見出し画像

「第2回こどもにまつわる課題についてみんなで考える集い」を開催

こんにちは。「沖縄みらい地図アクション」コンソーシアムの一員である一般社団法人デザインイノベーションおきなわ(DIO)です。


1月20日、那覇市のSAKURA innobase Okinawaで、2回目となる「こどもにまつわる課題についてみんなで考える集い」を開催しました。

「沖縄みらい地図アクション」では「こどもの貧困」と「起業(スタートアップ、スモールビジネス)」に関する課題について、インタビューやイベントを通じて沖縄の社会課題の実態とその構造を俯瞰的に分析し、その構造の全体像を“見える化”=地図化し、根本的な課題解決に向けた協働を促進する取組を進めています。

本記事では、「第2回こどもにまつわる課題についてみんなで考える集い」の議論の様子、共有された視点やアイデアなどをお届けします。

こどものライフステージごとに課題を見える化して地図をリニューアル

このイベントには、行政機関や教育現場、地域団体、企業、メディアなど、様々な分野から20人が参加。平井雅氏のファシリテーションのもと、ケイスリー株式会社のメンバーが進行役や記録係を担いました。

冒頭、第1回の振り返りと共有、「沖縄みらい地図アクション」の取組趣旨、「地図」について説明。「様々な分野からこどもの貧困という課題に向き合う専門家が集う場。対話を通してそれぞれの強みを生かし、今後に向けた方向性を見出していく場にしたい」という平井氏のコメントからスタートしました。

その後、地図作りを担当しているケイスリー・蔵端美幸氏が改めて地図の見方を説明し、第1回で声が多く上がった「年齢、ライフステージごとの整理も必要ではないか」という指摘を踏まえ、乳幼児期、小学生、中学生、高校生といった年齢に応じた並び替えを行ったこと、相関関係を示す矢印について影響が出るまでに時間のかかるものに関して「時」という字を加えたことも報告しました。「地図」は関係者へのインタビューを分析して作成されたもので、完成ではなくあくまで初版であり、このように今後も継続的にブラッシュアップしていきます。

今回はグループセッションの前に全員でのセッションから始まりました。

こどもの貧困の課題解決に特に重要なポイントは?

最初の問いは「(こどもの貧困)全体にとって特に重要だと思う課題は何ですか?」。会場後方に掲示された大きな「地図」の中で課題を解決するにあたり重要だと思うポイントに参加者それぞれ付箋を貼っていただきました。

付箋が貼られた箇所は「地域との関係の希薄化」「行政の慣習や制約が問題深刻化につながる構造」「保護者の状態と親子関係」「こどもの発達/学習と学校」「保護者の就労を取り巻く状況」「社会的養護の領域」など、それぞれの支援領域の違いもあり、意見が分かれました。

“フィッシュボウル”の手法で議論を深める

その後、より多くの参加者の声を引き出して対話を深めて展開していくために、「フィッシュボウル(金魚鉢)」という手法を取り入れて意見交換を実施。この手法は三重ほどの半円を作り、内側に座った参加者が対話し、外側の参加者は聞き手に回ります。内側の席には空席を1つ設けてあり、意見のある人、話したいと思った外側の参加者が内側に移動し、発言することができる仕組みです。

最初の対話で最も長く時間を割いて語られたのは、「親子の関係」や「こどもの居場所」についてでした。親が社会の中で受け入れられている“社会への信頼感”があってこそ、安心した子育てができ、こどもとの関係性ができてくるのではないかという意見や、そこには親の経済的状況が大きく影響してくること、働くことでしっかり所得を得られるか、それが難しい場合は必要な社会保障を受けられることが重要なのではないかという指摘もありました。

また、「居場所」について、学習支援を行う人からは「最初は不安を抱えていたり、保護者に連れられて仕方なく通ってくるケースも多いが、友だちとの横のつながりや、講師やアルバイトの学生たちとの斜めのつながりが生まれてくることで、楽しく、安心できる居場所だと思えるようになるのではないか」という声が出たほか、高校教員から「大前提として、安心できる居場所があることはこどもにとって非常に大切だが、それだけでは課題は解決しないと感じている」という声もありました。

対話の中では、沖縄のこどもたちの語彙力についても話題となりました。自分の言いたいことを言語化するのが得意ではなく、しっかり主張することができない傾向が指摘されたのと同時に、例えば国語のテストでは「これ」「それ」などの指示語についての理解力は高く、意味を汲み取ったり、相手の言いたいことを推し量ったりする共感性が強いのではないかという声が挙がりました。

そうした県民性とも言えそうな一面を踏まえた上で、「ゆいまーる」や「いちゃりばちょーでー」に代表されるように、こどもたちへの地域の見守りが県外に比べ温かく機能していることを再認識し、家庭の状況に合わせた“丁寧なおせっかい”が必要だという意見などが出ました。

支援者同士が心でつながる「沖縄みらい地図アクション」

最後は、フィッシュボウルでの対話を受け、感じたことをグループでシェアし、その内容を発表していただきました。

「こどもを支援する、親を支援すると言っても、支援する団体・組織はたくさんある。顔も知らないのに連携していくのは難しい。まずは支援者が日常からつながっていることが大事だ」
「こどもの貧困率29.9%を下げるという目的を考えると、家庭の所得を上げることが必要だ。こうした議論の場に福祉領域以外の人、企業が加わることが大切だし、当事者であるこどもたちの声も聴いていってほしい」
「日ごろ、自分の活動に一生懸命になりすぎていて課題を俯瞰して見られなくなる。『沖縄みらい地図アクション』の取組に大きな期待を覚えた」

こうした感想を語ってくださいました。

『沖縄みらい地図アクション』は来年度以降も取組を続けます。ケイスリーの幸地正樹社長が方針と意気込みを語った後、最後に参加者に問いかけたのは、「沖縄みらい地図アクションで 来年度どんなことができたらいいと思いますか?」。
ひとり一人、紙に書いていただきました。

「各現場での成功例をシェア、小さな一歩を積み上げていけたら良い」
「貧困問題に企業をもっと巻き込む!」
「複数の企業がこどもの社会課題対応に参加できるようなプラットフォームをつくる」
「会ったことのない分野、人々と議論したい! 新しい視点、刺激が欲しい!!」
「テーマごとに議論し、メンバーで政策提言する!」
これらはごく一部。

どの方からも、前向きなメッセージをいただき、「沖縄みらい地図アクション」の広がりと深化に、思いを新たにしました。

議論から刺激を受けて変化の予感をつかんだ参加者も!

第1回に続き今回も、様々な機関・団体でこどもの課題に取り組む方々が3時間にわたり対話する場となりました。「こどもの貧困」に向き合う皆さんと一緒に2回のイベントを重ねる中で、「これまで同じ場所をぐるぐる回っている感覚だったが、何かが変わるように思う」「壁を越えられると期待している」と、新たな観点、刺激を受けている様子も見られ、様々な分野の支援者が課題を共有して対話を重ねることの重要性を再認識すると同時に、沖縄みらい地図アクションを継続する意義を実感しました。

【プロジェクトチームの概要】
株式会社うむさんラボ
本社:沖縄県浦添市内間四丁目5番25号
代表者:代表取締役 比屋根 隆
HP:https://umusunlab.co.jp/
Facebook:https://www.facebook.com/umusunlab
Instagram:https://www.instagram.com/umusun_lab/

ケイスリー株式会社
所在地:沖縄県中頭郡読谷村長浜187番地
代表者:代表取締役社長 幸地 正樹
HP:https://www.k-three.org/

一般社団法人デザインイノベーションおきなわ
所在地:沖縄県那覇市久茂地1-1-1 9F
代表者:代表理事 神里 僚子
HP:https://www.dio.okinawa.jp/
Facebook:https://www.facebook.com/designinnovationokinawa/

【プロジェクトチームの役割分担】
・うむさんラボ:全体とりまとめと本事業関連イベント「ミチシルベ」開催(2025年2月)
・ケイスリー:「沖縄みらい地図」づくり(インタビュー実施、ワークショップ開催)
・デザインイノベーションおきなわ:クリエイティブ・デザイン

いいなと思ったら応援しよう!