼んじゃう?」

佐山吾郎《被せ気味》
「俺は!……な、七海と……2人がいい!」

赤井七海
「ふふふ、そうだね。初めてのクリスマスだもん。2人だけにしよっか。」

佐山吾郎《フェードアウト》
「それならさ、もう日も無いから待ち合わせ場所とか、行きたい場所とか決めようよ。例えば……そうだなぁ。あ、あの場所は?ほら、でっかいクリスマスツリーがあるトコ!なんだっけな、名前忘れちゃったわ。」

《場面転換》

稲葉美幸
「あの2人、上手くいくといいね。」

松本浩二
「大丈夫さ。きっとな。」

稲葉美幸
「松本君はさ……いないの?」

松本浩二
「いないのって?」

稲葉美幸
「か~の~じょ。」

松本浩二
「あぁ、彼女ね。」

稲葉美幸
「どうなのよ?」

松本浩二
「いない。」

稲葉美幸
「へぇ~、何か意外。」

松本浩二
「そーゆー稲葉はどうなんだ?」

稲葉美幸
「え?私?」

松本浩二
「そうだよ。彼氏、いないの?」

稲葉美幸
「あ~、いないね。いいなぁ~って思うと、彼女さん出来たって事が多くてさ。」

松本浩二
「なんだよそれ。」

稲葉美幸
「おかしくない?私がいいなぁ~って思う人はみ~んな彼女さん出来ちゃうの。」

松本浩二
「俺も、他人の恋愛を応援してばっかりで、自分の恋愛とかしてこなかった。正直、どうしていいのか分からん。」

稲葉美幸
「素直になればいいんじゃない?自分に正直になればいいんじゃない?」

松本浩二
「自分に素直に、正直に……か。」

稲葉美幸
「うん。それが1番だよ。」

松本浩二
「稲葉……。」

稲葉美幸
「ん?なぁに?」

松本浩二
「素直に、正直になる!付き合ってくれ!」

稲葉美幸
「今度は誰の恋愛を応援するつもりなのかな?」

松本浩二
「そうじゃない!俺は稲葉、君が好きだ。」

《クリスマス曲》

赤井七海
「お待たせ~。今日寒いね~。雪とか降っちゃうかもよ?」

佐山吾郎
「そうだな~。もし雪が降ってくれたら、ホワイトクリスマスになるんだけどな。」

赤井七海
「出たでた、吾郎のロマンチストセリフ。」

佐山吾郎
「い~じゃん、1年に1度しかない日なんだからさ。」

赤井七海
「ま、そうだね。さ、行こっか。」

佐山吾郎
「あんまりはしゃぐなよ?」

赤井七海
「はしゃいじゃってもい~じゃない。初めてのクリスマスなんだし。」

佐山吾郎
「まぁ、そうだけどさ。」

松本浩二
「あれ、吾郎じゃん!?お、赤井も!?」

赤井七海
「うわぁ~、こんなところで松本に会うとは。最悪~。」

松本浩二
「なんだよそれ!?」

佐山吾郎
「まぁまぁ、浩二は……もしかして待ち合わせ?」

赤井七海
「えぇ!?何!?そうなの!?相手は!?え?誰よ?」

松本浩二
「ま、まぁな。俺の事より、お前ら、これからデートだろ?さっさと行けよ!」

佐山吾郎
「いや、行かねぇな。見届けないと。な?七海?」

赤井七海
「そーそー。どんな子なのかなぁ。」

松本浩二
「俺が誰と付き合おうと勝手だろ!?」

稲葉美幸
「浩二ごめ~ん。遅くなっちゃった。……あれ!?七海と佐山君!?」

松本浩二
「こいつらも、ここで待ち合わせしてたみたいでさ。」

佐山吾郎
「そうそう、偶然ね。」

赤井七海
「偶然って怖いねぇ~。」

稲葉美幸
「あんた達、すっかり恋人じゃない?」

赤井七海
「そりゃあねぇ。」

佐山吾郎
「大好きですから。」

赤井七海
「もぅ、こんなところで恥ずかしい~。」

松本浩二
「熱い熱い!今日は雪でも降りそうなくらい寒いのに、ここだけあっついなぁ!」

稲葉美幸
「2人の邪魔しちゃ悪いし、私たちも行きましょ。」

佐山吾郎
「おぉ~マイハニー!」

赤井七海
「マイダーリーン!」

松本浩二
「この2人、こんなんだっけ?」

稲葉美幸
「恋は人を変えるものよ?恋という魔法は人を変えてしまうわ。ね、浩二?」

松本浩二
「ま、そうだな。」

赤井七海
「あ!……雪!」

佐山吾郎
「お?ホントだ。こりゃ寒い訳だわ。俺たちも行こうぜ、七海。」

赤井七海
「うん!」

松本浩二
「美幸、俺たちも行くか。ほら。」

稲葉美幸
「今日はホワイトクリスマスだね。」

終わり

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