支援事例「法人決算 ベストはいつか」
資金繰りを考慮し決定
◆ 企業名 G社
◆ 業 種 卸売業
◆ 所在地 那覇市
◆ 資本金 個人事業
◆ 創 業 非公表
◆ 従業員 非公表
【相談】
個人事業から法人成りを検討しているが、法人にした際の決算はいつにするのがいいのか、どのように決めたらいいか相談したい。
【回答】
食料品の卸売業を営んでいるG社は個人事業として創業し5年。売り上げ、利益ともに順調に伸びている。今回の相談は、法人化に当たり決算月の決定についてである。同業経営者など周囲に相談するとさまざまな意見があり、ますます混乱してしまったとのことで相談に訪れた。
個人事業の決算月と違い、法人は任意の月を選択することができる。年度末を選択する企業も多いが、事業にかかわるさまざまな要素を考慮して決定する方が好ましい。特に資金繰りの影響を考慮して選定することが重要で、次のような観点から検討してはどうかとアドバイスを行った。
まずは売り上げのピーク時期を考慮すること。いわゆるかき入れ時がある場合、それ以降に決算を迎えると、決算期末の資金繰りが楽になってくる。その理由としては決算の納税が決算日の2カ月後となるためである。通常の仕入、経費の支払いに加え、納税資金の確保となると資金繰りに与える影響はかなり大きくなってくる。経費の支払いにおいても賞与などの影響により特定の時期には支払額が多くなることがある。
また、不動産や大きな設備を所有している会社においては固定資産税や維持費など特定の時期の支払額が多くなってくる。卸売業を営むG社においては大きく仕入を行う時期があり、仕入直後の在庫を抱えた状況で決算を迎えた場合、納税資金も用意しなければならないため、資金繰りを圧迫してしまう。
売上ピーク時にしっかりと販売を行い、売上代金の回収ができたところで決算を迎えることができれば資金繰りの安定した経営がしやすいといえる。資金繰りの安定は事業の継続、発展にとって最も重要な要素である。そのため資金繰りを考慮した決算月の決定は経営計画の立てやすさにもつながる。
今回のアドバイスを元にG社に合った決算月を決定することができた。代表者にとっても良い決定ができたと思う。法人化後もさらなる事業発展を願ってあらゆる分野からの支援を続けていきたい。(県よろず支援拠点コーディネーター・税理士 遠山康英)
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