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支援事例「介護事業の後継者・管理者を育成したい」

令和 6 年 12 月 1 日 沖縄タイムス経済面掲載

経営者の価値観を共有

 ◆ 企業名 非公表
 ◆ 業 種 高齢者福祉事業(通所介護)
 ◆ 所在地 非公表
 ◆ 資本金 非公表
 ◆ 創 業 非公表
 ◆ 従業員 非公表

【相談】
 代表が管理者を兼任して高齢者介護事業所を運営しているが、高齢となり今後事業を継続していくために後継者を立てたい。後継者が自分と同じく経営と管理を兼務できるよう、人材を育成していくにはどうしたらよいか。

【回答】
 企業経営者の平均年齢は、2023年の調査によると33年連続で上昇し60歳を超えた。経営者交代は増えているものの、後継者育成が間に合わず事業承継に支障をきたすケースも少なくない。調査では経営者が交代する平均年齢は68・7歳で、経営者の病気や死亡が原因で倒産する事例が40~50%を占めている。中小企業基盤整備機構調べでは後継者の育成には通常5~6年かかると言われ、事業継続における最大のリスク対策として早期からの取り組みが求められている。
 今回、相談に来られたのは長年高齢者福祉に携わってきた経営者で、コロナ禍を乗り越え事業を立て直し運営を継続してきた。しかし、物価高や人件費高騰により収益が圧迫され、従来のやり方に限界を感じていた。新体制による刷新を視野に事業承継を進める必要性を強く感じ、よろず支援拠点へ相談に来られた。
 相談者は後継の候補者選定は済んでいたため、今後の経営に向けて大きく三つの取り組みをアドバイスした。第一に、経営者としての価値観を後継者と共有し、収支バランスの感覚を養うことで、適正な支出判断ができるようにすること。第二に、高齢者介護事業に関する市場動向や基準を正しく理解し、質の高いサービスを提供する体制を構築・維持すること。第三に、従業員や関係者が自分の役割を理解し、業務に専念し成長できるようにするため、知見を報酬やキャリアに結びつける体制を整えることだ。
 これらの取り組みの一環として、後継者が経営に関する判断を下す際、担当者が事前に確認を取り、相談者が一定期間その判断に誤りがないかチェックする仕組みを構築した。また、経営方針や基準が明文化されていない部分については、規定や基準を文書化し後継者が迷わず経営判断できるようにした。
 事業承継において後継者に違和感を抱く場合は、経営方針や基準が明確にされていないからに他ならない。後継者の育成と会社の経営基盤の整備が事業承継の成否を決めると思う。
(県よろず支援拠点コーディネーター・鈴木和久)

※掲載内容は相談者の承諾を得て紹介しています。経営者のあらゆる相談を無料で受け付けます。ご相談は、電話098(851)8460のよろず支援拠点、またはお近くの商工会へお問い合わせください。

詳しくはコチラ >> https://yorozu.ti-da.net/e12837902.html


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