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お金を取り巻く環境が変化し始めている中で、リアルタイムに守りながら攻める

ふたつの記事で、守りから攻めへの意識と行動を変えることを書いてきました。

物価高が続く中で、賃金の労働分配率の低下に対し、個人の守りから攻めへのマインドセット(考え方)を変える重要性。

長期的な視点で、戦後の混乱から経済成長に続く「攻めの時代」から、バブル崩壊後の「守りの時代」への大きな転換点に、守りの姿勢の危険性、攻めの姿勢の重要性。

今、私たちの生活に直結する、お金を取りまく環境が、長く続いた固定的な状況から大きく変化し始めています。

その意味では、情報リテラシーや情報のアンテナを高め、守りながら攻めることがリアルタイムで必要になってきています。



ここへきてお金に関連する環境の変化が激しくなってきている

★GDP2024年10─12月期、年率2.8%増 外需寄与し3期連続プラス

内閣府が17日発表した2024年10─12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質(季節調整値)が前期から0.7%増え、3四半期連続のプラスとなった。年率換算では2.8%増。

★個人の消費は節約志向

GDPの半分以上を占める「個人消費」は、3か月ごとの伸び率がプラス0.1%とプラスを維持。ただ、宿泊や白物家電が好調だったが、物価高による節約志向でコメや野菜、衣類の販売が低調だった。

ローンや投資や預金に影響する金利が変化

★住宅ローンや定期預金の利息に影響する長期金利が15年ぶりの高い水準

2025年2月17日の債券市場では代表的な指標となっている10年ものの国債の利回りが、午後に入って一時1.385%まで上昇し、2010年4月以来、14年10か月ぶりの高い水準となりました。住宅ローンの固定金利のほか、定期預金の利息、投資などにも影響します。

★定期預金の変化

2016年2月~2024年にマイナス金利政策が導入されて2024年3月に解除されるまでの間、多くの銀行では普通預金金利が0.001%と、預金していてもほとんど利子がつかないような状況でした。

・2025年1月時点では0.1%程度まで引き上げ。
・100万円を1年間預けた場合の比較
  金利が0.001%のとき10円⇔0.1%では1,000円およそ100倍変化

長期金利の上昇で、普通預金にも影響があるかもしれません。


長く続いた「賃金も物価も上がらない時代」からの大きな変化

★20年近く低値安定していた消費者物価が2020年から上昇

「消費者物価指数」は、私たちの生活に関わる物やサービスの値段を表す指標。いわゆる物価高を感じる目安とも言えます。

・バブル崩壊後消費者物価指数はほぼ横ばいかマイナス

・企業による価格破壊(安売り競争)が影響

・20年近く続いた低値安定の物価が2020年をきっかけに上昇

コロナによる世界同時インフレ、ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー価格高騰などが引き金になって2020年から急激に上昇し始めた。

バブル崩壊以降、20年近く低値安定していた物価が、2020年を境に上昇し、
今後もどうなるか予測できない。


★実質賃金は横並びのまま

実質賃金(じっしつちんぎん, Real wages)とは、労働者が労働に応じて取った賃金が実際の社会においてどれだけの物品の購入に使えるかを示す値である。生活の豊かさに直結している。

・OECDの employment outlook ベースの実質賃金指数について日本と主要国の推移を1990年から追ったデータを見ると日本の実質賃金がそれなりに伸びていた欧米諸国とは対照的にほぼ横ばいで推移していたことが明解である。

・バブル崩壊後、特に2000年以降、実質賃金が停滞。

・2020年の物価高の上昇に対して、賃金上昇が追いついていない状況

急激に上昇している物価高に対し、賃金が追い付いていなければ、生計が厳しくなっている人も多いのではないでしょうか?

守りの姿勢で稼ぐ力が弱い日本

★生活の豊かさの指標「1人あたり名目GDP」2023年日本22位

豊かさの目安となる日本の2023年の1人あたり名目国内総生産(GDP)は3万3849ドル。韓国に抜かれ、経済協力開発機構(OECD)加盟国中22位に後退。円安に加え、高齢化による成長力低下や労働生産性の低さが足かせとなっている。

★貧しくなるニッポン

このランキングが示すのは、日本人の豊かさが思いのほか低くなっていること。

訪日外国人がリッチにみえるのは、円の購買力だけではなく、外国人の所得水準自体が高まって、日本が低くなっていることも大きい

この問題は、さらに深掘りすれば、就業者の労働生産性がそもそも低いという問題を指摘。

★1人あたりの稼ぐ力が地盤沈下

日本生産性本部の「労働生産性の国際比較」では、2023年の「名目GDP÷就業者数=1人当たり労働生産性」は、日本はOECD38か国中で32位。2018~2023年の順位降下は著しい。

・1998~2017年は常に20~22位をキープ
・2018年25位
・2019年29位
・2020年29位
・2021年30位
・2022年31位
・2023年32位と地盤沈下が進んでいる。

働き手の効率性、企業の稼ぐ力自体にも問題があるからだろう。問題の核心は労働問題。日本企業が人材活用やキャリア形成、労働移動など広範な課題を抱えていることを浮き彫りにしている。

守り(コストカット型経済)から攻め(高付加価値創出型)への移行を妨げるもの

★政府はコストカット経済から高付加価値創出型経済への移行を提示

2025年の予算案で、石破首相はコストカット経済から高付加価値創出型経済への移行を提示した。

★一人当たりの稼ぐ力の低下を招いているもの

国民1人あたりGDPは、石破茂首相が就任後初の所信表明演説で「増加」を掲げるなど、政権が重視する指標の一つ。日本の順位は00年の2位をピークに下落の傾向が続く。22年はイタリアに抜かれ、14年ぶりにG7で最下位に転落。

三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎氏は「円安や日本企業の競争力の衰えだけでなく、高齢化が進んで1人あたりの稼ぐ力が低下したことも大きい」と分析する。

紙の朝日新聞の記事では、

・1990年代のバブル崩壊後、日本企業が(守りの)コストカット型経済、リストラを進め、人件費抑制、非正規、投資抑制などで安売りを競っていた間に

・海外企業は、(攻めの)投資を重ねて新製品やサービス開発に力を注いだ差が様々に影響している

と論じています。

日本企業は、まだまだ、リストラを進め、人件費抑制、非正規、投資抑制など守りのコストカット型が多く、安売り志向も強いのではないでしょうか。

DX化も含め、攻めの高付加価値創出型の稼ぐ力が低下している。

個人も、物価高への対応として守りの節約・節制など強化しながら、
投資も合わせて、攻めの高付加価値創出型の稼ぐ力がいよいよ必要な時代に突入しているようです。

ある意味で、長い間続いた守りの環境が、大きく変化している中で、自身を取り巻く環境の変化を察知しながら、個人も守りながら攻める姿勢を持つ必要性が見えてきます。

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