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『夢追い人』

おーい!ここだ!ここ!

お前さ、遅せぇよ!
何時だと思ってんの!?

待ち合わせ21時だろ?
はい、時計見て。今何時?
21時15分!

今日クリスマスだってのに寒空の下、15分も俺を待たせたんだぞ!?
寒いだろ!
俺、風邪ひいちゃうよ!?

てか、なんでクリスマスの日にお前と2人っきりなんだよ!
クリスマスの夜に男2人でなにやってんの!?って話だって。
俺も彼女いる訳じゃないし?
クリスマスにソロで寂しく居酒屋行くのもなぁって思ってたけどさ!?

でもまぁ、俺たちの秘密基地ってのも懐かしい話だよな。
良くここで2人で話してたっけか。

家出だー!って秘密基地に来てたこともあったし、夏休みとかここで星空見上げてたよなぁ。

な~んもなくても、ただここに来て話してた。

それで?

俺をここに呼んだ理由はなんだよ?

はぁ?久しぶりに話したくなった?
なんだよ、乙女かよ!?

こうして2人で話すのも久しぶりだし、まぁいっか。

んで?話したいことってのは?

それがあったから話したいと思ったんだろ?

うんうん。あー、夢……かぁ。

確かに、若い今なら夢は追ってもいいんじゃないかって思う。
歳とってオッサンやじいちゃんになってからじゃ遅いかもだし。
って言っても、夢なぁ……。

子供の頃はさ、途方もない夢とか、自由に夢見てたのにな。
学生から社会人になって、いつしか夢なんて忘れてたわ。

っておい、話聞いてる?

ん?どうした?

なんだよ、それ。
あー!もしかしてそれ!
タイムカプセル!?

懐かしいなぁ!
そういえば、秘密基地にタイムカプセルとか隠してたっけ。
良く見つけたな?

というか、よく覚えてたな。
しかしタイムカプセルとはね。
これって普通、成人式の後とかに開けるもんだろ?

そっか。
俺、成人式出れてないんだった。
まさかお前、それ覚えてて今日呼び出したのかよ!?
ホント、お前ってヤツは。
ありがとな。

開けてみようぜ。
俺、何入れたんだっけ?

お前は覚えてるのか?
だろーな。覚えてないよなぁ。
おぉ~。なんだ、これ?
そうだ!子供の頃好きだったキャラクターの!こんなのあったよなぁ。
ん?これは……手紙?
こっちは俺のか。
んじゃ、これはお前のだな。
な、読んでみようぜ。

《手紙朗読》
ぼくは、大きくなったらヒーローになりたい。かっこよくて、つよくて、みんなをまもる。ヒーローになりたい!

あははは、ヒーローかよ!
全く、子供っぽいと言えば子供っぽい夢だなぁ。
でも、そうか。ヒーローか。
カッコよくて、強くて、みんなを守る、そんなヒーローに……なれるかな。
子供が純粋に憧れて、好きになってくれて、カッコよくて、強くて、みんなを守る。
そんなヒーローにさ、なってもいいのかな。
ヒーローだって色々あるよな?

戦隊ヒーローだってヒーローだし、街を守る警察だって消防士だって、みんなヒーローだろ。
それだけじゃない、この街に住んで、この街のことを考えてる。
みんながヒーローなんだ。
子供の頃からの夢、だもんな。
俺、この街で生きるよ。
この街にいる。
お前はどうする?

あはは、今すぐ決める必要なんてないさ。
俺は俺、お前はお前。
お互いに夢を追っかけて、夢、掴もうぜ。

また何年後かに、この秘密基地で会えたらいいな。

終わり

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