あとがき(球妖外伝 キジムナ物語)
最後までお読みいただきありがとうございました。この作品は2022年6月12日からnoteで連載を開始して、2022年10月30日に終了したものです。
週に1回投稿される小説を読む方が一体どの程度いるのだろうと不安でしたが、結果として多くの方に読んでいただき大変うれしく思っています。またnoteならではの温かいコメントにも励まされ、すべて書き上げることができました。本当に感謝申し上げます。
『球妖外伝キジムナ物語』はわたしがAmazonで出した『ホロホロー森のキジムナ①~③』というkindle本のあとに書いた作品です。『ホロホロー森のキジムナ』はマンガのような絵本で、沖縄戦を逃れて地下で眠っていたキジムナが、ブナガヤに起こされて現在の沖縄を見て回るといった内容です。現在を書いたあと、次は過去を書かなければならないと思い『球妖外伝キジムナ物語』を書くことにしました。
沖縄の過去について考えるとき、沖縄戦をさけて通ることはできません。この土地で生まれ育ったわたしは、子どものころから戦争がどんなに悲惨なものか繰り返し聞かされてきました。沖縄の各地をまわると、至るところに戦争の遺跡が残っています。沖縄の過去について書かれた本を読むと、戦争にまつわる話ばかりで暗く悲しい気持ちになりました。そしていつの間にか、もう見たくもないと目を背けるようになっていました。
そんなときわたしの心を癒してくれたのは、昔から語られてきたキジムナーのお話でした。古くて大きなガジュマルの木にはキジムナーという木の精がいるんだよ。髪と目が赤くて子どものような姿形で、魚の目を食べるのが好きなんだよ。怒らせると仕返しをすることもあるんだよ。
わたしはキジムナーが出てくる昔話に興味を持ち、古い本を調べるようになりました。すると沖縄の各地には、戦争以前のことを語るものがたくさん残されていることに気がつきました。それは昔話だったり、伝説だったり、地名だったり、遺跡だったり、風習だったり、芸能だったり……。いろいろなものに姿を変えて伝えられていました。
地域の片隅にひっそりとたたずむ森には、昔から伝わる面白い話があるんだよ。一見何もないように見える所にもお話がたくさん残されているんだよ。そんなことを子どもたちに伝えたくて物語を書き始めました。作品にはキジムナーに登場してもらいました。子どもでもイメージしやすいように挿絵もたくさん描きました。
『球妖外伝キジムナ物語』は児童向け小説としましたが、もちろん大人が読むのも大歓迎です。沖縄に来る前に読むと、より旅が楽しめるように、物語の中でいろいろな地名を登場させました。地元に住むものとして地域の魅力を知ってもらえたらと思っています。そして戦争をおこさないためにはどうすればいいのかを考えながら、活動を続けていきたいと思います。
水蝸牛 2022年10月30日
☆追記☆
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こちらの木は「幸せのガジュマル」と呼ばれています。
みなさまに幸せが訪れますように!
人と人との温かい交流を信じて、世界が平和になるように活動を続けていきたいと思います。