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シバサシしないとオバケが来るぞ
「シバサシ」をご存知でしょうか。なんとなく見たことがある人もいるかと思いますが、家の塀や車にときどき刺さってる草のようなもの。そうアレです。
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シバサシ とは
シバサシ(柴差し。伊是名島では“シワサシ”と言う)は、旧暦8月の最初の丙(へい)の日に行う行事のひとつ。シバはススキのことを指していいて、シバを刺すのでシバサシ。
このシバを束ねて結んだものを「ゲーン」と言い、お守りとして使います。ゲーンを家の敷地の四隅に刺して結界を作り魔除けをするそうです。
ではどうしてシバサシをするのか?諸説あるようですが、シバサシはお盆あとに行うもので、ご先祖さまの霊と一緒についてきた悪い霊を家の中に入れないようにするためだとか。
シバサシの前にはヨーカビーもね
ちなみにシバサシの前には「ヨーカビー」という日があり、昔はこの時期に家の中で物音がしたり、人魂が家の周りを飛んだりしたそう。人魂が飛んでいた家は3年以内に死者が出る言われていたので、その場合はユタを呼んでお祓いをしていたそうです。
簡単な流れはこんな感じ。
7月13〜15日:旧盆
8月8日〜10日:ヨーカビー
8月9日〜11日:シバサシ
※全て旧暦
ヨーカビーで悪霊を祓って、後日シバサシをして敷地を守る流れだそうです。バルサン焚いたあとの拭き掃除みたいなものでしょうか。
ヨーカビーとシバサシの日程が被っていますが、大体この時期にこの順番でやれば大丈夫のよう。
伊是名島のシワサシ
伊是名島では四隅と言わず島じゅうあちこちに刺さっているのを見かけます。車やトラクター、家の玄関etc...。なんでもいいから刺しとけ感が田舎独特の暖かみを感じるというか、ラフさを感じると言うか。
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あれ…結んでないぞ…?
そういえば以前、自家用車に勝手に刺されてたやつも結んで無かったな。伊是名島のシバは結ばないの?結ぶから魔除けとして機能するんじゃないの?祓えてるの?といろいろな疑問が浮かびます。シバサシを結構探してみましたが、結んでいない家が多く「思ってたんと違う」感が否めない。
そんなはずはない。絶対に結ばれているやつがあるはずだわ。と、探している間に「結んであるシワサシを見つける」というミッションに置き換わってきました。
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シワサシ専用スペースを発見
家の門柱などにビニールパイプを切ったものを取り付けてある家がたくさんあり、どうやらこれはシワサシ専用のよう。毎年ここに入れるだけ〜という、一周回って逆にオシャレに感じるインテリアスペースが爆誕しています。すごいぞ伊是名島‼︎
でもこれは生けている状態に近い気がするので、シバサシというよりむしろ「シバイケ」。
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パイプがついてる家いっぱいあるよな〜と思っていたら、まさかシワサシ用だったとは驚きの発見です。
それでもこの風習は薄れてしまってるようで、パイプのある家は多かったですが、今年ほとんどのお家はゲーンが刺されていませんでした。んもう、オバケが出ても知りませんよ。
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シワサシ(シバサシ)にも種類がある
・ゲーン=ススキの葉奇数本と桑の葉3枚
※ゲーンを「シバサシ」と呼ぶ所もある
・サン=ススキの葉3本を結んだもの
・サン小(グヮー)=ススキの葉1本を結んだもの
沖縄にはマジムンやヤナムンと呼ばれる魔物がいると信じられていて、マジムンが食べ物を触ると傷んでしまうと言われていることから、「サングヮー」はお弁当やお裾分けなどの食べ物に添えられることが多いのですが、基本的には何にでも使って良いオールマイティー選手。
ほかにもお守りがわりに持ち歩いたり、気になるところに置いてみたり、お清め塩的な使い方もされます。
さらに近年はススキではなくビニール紐で作られていたり、革製だったり、某お持ち帰りピザのお店ではピザの箱にプリントされていたり、カーフレグランスとしてホワイトムスクな香りを漂わせていたり…魔除けというより沖縄のアイコン的なものとして増えてきました。
そんなたくさんのグッズがある「サン」の方が認知度は高いかもしれませんが、その上位互換がゲーンとの事。しかも魔除け効果はサンが数日なのに対しゲーンはなんと1年。1年保つなら断然おトク!と、防虫剤のようなキャッチフレーズが浮かんできます。
ゲーンがあれば何でもできる
仏壇も拝むわ墓も拝むわ拝所も拝むわその上魔除けも必要だなんてぶっちゃけ気持ちの問題だろと言いたくなりますが、当時は日常を穏やかに過ごすためなくてはならないアイテムだったのかもしれません。何かとストレスの多い現代人も、ゲーンを使うと少しは気持ちが上がるかも。
おすすめの使い方としては普段ガリガリ言ってるパソコンが急に落ちたりしないよう、本体の上に添えておくなどすると良いかも。
またススキの葉で手を切りやすいので、作る際はお気をつけください。
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