支援事例「過去に返済遅延 新規融資どうすれば」
債務正常化向け手続き
◆ 企業名 H社
◆ 業 種 菓子製造業
◆ 所在地 非公表
◆ 資本金 700万円
◆ 創 業 2013年
◆ 従業員 27人
【相談】
菓子製造のOEM委託で増産依頼を受けたが、現設備では限界があり、工場移転や機械導入に資金が必要。しかし信用問題で新規融資が難しい。資金調達策のアドバイスを。
【回答】
菓子製造小売業者がM&Aを通じて再建を試みたが、創業から6年連続で赤字経営が続いた。経営者が交代しても赤字体質は改善されず、買掛金の未払いが長期化し、金融機関からの借入金も延滞となった。その結果、金融機関から信用保証協会などに代位弁済が実施され、経営はさらに厳しい状況に追い込まれていた。危機的な状況下でも、経営者と残った社員は抜本的な経営改善に着手し、赤字店舗の閉鎖や原価率の見直しを進め、少しずつ経営を改善し4期連続で黒字を達成した。
特にOEM受注の菓子の製造受託が好調で、取引先から増産の依頼が来た。しかし現状の設備では手作業による型抜き作業が多く生産能力は1日2千枚が限界である。依頼元からは現状の5倍の生産量を求められているが、工場兼店舗が狭く新たな設備導入も困難である。そのため、新工場の改装資金と新たな機械設備の導入資金が必要となり、県内地銀系の債権回収会社を通してよろず支援拠点に相談が来た。
しかし、融資を受けるには、まず代位弁済された債務を正常化(求償権消滅)することが条件となっている。そのために必要な手続きを県信用保証協会に確認した。債権回収会社と新たに融資する金融機関との交渉を進め、県中小企業活性化協議会に経営改善計画書の作成を依頼した。金融機関等との調整やバンクミーティングを重ね、関係機関の協力体制を築き上げていった。
最終的に県中小企業活性化協議会による経営改善計画書を基に求償権の消滅が認められ、通常の融資条件に戻すことができた。さらに沖縄振興開発金融公庫の資本性劣後ローンを活用し、既存の債務を整理しつつ新たな設備投資のための資金調達が可能となった。
長期化していた買掛金の未払いも解消し資金繰りの改善が大幅に進んだ。H社の代表である相談者は「再生を実現出来る日が本当に来た。社員とともに今以上の成長をしていきたい」と述べている。よろず支援拠点では引き続き伴走して支援していきたい。(県よろず支援拠点サブチーフコーディネーター・金城力)
※掲載内容は相談者の承諾を得て紹介しています。経営者のあらゆる相談を無料で受け付けます。ご相談は、電話098(851)8460のよろず支援拠点、またはお近くの商工会へお問い合わせください。
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