龐煖がヒューマニズムで小悪党
最近のキングダムで一番失敗したと感じたのは龐煖のキャラづけだ。
いよいよ、その龐煖の人生目的が明らかになるとスゴイと思うどころか
気の毒になり、その神秘的な武が萎んでしまった。
理由は明らかで、龐煖をヒューマニズムで描いたからだ。
個人で武を極めて神に近くなれば、人類全体がアセンションして
地上から争いが消えるなど、あまりに強引だ。
だが、一番の問題は作者の温情のせいで龐煖が弱い人間である事が
露わになってしまった事だ。
作者は悪人にも、悪に堕ちるには理由があった筈だというヒューマニズムで
規格外の天の禍である龐煖を矮小化してしまった。
こんなに惜しい事はない、龐煖は人の姿をした神の禍であり
情け容赦のない自然災害のようなキャラだからこそ、嫌われつつも
畏敬の念を持たれたのだ。
地震も火事も台風も、時も場所も選ばず、容赦なく全てを奪う
恨みもなにもない、ただの圧倒的な暴力である。
だから人間は威圧され畏敬の念を持つ
善だの悪だのは、せせこましい小市民の価値観だ。
それを、わざわざ小市民のレベルまで降ろし
人間如きを救うという上から目線の傲慢なだけの
つまらない男に変えてしまった。
余計なヒューマニズムが龐煖を矮小化し、
その苛烈な所業の分だけ
ただの身勝手な嫌われ者に変えてしまったのだ。
こうなってしまっては、
小市民龐煖の自己満足で殺されたキャラが可哀想である。
思想も善悪も関係なく、ただ強い者を殺すだけの男なら
何の救済も求めない強い男として死んだなら
どれほど印象的なキャラになっただろうか
王騎でさえ、心酔する昭襄王に共鳴して中華統一を狙いつつ
その根底にはゾクゾクする戦場という得体が知れない情念で
戦っていたじゃないか?
龐煖はヒューマニズムという枠にはめられ、
その怪しい輝きを失ったのだ。
今日のニュースを語ります。