例のあの人について
沖縄の歴史に詳しいか、興味のある人以外にとってはマイナー過ぎる人物推しのこの島。前情報無しで来村する人は「やたら指差した人のモチーフ多いなぁ」程度のお方、その名も尚円王(しょうえんおう)。
伊是名島と言えば尚円王の里。
尚円王の里と言えば伊是名島。
Q.そもそも「尚円王って何なのよ」
A.尚円王は王様の名前です。
※この人物について興味のない方はここで終了して大丈夫です。
沖縄が「琉球王国」と呼ばれていた時代の王様です。「尚」はいわゆる苗字で、尚(しょう)・円(えん)さんという名前ということ。その尚家の家系はもちろん現代にも残っていて、那覇市首里の町には「尚」という表札のお宅があります。人様の家なので騒いではいけないのですが、思わず叫ぶくらいびっくりしました。本当にその節は申し訳ありません…。
さらに尚円王には
・思徳金(うみとくがね)※幼名
・金丸(かなまる)※成人名
・松金(まちがに)※あだ名
と、いろんな名前があります。
島内の案内ではしれっと書き分けられている場合があり、伊是名初心者には混乱間違い無しのややこしさ。でも全部同じ人なので、とにかく「金」がついてる人としてどうにか覚えてもらえたら…と思います。
また沖縄本島で金とか松とかがついたステーキ屋さん(北谷)とか、似たような名前のお店があったりしたら、伊是名島出身か伊是名島の息がかかった店主だと見て間違いありません。例のあの人はじわじわとあなたのそばにあったりするのです。恐るべし尚円推し。いや金丸推し?いやいや松金…。
なぜこんなに推しなのか
なぜ尚円王をここまで推すのか?王様だから?とってもイケメンだった?ザ・ノンフィクションばりに波瀾万丈の人生だった?どれもその通りだったようで
“むかしむかし、伊是名島に住んでいた1人のイケメンが島民に妬まれて恨みを買い、奥さんとまだ小さな弟を連れて島を飛び出し、なんやかんやあって琉球の国王になりましたとさ。”
というシンデレラストーリーがあるそうです。こんなドラマのある人はネタとして最強のカードですね。
島を出た際に一緒にいたはずの奥さんと弟の存在は記載があったり無かったりとぼかされていたりします。結果、奥さんは話の中で蒸発・弟も尚円王が亡くなったあとの王位を引き継ぐものの、約半年で降ろされるなどしたせいかあまりそこは触れられません。
島に住む子ども達は尚円王にちなんだ公園や看板を幼い頃から目にし、学校では地元の歴史と共に教育を受け、しっかり尚円についての事柄を頭に叩き込まれます。伊是名島での知名度100%間違い無し。
そんな歴史的偉人に対し異論を唱えるわけではないのですが、歴史を振り返ってみると恋人逢いたさに振り返る「尚円王乗馬像」に始まり、伊是名島から追い出されたあとも沖縄本島の各地に恋人・奥さん・子供を作ったという話が各地に残っているそうです。さらに地元の人ともめて追い出された村もあるそうで、ここまで来ると追い出されたやつにも問題がある説が浮上してきます。
極め付けは国王になったときの妻(王妃)は、一部では女帝・烈女(れつじょ/気性が激しい女)などとも言われ、首里城近くの玉陵(王家の墓)には本人が残したと言われる呪いの石碑が残っています。そこには「自分の血を引くもの以外墓に入ることは許されない」的なことが書いてあるのだとか。
別の説では夫(尚円)の健康を気遣い、気配りのある女性という説もありますが、こういうこと書いて残すと未来永劫怖がらますよ。と言いたい。
そんな奥さんを選んだ尚円ですが、推薦されて国王になった(と、言われる)ので、人徳は少なからずあったのかも…?とは思います。
※すべての情報に諸説あります
出世のシンボルとしてより、モテの方で推すべきでは
百姓から国王に登り詰めた人ということで、出世のシンボルとしても紹介される尚円王ですが、これだけ沖縄各地で女性との話を残すスキャンダラスな人物は沖縄の歴史上でもなかなかいないようです。
そのことから、出世より「モテご利益がある」という方向で推した方が良いんじゃないかと思います。
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