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支援事例「自分の作品が無断利用された」

令和 7 年 2 月 2 日 沖縄タイムス経済面掲載

正しい法律知識で対応

 ◆ 企業名 非公表
 ◆ 業 種 伝統工芸製作業
 ◆ 所在地 沖縄本島
 ◆ 資本金 非公表
 ◆ 創 業 非公表
 ◆ 従業員 非公表

【相談】
 沖縄伝統工芸の作品を制作する職人のA氏は、自分の許可なく自分の作品が商業施設で利用されていることを発見した。時間も資金も限られる中、作品の利用を停止させるためにどのように対処するのが適切だろうか。

【回答】
 A氏は沖縄の伝統技法を使った図柄を制作する職人である。作品を個展で公表し、他業者とコラボして服やハンカチに作品をプリントして販売している。ある時、同業の知人からA氏の作品図柄が商業施設の店舗内装に利用されていることが指摘された。
 A氏はその店舗を知らなかったため現場で確認すると、利用された図柄は自分の作品に間違いない。さらに作品が他人の図柄と合成され一部改変も加えられていた。無断利用と改変は作家として納得がいかず、店舗に撤去など対処を求めるためよろずに相談した。
 A氏作品は著作物であり、A氏には著作権が発生する。著作権者の許諾なく著作物を利用・改変することは著作権侵害となるが、本件の店舗での無断利用はまさに著作権侵害となる。
 A氏は職人であり弁護士や裁判を利用するための十分な時間がなく、できるだけ迅速かつ安価に問題解決をしたいと考えた。
 まずは店舗管理者の連絡先を調べ(1)店舗で利用される図柄が自らの作品であること(2)利用について許諾していないこと(3)一定期間内の利用停止・撤去を求めること-を明記したメールを自ら店舗管理者向けに送ってみた。その結果、実は店舗管理者は内装の図柄がA氏の著作物であることを知らずに利用していたことが分かった。幸い、店舗管理者は無断利用について自らの非を認め、利用停止と内装の取替対応をするとの回答が戻ってきた。A氏はその後もメールや対面で対応方法の協議を進めた。
 現代は技術進歩により画像など他人の作品を簡単に複製できる。このため作家の著作物が間違って無断利用・改変される事故が起きやすい。著作権侵害を発見した場合、必ずしも弁護士や裁判を利用せずとも解決することは可能である。
 時間や資金がないと諦めず、正しい法律知識を元に毅然(きぜん)と対応を要求することが重要である。紛争に不慣れな作家や職人でも、無断利用に泣き寝入りせずよろずに積極的に相談しに来てほしい。
(沖縄県よろず支援拠点コーディネーター・弁護士絹川恭久)

 ※掲載内容は相談者の承諾を得て紹介しています。経営者のあらゆる相談を無料で受け付けます。ご相談は、電話098(851)8460のよろず支援拠点、またはお近くの商工会へお問い合わせください。

詳しくはコチラ >> https://yorozu.ti-da.net/e12876802.html


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