
はなもー(鼻無し)伝説
沖縄で有名な怖いお話に、「はなもー」伝説があります。
こどもの頃に話を聞いたときは震えあがりました。
たぶんこの絵が怖かったからです。

編著,西原松生.さしえ,塩田春雄,安室二三雄.『沖縄の怪談』.月刊沖縄社.1985改定,p74-76 より
こちらは『沖縄の怪談』という本の「喜屋武岬の不思議」という話の挿し絵です。

もうこの本の挿し絵がめちゃくちゃ怖い・・・
インターネットが広まっていない時代に出版されましたが、沖縄でひそかに売れた本ではないでしょうか。
ご興味あるかたは中古本をとりよせてみてください。
話がそれましたが、伝説によると沖縄の糸満市喜屋武にある荒崎では、絶対に「はなもー」と叫んではいけないそうです。
海が荒れて7~8間(12~14m)の波にさらわれてしまうそうです。
この話は琉球王国時代にまとめられた説話集『遺老説伝』にのっています。

『遺老説伝 巻之三』伊波普猷文庫IH014-03(琉球大学附属図書館所蔵),
https://doi.org/10.24564/ih01403 より
また『沖縄の怪談』では次のような話も紹介されていました。
昔、久米島・仲里村のフカという家に一人の娘がいました。年頃になって良縁ができ、やがて嫁入りというのでその準備をしていました。ある日婚礼衣装を縫っておりましたが、大変なことをしていましました。布を裁とうとして片端を歯でおさえでもしたのでしょうか、誤って鼻を切り落としてしまったのです。もう嫁入りできません。それどころか人なかに出るのも恥ずかしかったでしょう。娘は芭蕉の繊維を紡ぐ籠を持っただけで、ひとり鳥島に逃げていって、やがてそこで死にました。その後、漁なので鳥島近海に出掛ける人は、決して娘を連れていきませんし、娘を持っているというだけで、この近海を避けるようになったそうです。島に上がったら鼻のことに触れるのは厳禁です。禁を犯すと、たちどころに風波が起こって船を覆すと伝えられています。それは、鼻を切り落としてしまったことを嘆いて死んだ娘が祟りをするのだということです。
編著,西原松生.さしえ,塩田春雄,安室二三雄.『沖縄の怪談』.月刊沖縄社.1985改定,p74-76 より
久米島の娘さんが糸満の荒崎にやってきたのでしょうか。
ともかく「はなもー」と言って人の容姿をからかう人は、娘さんの怒りをかって大波にさらわれてしまうかもしれません。
お気を付けください。
荒崎海岸にたどりつく自身がなかったので、荒崎海岸を上からみることができる喜屋武岬にいってみました。
喜屋武岬にたどり着くまで、何度か心が折れそうになりました。人家がほとんどない寂しい場所です。道があっているのか心配になりました。
こちらが喜屋武岬です。

平和の塔があります。沖縄戦で大勢の人が亡くなった悲しい場所でもあります。

周囲にはアダンの木がたくさんありました。葉っぱは棘だらけで痛そうです。

トイレの近くにバス停がありました。こんなところに?と思いましたが、「いとちゃんmini」という糸満市内周遊バスがあるようです。予約して乗り降りしたい場所や出発時間を自由に選べるようです。

喜屋武岬から荒崎海岸をながめました。せっかくなので動画を紹介しますね。
はなもー伝説や沖縄戦に思いをはせながら眺めていると、波の音が悲しく聞こえてきました。
ちなみにこちらは、わたしが書いた電子書籍です。漫画のような絵本です。はなもーや沖縄の妖怪が出てきますので、良かったらお読みください⭐️
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