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『伸ばした手の先にあるもの』
ただひたすらに暗い、出口も見えない街灯も月明かりもない道を歩いている。私はひとり道なき道を進む。
この道は何処に繋がっているのか。
この道は何処に繋がっていくのか。
私には分からない。分からないからこそ、私は歩みを止めない。
「ねぇ、誰か。。。」
ただひたすらに暗い、出口も見えない街灯も月明かりもない道を歩き始めた頃は、誰か居ないものかと声を掛けていた。誰でもいい。私を見て、私に声を掛けて。私を、私を!
誰も居ない。ひとり。孤独。
それでも私は歩いた。
この先にあるのは光輝く場所か、
更に暗い暗い闇に閉ざされた場所か。
ただひたすらに暗い、出口も見えない街灯も月明かりもない道を歩き始めてどのくらい過ぎただろう。
私の元に小さな、小さな光を纏ってふわふわと漂うものが現れ始める。
「♪~♪~~♪♪~♪」
決して楽しい訳ではないが、思わず口ずさむ歌。ふわふわと光を纏い漂うそれに私は手を伸ばしていた。
私が手を伸ばすとふわふわと光を纏い漂うそれは、スルスルと私の手をすり抜けやがて、消えた。
「えっ。。。」
私は再び歩きだす。
ただひたすらに暗い、出口も見えない街灯も月明かりもない道を。
私が歩き、歌う事でふわふわと光を纏い漂うそれは次第に数を増していく。
ふわふわと光を纏い漂うそれがひとつ、私の歩く少し先を漂い続けている。今度は手を伸ばさないでいよう。私と一緒にこの先を行こう。
どのくらい歩いただろう。
どのくらい私と一緒に歩いただろう。
「アナタはこのまま私と一緒にいてくれるのかな?」
思わず口にした言葉。
私の歩く少し前を行く、ふわふわと光を纏い漂うそれは、いつからか2つになり、3つになった。
ただひたすらに暗い、出口も見えない街灯も月明かりもない道を私は歩く。足元にも光を纏い漂うそれはある。肩口にも、少し離れたところを遅れないように付いてくるものもある。
ただひたすらに暗い、出口も見えない街灯も月明かりもない道を歩き始めてどのくらい過ぎただろう。
ふわふわと光を纏い漂うそれは、いくつも現れ私を照らしてくれる。ひとつひとつは明るい訳ではないが暖かい光。道を照らすには少し暗いが歩く先を見据えるのには十分であった。
ただひたすらに暗い、出口も見えない街灯も月明かりもない道を歩いている。
私はひとりじゃない。
この道が何処に繋がっていても、
この道が何処に繋がっていたとしても、私は迷わない。ふわふわと光を纏い漂うそれがあるかこそ、私は歩みを止めない。止められない。
ふわふわと光を纏い漂うそれが、いくつも集まり、より強い光を生む。
「今なら大丈夫かな?」
私は以前のように光を纏い漂うそれが消えてしまうのではないかと少し怯えながら手を伸ばす。
ふわふわと光を纏い漂うそれは私の指先の辺りで変わらず漂い続ける。
「ふふ、ありがと。」
私は迷わない。
この歩みを止めない。
後ろは振り向かない。
真っ暗な虚空を見上げ涙することはあっても、歩く事はやめない。
足元を見下ろし、変わらぬ暗闇に心が砕けそうになっても、先に進む事はやめない。
ふわふわと光を纏い漂うそれが、私を導いてくれている。背中を押してくれている。
ただひたすらに暗い、出口も見えない街灯も月明かりもない道でも、私の歩く先を照らしてくれる。
歩こう。これからも、変わらず歩いて行こう。手を伸ばせば変わらずにそこにいるものがある。光は、この先にきっとある。
「絶対に、この先にある。私はそれを掴みに行く。」
ただひたすらに暗い、出口も見えない街灯も月明かりもない道の途中で私は手を伸ばし、ふわふわと光を纏い漂うそれに誓う。
より強く光を放つように見えるそれらと共に歩いていく。
「さぁ、行こう。」
私はまた歩きだした。
~『伸ばした手の先にあるもの』~
《終わり》
あとがき
書き終わりました。当初、頭の中で練っていたプロットを全てぶっ飛ばして全く違うイメージのものになりましたが(笑)
ただ、暗い闇に閉ざされた世界にも思える世界に生きる彼女を応援したい。その気持ちだけはあります。
光に照らされ、明るい未来に
辿り着ける事を願っています。
~追記~
この物語は以前Twitterに投稿したものです。ある、お方をイメージして唯一無二のオリジナルとして書かせていただきました。あれから時が過ぎ、、、
ただひたすらに暗い、出口も見えない街灯も月明かりもない道の途中で手を伸ばした先に何があったのか。
それは、また別のお話。