支援事例「海外企業との取引で注意点は」
法人登記資料で相手確認
◆ 企業名 非公表
◆ 業 種 広告制作業務
◆ 所在地 沖縄本島
◆ 資本金 非公表
◆ 創 業 5年以内
◆ 従業員 5名以下
【相談】
広告デザイン制作を得意とするA社は、デザイナーの友人同士で起業したスタートアップ企業である。コロナ後のリモートワークの広がりもあり海外企業からも受注することになったが、海外企業との取引で注意すべきことを教えて欲しい。
【回答】
近年、自らのスキルを売り物に企業に属さず顧客から直接業務を受注する「フリーランス」「スタートアップ」といわれる小規模事業者が増えている。A社も美術学校を出たデザイナーの友人同士で創業したスタートアップ企業である。コロナ禍以降の非対面取引の拡大や、ネット・SNSなどの活用で、海外企業からの受注も増えているという。スタートアップ企業の海外取引における注意点は何だろうか?
今回A社は、タイの企業から「日本での事業のためのHPと商品パッケージデザインの制作」を受注した。今回だけではなく今後の受注も見込めるため、継続取引に使える基本契約書を作りたいとの希望だ。
相談者の2人は30代で若いのでネットで契約書のひな型を見つけ、たたき台を作成した上でご相談に来ていただくよう提案した。最近ではAIなどを活用してある程度使える契約書を作ることは容易になっている。
A社のたたき台をもとに以下の点を助言した。(1)契約相手が海外企業である場合、必ずその国の法人登記資料を提出させる(2)契約書も重要だが最も注意すべきは受注代金を一部でも前払いで受け取る(3)継続的取引契約では、契約期間と途中解約の条件を明記する―などだ。
(1)は海外企業が本当に存在するかを確認するためである。筆者の経験で海外の契約相手が実際は存在しない架空の会社だと後で判明したケースを見たことがある。(2)は海外企業に代金を踏み倒されると海外で裁判せねばならず、泣き寝入りになることが多い。事前に一部でも受け取っておけばリスクを軽減できる。(3)については、契約期間や解約を規定していないと、相手との関係をいつどのように終えられるか不明確となってしまうからだ。
A社のように自ら契約書を作ることは簡単にできる時代だ。そこに「トラブルを防ぐ肝」を知ることで、効果的な契約書を比較的容易に作成する事ができる。まずはよろずに気軽に相談してほしい。
(沖縄県よろず支援拠点コーディネーター・弁護士絹川恭久)
※掲載内容は相談者の承諾を得て紹介しています。経営者のあらゆる相談を無料で受け付けます。ご相談は、電話098(851)8460のよろず支援拠点、またはお近くの商工会へお問い合わせください。
詳しくはコチラ >> https://yorozu.ti-da.net/e12761644.html
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