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地域包括ケアとリハ専門職 2020

表題に関する情報をまとめた資料です。現時点では介護予防を中心に作成していますが、いずれは精神障がいや小児関連まで対象となるかもしれません。

適宜、加筆・修正しています(最終更新日2020/10/16)。


地域包括ケアシステム

厚生労働省は2025年を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築を推進しています。

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図は厚生労働省の「地域包括ケアシステム」のページから引用しています。地域包括ケアの在り方を振り返る際に、色々と参考になる情報が掲載されてますので以下のリンクをご参照ください。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/



地域包括支援センター

地域包括ケアシステムを支えるのは市町村ですが、これらの業務は地域包括支援センターへと委託されることも少なくありません。

2018/04末の時点では地域包括支援センターの運営形態は、市町村直営21.7%、委託78.3%という割合です。

包括の役割はとても重要です。図にあるように幅広くシステムの要となっていますが、その幅広さ故に事業展開が難しいことからしっかりとRPDCAサイクルを回すことが求められます。

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図は厚生労働省「地域包括支援センターの概要」から引用しています。

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000644718.pdf


個人的には、重要な役割であることから市町村直営で責任を持って運営して欲しいと感じますが、現実的には地域の法人へ委託されることがほとんどです。勿論、委託して放置しているわけではありません。市町村が責任者となって年度計画を元に連携して運営することが必要です。


補足として、2020/06/29資料の地域包括支援センターの評価指標の図です。市町村、地域包括支援センターそれぞれに対して実施すべき項目が設定されています。

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評価項目数は、市町村 59 項目、地域包括支援センター55 項目からなります。そのうち 48 項目は市町村とセンターとで直接対応関係があり、運営方針を共有したうえで、連携した事業運営が出来ているかを評価することができるようになっています。

地域包括支援センターの運営は市町村の方針によるものが大きいことから、両者の連携状況を確認していくことが重要です。


図を含めた資料は以下のリンクになります。

https://www.murc.jp/wp-content/uploads/2020/04/koukai_200424_3_2.pdf



総合事業(介護予防・日常生活支援総合事業)

地域包括ケアシステムの一つである介護保険事業は皆さんご存じと思いますが、介護予防・日常生活支援総合事業はご存じでしょうか?


リンクは厚生労働省の「総合事業」のホームページになります。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000192992.html


以前は、市区町村で行われていた介護予防事業は、介護認定の申請をして「非該当(自立)」となった高齢者が対象でした。しかし、2015年の介護保険改正により「非該当」や「要支援」の方も含めて、65歳以上の住民が対象となりました。これにより、要介護認定の申請を行わずとも介護予防サービスを利用できることになりました。

予防という観点から「住民全員が対象である」という考え方で事業展開しているのが「総合事業」になります。

図の緑の部分を見てみましょう。

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「介護予防・生活支援サービス事業」は要支援1・2と基本チェックリストによって該当する事業対象者が対象となります。

「一般介護予防事業」は65歳以上の方を対象とした事業です。

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基本チェックリストは25項目の質問で構成されており、日常生活の活動状況、運動や栄養、口腔機能など全体を網羅して評価することができます。

住民主体でチェックできれば、自分自身では気づきにくい心身の衰えをより早く把握して、介護予防など健康づくりに生かすこともできます。

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https://www.city.niigata.lg.jp/iryo/kaigo/kaigoyobo/kihoncl.files/kihoncl2019.pdf



介護予防・生活支援サービス事業

総合事業で説明した「介護予防・生活支援サービス事業」で受けられるサービスには訪問型サービスA~Dや通所型A~C等があるのをご存じでしょうか?

図の上のピンクから黄色に枝分かれしていく部分のサービスになります。

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訪問型サービス

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通所型サービス

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訪問Cや通所Cはリハ専門職が実施することがあります。

通常の訪問リハや通所リハとは異なり、市町村の総合事業計画に準じた目標設定・支援をすることが重要となります。

訪問Cおよび通所Cには(短期集中予防サービス)と書かれていますが、基本的には生活機能を改善するための「予防」を自分自身で継続的に実施できるか?これがポイントになります。



一般介護予防事業

総合事業の「一般介護予防事業」は図の下のピンクから枝分かれしている部分になります。

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各種事業内容

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これらの事業は市町村もしくは地域包括支援センターが主体となって実施することになります。


事業の一つであるリハ専門職が関わることの多い「地域リハ活動支援事業の概要」を説明します。

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図は厚生労働省 2017/2/7 第124回 市町村職員を対象とするセミナー「地域リハビリテーションの重要性とその活用について」から引用しています。

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12600000-Seisakutoukatsukan/0000151679.pdf


リハ専門職の役割には通所/訪問/地域ケア会議/サービス担当者会議/住民運営の通いの場等への関わりが挙げられています。

具体的な内容は別資料を準備します。


熟練したリハ専門職は個別介入以外にも、全体を俯瞰的に眺めることができるようになりますので、地域包括ケアシステムにおける運営(計画/実施等のRPDCAサイクル)まで担うことが可能です。

市町村に従事しているリハ専門職もたくさんいます。まだまだ良い人材は埋もれているはずですが、育成または発掘して活用するシステムが不十分な現状は少しもったいない気がします。



リハ専門職の課題

リハ専門職の大半は「医療機関」で働いています。全体的にはどうしても医療寄りの考えや経験に偏ってしまっており、地域包括ケアシステムまで連動したイメージを持つことが難しいという課題があります。


例えば、そのような医療機関を中心に従事しているリハ専門職が「地域リハ活動支援事業」の1つである地域ケア会議に助言者として参加した場合、ある程度の専門的立場からの意見は述べることができると思います。

しかし、地域包括ケアシステムや総合事業、市町村計画、地域の現状を知らないとしたら助言に「厚み」は生まれないかもしれません。


例えば、地域課題を解決するための集いの場「サロン」にリハ専門職は関わっているでしょうか?医療施設から在宅復帰する際に「訪問リハ」「通所リハ」「外来リハ」以外の地域資源に繋げられるような支援はできているでしょうか?

なかなか円滑に連携できていないのが現状です。リハ専門職だけで考える支援ではありませんので、これは医療介護連携の課題の1つであると考えています。


ある方から以下のような主旨でお話がありました。特に医療機関で関わるスタッフにとっては考える良い機会になると思いますのでご紹介します。

回復期リハビリテーション病棟で1日9単位(3時間)の個別リハビリを実施し、なおかつスタッフ全員で生活リハビリを実施できる環境から、退院後は一転して全く別の生活がスタートします。それを想定しながら関わることができていますか?



生活支援コーディネーターと協議体

市町村や包括が事業を進めるためには「生活支援コーディネーター:SC」の配置が重要となります。SCは「地域支え合い推進員」とも言います。高齢者の生活支援・介護予防サービスの体制整備を推進していくことを目的としたコーディネート機能(主に資源開発やネットワーク構築の機能)を果たす役割を担っています。

「協議体」とは、市町村が主体となって各地域におけるSCと生活支援・介護予防サービスの提供主体等が参画し、定期的な情報共有及び連携強化の場として中核となる組織のことです。

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地域住民に身近な存在である市町村が中心となって、ボランティア、NPO、民間企業、社会福祉法人、協同組合等の多様な事業主体による重層的な生活支援・介護予防サービスの提供体制の構築を行う必要があることから、生活支援体制整備事業を活用し、生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)と協議体を全国の市区町村全域と日常生活圏域に設置し、地域資源の開発やネットワークを構築することにより、重層的な生活支援や介護予防の取組を強力に推進していく、だそうです。


詳しくは厚生労働省のリンクにある説明をご覧ください。SCの詳しい役割や協議体との連携についての情報があります。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000084710.html


また、厚生労働省は漫画にてSCがどのように事業を考えて推進するかをわかりやすい解説しています。これは必読です。

https://www.nttdata-strategy.com/services/lifevalue/docs/h30_04_2_jigyohokokusho.pdf



参考資料

地域連携ツール・ガイドブック

ここまで活用する方は少ないかもしれませんが、JAGES(日本老年学的評価機構)からガイドブックや資料等の各種ツールを作成していますので参考にしてください。

https://www.jages.net/library/regional-medical/


資料は数多く用意されているので閲覧するには気合と根性が必要です。なので、1つ紹介するとしたら「地域の集い場 立ち上げ支援ガイドブック」です。

地域課題を解決するためには集いの場(サロン)が重要な役割を担います。サロンが数多くあれば良いというものではありません。何故、その地域にサロンが必要なのか?キーパーソンはどう探したら良いか?地域住民を主体としたサロンの立ち上げから活動までを支援するガイドブックです。

では、

「サロン立ち上げ専門」の会社や専門職とのコラボがあって、市町村に活用してもらえれば面白いかもしれません。街づくり専門家と協議する、といった革新的な企画も提案したいと思います。


街づくり専門家についてはWikipediaに説明がありましたが、独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)というものがありますので以下のリンクからご参照ください。

https://www.ur-net.go.jp/produce/machizukuri/specialist.html




地域の取組事例集

リンクにある厚生労働省のホームページではモデルになるような取組事例がPDFで閲覧できるようにされています。それぞれの市町村の実情に近いものは参考になるかもしれません。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/


しかし、その前に自分自身が関わっている市町村の地域特性についてもっと知るべき情報があるかもしれません。「生活支援コーディネーター」や「協議体」との情報交換を積極的に行うべきでしょう。

市町村によっては様々な部署による事業が交錯しているかもしれません。できれば一つの事業に統合できるような方向性が良いと思いますが、現状ではまだまだ難しいかもしれません。




余談

2020/02/02に準備した資料から色々と改変しましたが、かなり苦労しました。様々な資料がありすぎて取捨選択、断捨離が大変です。

鬼滅の刃の映画が公開されましたが、個人的には「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」を見たいと思います。


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喜納俊介@作業療法士
これまで学んできたこと、これから学んでいくことをnoteを活用して表現したいと考えています。地域視点からの集中治療領域のOTをよろしくお願いします(^-^;