もの作りで生きていくこと
初めまして、まずは自己紹介からさせていただこうと思います。
僕は、ファションデザイナーという職業で生計を立てている平成5年生まれの24歳です。僕の生活している場所
それは沖縄です。
現在は祖母の時代から続く、沖縄の伝統的なデザインを織り交ぜた一点物の製作をメインに扱う服屋さんで生計を立てています。2017年3月に東京の文化服装学院を卒業し、一般的なアパレル業界に属せず卒業後すぐに、地元沖縄に戻り家業に入りました。
僕の決断の裏側には、先の見えないアパレル業界に進む既定路線より、世の中の希少人材になって自分で仕事を作りたいという思いがありました。
幸運なことに、『僕の地元は沖縄で、母親は服屋をしてる。』そう思い、家族の後押しもあって就活をきっぱりとやめて、希少人材になる道を目指し歩みを始めました。ですが、理想と現実はやはり違うもので、思った以上に過酷で現実は失敗の連続でした。
僕に課せられた大きなミッションは、二つありました。現在は何年も空き家状態が続く店舗を利用して、利益を生み出すこと。長年仕入れの名の下に、大量に買い集められた在庫を売りさばくこと。 僕に課せられたミッションを最高の手札に変えようと思い、1年を過ごしました。
結果として失敗に終わりましたが、自分で内装工事に取り掛かり店舗開業し、在庫を売りさばくことを実行しました。SNSやオンラインショップ、ホームページも作成しましたが、どれも数字には現れず中途半端な結果に終わりました。見よう見まねで全てをがむしゃらに取り組みましたが、結果が出る前に諦めてしまったというのが実際のところです。
この1年を通して、自分に足りない能力や考え方がたくさんあることを痛感し、日々それを学ぶことを念頭に置きながら色々なことに取り組んできました。
集客の厳しさから、ネットの大型フリマアプリやハンドメイド作家のサイトの利用。ハンドメイド作家としての活路を見出そうとも考え実践したりもしました。
大きく直面した問題はやはり集客です。ネットの普及により場所を選ばず人に見てもらえる、または評価される。と言われて時間がたちますが、もちろんそれを実行するには、日々の発信やマーケットを絞ることが大事だと感じました。
ここで僕が痛感したのは、ネット上に自分の世界観を作り、うまく発信する能力。
本質的に言えば、世の中に伝える力。遊びや日常をうまく仕事にしている方々は、その発信力をうまく利用することで、結果的に収益化できているという考えに至りました。
そして今の時代、その能力が大きな分かれ目になっているように感じます。
作品を生み出す作家さん含め、一般の方にも必要不可欠な能力になっています。僕の目指す、希少人材にとっても必要不可欠な能力で、それを身に付けたならば、自分の活動に対して世の中から何らかの評価が返ってきます。
変化の兆し
日々の試行錯誤の中、同じ志を持った仲間に出会いました。
彼は、金融とITの人で、僕は作家。彼と話すうちに僕の目指す希少人材が明確なビジョンになって現れてきました。
"僕たちの目指す社会と自己欲求"
1年の試行錯誤の結果、当初は自己欲求を満たすことばかりの将来のビジョンを描いていましたが、徐々に変化が現れてきました。
世の中の役に立つ需要の上に、自分のやりたい事を乗せるバランスが理想の仕事。
そして彼と話す中で、僕の描く理想の働き方をより多くの方々に実現してもらい、夢を夢のままで終わらせないでほしいと願うようになりました。
僕の目に映った表現者たちの生み出した素晴らし世界をこれからも、もっと世の中に散りばめたい。そして、僕自身も世の中の表現者の一人として順当に評価され、それを生業にしたいと思いました。
デザイナーやアーティストが自己表現を追求する世界に私は、心のそこからリスペクトを持っています。自分もそのような強い表現欲を持った作家の一人になりたかった。一番はそれを仕事にできることが、とても苦しく幸せな働き方の形だと今でも思います。
ただそれには、あまりに大きなリスクと犠牲を伴います。そしてここでも、大きな分かれ目になるのが世の中に伝える力です。いつの時代にも、志を持って自分の信念にまっすぐ突き進み、死後や晩年に評価される人々がいます。
しかし今の時代、表現者たちは世界中に発信できる強力な武器(SNS)を提供されています。ですがその反面、あまりにも自分のクリエイション外での能力が求められるようになり、歴史に登場した偉大な文化の産物は、このネット時代を皮切りに凝り固まった共同認識からのみ派生し、今まで存在してきたような独特の世界観を持った文化の産物は確実に減少していくと危惧しています。
もちろんネットの普及により、表現のバリエーションは形を変え、世の中に溢れていくことでしょう。しかし社会の並列化はますます進んでいき、表現方法のバリエーションは一時的に増えていくでしょうが、偶然性の欠けたマーケティングありきのクリエイションが溢れていく事でしょう。
なんでもできる時代だからこそ共同認識が形成され、大きな同じ土俵の戦いになり、文化の広がりがなくなることを危惧しています。
世の中に必要なくなる職業があるように、表現物も同じく形が変わることは理解していますが、長い年月を経て僕らのDNAに刻み込まれた文化を生み出す力をより広げ、後世につなげていく時代にあったアップデートはできないだろうか?
数字に捉われないクリエイションは残っていけるだろうか?
僕は同じ志を持った人々と文化を形成し後世に残していくことを可能にし、自分自身もその文化のピースの一つになれるように、表現者を存続させる社会システムを構築することを決意しました。ものの価値を再評価する、社会問題とものづくりの組み合わせ。
様々なアプローチで表現者たちが、表現の上で社会と向き合い自己表現を探求できるシステムを構築します。これが僕にとっての「表現者たちの土壌を作り、世界に素晴らしい文化を残す」というものづくりです。
今は、同じ志を持った友人と会社を立ち上げ社会へのアプローチし、日々自分の願う世界の形に近づけるように製作を続けながら動きつづづけています。この文を世の中に投じることもその一歩です。
本当にやりたいことと、本気で向き合えるより良い人生を。