支援事例「コロナ長期化 資金繰り悪化」
令和 3 年 5 月 30 日 沖縄タイムス 経済面掲載
再生支援協が融資仲介
◆ 企業名 Z社
◆ 業 種 小売業
◆ 所在地 本島南部
◆ 資本金 非公表
◆ 創 業 非公表
◆ 従業員 6人
【相談】
昨年、金融機関から元金返済猶予とコロナ関連融資の支援を受けたが、コロナの長期化により再び資金繰りが厳しくなっている。2回目の金融支援を交渉中だが難航している。
【回答】
昨年の春以降、多くの事業者が返済条件緩和やコロナ関連融資の支援を受けたが、コロナの長期化で再び手元の資金が底をつく事業者は少なくない。そんな状態の中で元金返済が始まるなど、経営環境は依然厳しい。
相談企業は昨年からの継続支援先で、これまでアドバイスした売り上げ増加策など、コロナ禍において可能な限り努力してきた。実際「来店時の購入率」や「客単価」はコロナ前に比べ上昇するなど一定の成果が出ている。
一方、肝心の人通りが少ないために十分な回復には至らず、再び資金繰りが危ぶまれる事態に直面。金融機関に対して支援をお願いしたいところだが、昨年に続き2回目となるため交渉が難航している様子だった。
早速、収支についてヒアリングし、1年間の資金繰り表を作成。現状は、元金返済猶予の延長と追加融資が必要な状況だが、コロナ前程度に売り上げが回復すれば、追加融資を含めて返済は十分可能であることが読み取れた。
そこで、金融機関との交渉をより円滑に進めるため、県中小企業再生支援協議会(那覇商工会議所内)の支援を受けるよう助言した。当拠点とも連携する同協議会は、中小企業者の事業再生をサポートする公的機関である。
昨年4月、コロナ禍で資金繰りに窮する中小企業者を支援する目的から、専門家を活用した「特例リスケジュール計画策定支援」を開始している。
具体的には、早急に返済条件緩和などが必要な事業者に対し、専門家が資金繰り計画の作成を無料でサポートする。また、その計画をもとに、専門家が金融機関と経営者の間に入り、元金返済猶予や新規融資を含めた金融調整を支援してくれる。公平中立な視点で公的支援機関の専門家が関与することから、単独で交渉するよりも金融機関の了承が得られやすい。さらに、複数行の場合でも一括して調整してくれるので、経営者の負担も軽減される。
先日、相談者から希望通りの金融支援を受けたと報告があり、ひとまず安心。現在はウィズコロナの視点からネット販売の強化に力を注いでおり、今後の展開に期待したい。
(県よろず支援拠点コーディネーター・大城剛)
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