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『ネバーランド』想定10分
童話声劇2人(男性1役、女性2役)
参考童話 ピーターパン
※公開版の為、オリジナル版とは一部改変があります。
男性 《ナレーション》
あなたのパートナーやお友達が、唐突におとぎ話か夢か幻か、あり得ない話をしてきたら。あなたはそれを信じる事が出来るだろうか?
女性 《ナレーション》
あなたのパートナーやお友達に、唐突におとぎ話か夢か幻か、あり得ない話をしたら。あなたのパートナーやお友達はそれを信じられるかしら?
男性
『なぁ。最近、よく窓の外をよく見てるよな。何かあるのか?』
女性
「んー。。。ねぇ、もしも。もしもよ、この窓から外へ飛び出して空を飛んだって言ったら、あなたは信じてくれる?」
男性
『急に何を言い出すかと思えば、、、。そんな事ある訳ないだろ?』
女性
「だよね。。。」
男性
『もしも、もしもだ。仮に窓から飛び出して空を飛んだとしよう。鳥にでもなるのかい?』
女性
「このままの姿よ。そして夢の国へ行くの。」
男性
『夢の国?あのランドとかシーとかあるあれか?』
女性
「ちーがーうー。その夢の国じゃない。大人になりたくない、子供しかいない夢の国。」
男性
『なんだよそれ。そんなの国として成り立たないだろ。あり得ない。』
女性
「フツーはそうなるよね。」
男性
『なんだなんだ?君は疲れてるんじゃないのか?もしくは夢に見たとか。』
女性
「もしかしたら、そうなのかも知れないわね。」
男性
『仮に君の言っている事が真実なのだとしたら。それは、もしかしたらこの世ではないのかもしれないね。』
女性
「まさか。天国か地獄かだって言うの?」
男性
『この世界の常識では考えられないからな。君はその夢の国へ行ったことがあるのかい?』
女性
「うん。」
男性
『おいおい、そんな事がある訳がない。では、聞こう。その夢の国の名前は?』
女性
「ネバーランド。」
男性
『ネバーランド?聞いたことがないな。スコットランドやグリーンランドなら聞いたことはあるがね。』
女性
「すぐそうやって言うんだから。もぅ、そういうところ、嫌い。」
男性
『アハハハ。あんまり怒ると体に良くないからな。今日はこのくらいにして休むといい。』
女性
「うん。ありがとう。」
男性
『いいんだよ。ゆっくりおやすみ。』
女性
「おやすみなさい。」
《空白 3秒程度》
男性
『驚いたな。まさか、記憶が残っているとは。。。ティンク、いるんだろ?出てこいよ。』
ティンク
「なによ、もう。折角のお昼寝だったのに。」
男性
『彼女、どう思う?ネバーランドの記憶が残っているようだが。』
ティンク
「まぁ、あり得ない話ではないわね。でも、聞いたことがないわ。」
男性
『だよな。俺も聞いたことがない。ネバーランドから帰って来て、相当、月日が経過しているハズなんだが。さて、どうしたものか。』
ティンク
「このまま、様子を見るしかないんじゃない?彼女、長くないんでしょ?それでもあなたが今、ここにいる。その事実の方がおかしいことだと思うけどね。」
男性
『ああ。もってあと1年か。。。この世界の医療ではそれが限界、だろうな。』
ティンク
「良からぬ事を考えない事。いい?」
男性
『分かってる。ありがとう。俺も休むとしよう。』
ティンク
「おやすみ、ピーター。」
《空白 3秒程度》
男性
『やぁ。今日の体調はどうだい?』
女性
「今日?どうだと思う?何だかすっごく体が軽いの。今なら飛んで行けそうだわ。」
男性
『アハハハ。ネバーランドへ、かい?』
女性
「そう。この間まで信じて無かったのに、信じてくれるようになったのかしら?」
男性
『君があまりに真剣だからな。俺なりに調べてみたんだ。』
女性
「そうなの?で、どうだった?」
男性
『簡単に言ってしまえば、ネバーランドなんて国は存在しない。』
女性
「えー。ないのかぁ。」
男性
『でも、子供が突然居なくなるって事件は世界中で報告例がある。』
女性
「まさか!?」
男性
『どうだろうな?消えた子供。。。ロストチルドレンは基本的には帰って来ない。』
女性
「帰って来ないの?みんな?」
男性
『いや、それが、、、ほんの数例だけ、帰って来た例もある。しかし、居なくなっていた期間の記憶は全くと言っていい程に皆、無いんだ。』
女性
「記憶喪失?」
男性
『医学的に言ってしまえばそう、処理されている。』
女性
「随分な言い方ね。私はネバーランドでの事は今でも覚えているわ。」
男性
『それは興味深いな。是非、聞かせてくれないか?』
女性
「ネバーランドではね、子供しかいないの。その中でも王様みたいな彼がいて、みんな彼の言うことには逆らえない。」
男性
『ほう、、、彼?』
女性
「そう。彼がみんなのリーダーなのよ。名前は、、、ほら。何て言ったかしら。えーっと。。。駄目だわ。思い出せない。あんなに大好きだった彼なのに。思い出せないなんて!」
男性
『まぁ、無理に思い出すことはないよ。今日のお話はこのくらいにしておこうか。』
女性
「は~い。先生、おやすみなさい。」
《空白 3秒程度》
男性
『さてさて、どうするか。』
ティンク
「こら~。ダメよ。」
男性
『まだ何も言ってないだろう?』
ティンク
「ピーター、あなたの考えてる事くらい分かるわよ。全く、ダメだって言ってるのに!」
男性
『どうしても、か?』
ティンク
「少なくとも、今はダメ。それに、ネバーランドにあなたは王様だけれど、もう戻れないのよ?」
男性
『そう、、、だよな。』
ティンク
「分かったら大人しく寝てなさいよね。ホントに、ゆっくりお昼寝もしてられないわ。」
《空白 3秒程度》
女性
「ねぇ、先生?私、もう長くないんでしょ?」
男性
『突然何を言い出すかと思えば、、、。まぁここで嘘を言っても仕方ないよな。あぁ、君はもう長くはないだろう。こうしてあとどれだけ話せるかも分からない。』
女性
「やっぱり、そうなのね。最後に先生にお願いがあるの。もし彼が、彼がここに来たら、、、。私の魂をネバーランドに運んでくれるように頼んでくれないかしら。」
男性
『あぁ、約束しよう。』
女性
「これでやっとまた、ネバーランドに行ける。ね、、、ピーター。」
《空白 3秒程度》
男性
「ネバーランドの王として命ずる。ティンク、、、彼女の願い、叶えてやってくれ。」
ティンク 《ナレーション》
大人になりたくない、大人の居ないネバーランド。もしかしたら、あなたもロストチルドレンの1人、なのかもしれないね。